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台湾映画『停車』《停車》(英語:Parking)

出演:張震(チャン・チェン)、桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、戴立忍(ダイ・リーレン)、杜汶澤(チャップマン・トー)ほか
監督・脚本:鍾孟宏(チョン・モンホン)《陽光普照》(邦題:『ひとつの太陽』英語:A Sun)など
台湾上映:2008年11月
尺:107分

二重駐車で車を出せなくなってしまった男は、妻との関係を修復しようとケーキを買って家へ帰る途中だった。車の持ち主を訪ねたことからとんでもないことに巻き込まれ…。台湾を代表する監督チョン・モンホンの記念すべき単独長編第1作は、独特の色彩の映像とブラックユーモアで、台湾の人と生活を切り取った秀作。

画像・あらすじ:UPLINK吉祥寺

最近、ペーパードライバーコースで縦列駐車の練習をしていてふと思い出した本作。内容がうろ覚えだったため、改めてもう一度見直してみました。

チャン・チェンが不運な普通の男性を演じる

チャン・チェンと言えば強かったり、狡猾だったり、悪役だったり、ヤクザだったり、偉い人だったりを演じるイメージですが、本作では普通の…と言うよりは不運な普通の男を演じています。
路上の駐車スペースに停めてケーキを買いに行っている間に横に二重駐車されてしまいます(もちろん違法駐車ですので良い子はマネしないように)。近くの理髪店に持ち主を聞き、物語は進んでいきます。
この男の不運さは、やっと二重駐車している車がどいて発車できると思ったら別のアクシデントが起こり対処している間にまた二重駐車されてしまうという徹底ぶり。しかもタクシーにも乗車拒否されてしまう…。
チャン・チェンが普通を演じきっているのがとても新鮮でした。彼がイライラが募っくる表情の変化は流石でした。どうしても妻の待っている家に帰るという彼の気持ちは狂気じみた執念が感じられます。まぁ、彼は彼でどうしても妻の元に帰らなければならない事情があるのですが…。そして彼が最後に出した結論も綺麗事かも知れませんが素敵でした。

撮り方が上手い

この作品は主人公の二重駐車事件(?)に端を発し、様々な人々の人生模様が交差していく様子を描いています。そのため、メインストーリーから急に別の人物の人生を描いたストーリーに移るという手法を繰り返します。ちょっと伊坂幸太郎の小説に似ているなぁと思いました。私はこういう撮り方やストーリーの繋ぎ方は好きなのですが、人によっては話が行ったり来たりして分からないと思うかもしれませんね。
先程の文章で「そして彼が最後に出した結論も綺麗事かも知れませんが素敵でした」と書きました。ただ撮影手法としてはきれいな場面で終わっていないんですよね。不気味な虫が映し出されるのです。もしかするときれいにまとまった結末をあえて醜く不気味な物体を映し出すことで「綺麗すぎる」感を抑えているのかもしれません。また、それがこの不運な男の奇妙な一日を再び視聴者に思い出させる要素にもなっているような気がします。
さてさて、本作に出演していましたチャップマン・トー。彼は香港の俳優さんでしたが、ひまわり運動や雨傘運動の支持を表明したことで中国政府に睨まれてしまいます。そういったこともあってか2020年より台湾に長期滞在し2022年に台湾籍を取得されたそうです。

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