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超えて含む 実りを感じる 秋はそこ

第21週 8月25日〜8月31日の記憶。 それを探る試みです。 
一年間のルドルフ・シュタイナー超訳に挑戦中です。

今週は、残暑まっさかりですが、秋の香りが漂ってきて、なんとなく“終わりの季節”に向かってゆく気分になるかもしれません。しかしです、収穫はまだ先のこと。まだまだこれからのことを考え、計画し実行に移してゆかなければならないのです。そのためのヒントを探ってまいしましょう。

では、読み解いてまいります。

  

U. EINUNDZWANZIGSTE WOCHE (25. AUGUST – 31. AUGUST [1912]).

21.
Ich fühle fruchtend fremde Macht
Sich stärkend mir mich selbst verleihn
Den Keim empfind ich reifend
Und Ahnung lichtvoll weben
Im Innern an der Selbstheit Macht.

Anthroposophischer Seelenkalender, Rudolf Steiners,1912


  見当がつかない実りを感じます
  そのチカラを借りて、わたしは満ち
  萌芽から成熟してゆくさまを感じる
  そして内なる成長は
  光に満ちた予感を織りなしている。


 

もう秋が始まっている

秋は、実りの季節です。自然は、あなたに多くの教えをもたらしてくれます。散歩を愉しみ、美しい自然を観察したりして、そのリズムに心を同期して大いなるものの導きを感じてみましょう。そうすることで、自然とあなたの感覚が一体化できるはずです。

では、この季節に合わせ、
何をどのように解釈してゆけばよいのでしょうか?

秋は、“終わりの季節”というよりも、新しい始まりを準備する大切な時期でもあります。海外では、新学期のことを、back to school、New Tarm、Autumn Termなどの表現が使われるそうですね。夏までにためたチカラをここから収斂してゆくといった感覚をもつべきなのでしょう。

この時期に、新しい目標やプロジェクトに向けて計画を立てると、効果的かもしれません。将来に向けての何が起こるのか、ワクワクする予感を抱きながら、前向きな気持ちで新たな挑戦に取り組む準備を始めましょう。秋がもたらす穏やかなチカラを借りて、これからも成長を続けるのです。

春から夏にかけて外部からの影響についての言及がありました。ここ数週間は、“授けられるコトバ”などについて語られてきているの鑑みると、知識や経験という影響力によって、内的な自分の段階的な成長を説いているのです。

人間における秋の成長。おそらく、授けられたものを内的に成熟させあなたの成長につなげるための、成長段階や移ろいみたいな視点が隠されているのですね。

今回は参考になりそうなインテグラル理論を紹介いたします。



インテグラル理論


“インテグラル理論”は、アメリカの現代思想家のケン・ウィルバーが提唱しました。人・組織・社会・世界の全体像をより正確につかむためのフレームワークです。多様性の浸透が加速する中で、自分や自分たちのポジションを明確にしてゆくのに役立つ理論です。

インテグラル(統合的)であるとは、差異の中にある共通性を大切にすること、多様性の中にある統一性を尊重することを意味します。哲学、心理学、人類学、社会学、宗教、生物学、システム科学など多様な領域をまたぎ、統合的に捉えることで、“本質的で健全な人・組織・社会の発達”をモデル化したのです。


あなたも、

21世紀には、哲学や科学や宗教が
統合されてゆく時代になるよ…

と、なんとなく予感していませんでしたか?


わたしがこの理論を知ったのは、2018年に発売された『ティール組織』(フレデリック・ラルー著)という本がきっかけでした。これは、スピリチュアル本ではなく、れっきとしたビジネス本です。

ティール組織とは、一言でいうと、“管理者のいない組織”です。
つまり、上司や先生がいない組織です(いいですよねー)。

では誰が、組織をまとめるのかといえば“パーパス”です。いわゆる、存在価値や社会的意義が組織で共感されつながりあうことで、管理者などいなくても自分たちそれぞれが責任を持ち、使命を果たせるのだ。という考えです。


ひとつの生命体のように自律的に自己組織化し
進化し続ける次世代型の組織モデル

Wow!時代がようやく来たか!

と、この本のバズり方をみて小躍りした記憶があります。そして、その後も社会でどのように浸透してゆくのか、観察を続けています。

そして、このティール組織のベースとなる、ティールという色彩が示す組織の発達段階を色分けして整理する考え方は、ウィルバーという先人がいることを知るきっかけにもなったのです。

Teal組織への発達概要

1. レッド組織(衝動型)

力と恐怖に基づいたリーダーシップ。
権力の集中と短期的な目標を追求する。
組織は上下関係が明確で、トップダウンの指揮命令系統が強い。
例: マフィアやギャングなどの非合法組織、小さな起業家グループ。


2. アンバー組織(順応型)
明確な階層構造と役割分担。
安定性と予測可能性が重視される。ルールと手続きが強調され、
過去の経験から学び、変化を避ける傾向がある。
例: 官僚機構や軍隊、伝統的な宗教団体。


3. オレンジ組織(成果主義型)
目標達成や成果、競争が重要視される。
イノベーションと効率性が追求され、成果主義の文化が根付いている。
個人の業績が報われ、成長が促進される。
例: 大企業、現代の多くのビジネス組織。


4. グリーン組織(多元型)
コミュニティや協力が重視される。
従業員の福祉や価値観の共有が重要視され、
リーダーシップはサポート的。平等主義的な文化が強い。
例: 社会的責任を重視する企業、NPO、協同組合。


5. ティール組織(進化型)
自己組織化と全体性を追求。
個々のメンバーが自分の仕事や役割を自律的に管理し、
組織全体としては目的や使命を共有する。
ヒエラルキーが最小限に抑えられ、透明性が高い。
例: 先進的なスタートアップや、新しい組織形態を採用している企業。

1→5の順に組織は進化する。

GPTまとめ

あなたが関わっている組織は、何色でしょうか?

わたしが関わっている先は、基本オレンジです。
理解あるトップがリーダがいる瞬間は、グリーンが垣間みられますが、
調子がわるいとすぐにアンバー、レッドに成り下がってしまい…。ます。

でも、このような考えがベースにあると、ああ今のあなた達は、このレイヤーですね。と判断もしやすくなります。
それに状況合わせ、今期はレッド組織!マフィアの親分ですね…「ハイハイ承知です」といって、あきらめ気分で対処できるようになるのです。

そして自分自身は、内なる自己を探求したり、自己と他者を同等に扱えるチカラを備えてゆくぞー!という、グリーンな状態。
そして、ティールを目指せ!と日々、意識を深めているのであります。

そして、もうひとつインテグラル理論の根幹をなす考え方があります。それは、個人と集団、内面と外面が交差する四象限。「私」と「私たち」、「それ」と「それら」の関係性を掛け合わせて洞察してみるというものです。

“わたし”は“私”だけでなく、四象限を分析することで、経験や現実を包括的に探れ。それぞれの象限に偏ることなく、全体像を捉えることで、複雑な現象から本質を抽出して、個人や社会が統合的に発展するための成長の道筋を明確にできるのです。


四象限の概要

私:内面・個人

これは、個人の内的な経験、感情、意識の成長に焦点を当てます。
たとえば、自己認識、感情の発達、個人の価値観など

私たち:内面・集団
集団や文化的な内面的な側面を指します。これは、グループや社会が共有する信念、価値観、文化的規範などに関連します。
たとえば、コミュニティの意識や共感など

それ:外面・個人
これは、個人の外面的な行動や物理的な現実に焦点を当てます。個人の行動、身体、パフォーマンスなどがここに含まれます。
たとえば、スキルの向上や健康状態など

それら:外面・集団
集団や社会の外面的な側面を示します。これは、経済システム、社会的構造、テクノロジーなど、外部に見える集団の側面を指します。
たとえば、組織の効率性や社会的なインフラなど

GPTまとめ


たとえば、四象限を表現者とした場合。

①個人の意識改革。“私”を深め、インスピレーションを得るための観察、美意識や価値観などを学ぶ。
②コミュニティのnoteに“私たち”での発信。表現の価値観の共有、文化的な文脈を構築したり、共創への模索。
③個人の行動。“それ”が変わることで、表現技術の鍛錬、多くの人に認められるような完成度の追求がうながされる。
④それが文化的な豊かさの“それら”を後押しする。表現活動が社会の一部として認識され、生活や経済や持続可能性などに貢献してゆく。

など


そして、たとえば
“私”と③“それ”が掛け合わさった場合。
(それぞれのオモシロそうな掛け合わせをしてみてください)

表現者は自己の技術的な強み(できること)から価値観や思想を深められ、それらに基づいた技術的なスキルを磨くという好循環が生まれ、より高い完成度の作品を生み出せるようになるのです。
たとえば、立体表現を苦手とする人が彫刻を志しても遠回りなことがあります。理想を構築するのに躍起になるではなく、まずは、自分の得意分野、素養や身体的な能力を起点として方向を探ることもありますよね。

そしてそこで、表現者としての自信がつけば、自己表現力がアップして、新たな挑戦に向かうモチベーションが生まれるのです。


そして、たとえば…
四象限がすべて掛け合わさると、

個人で考えていたことがnoteと連動し、技術的なスキルの向上や社会的な影響力が相互に強化されてゆくのです。

そして、表現者としての活動が、個人の自己実現と社会的な美意識の価値創造の両面で大きな影響力を獲得し。自然や無意識領域の造詣を深めた持続可能な文化へ意識づけや、人や地域をまきこんだプロジェクトに発展してゆくかもしれません。 

このように、四象限を元にして掛け合わせを妄想すると、表現者としての影響力が個人から社会全体に広がり、まさに光に満ちた予感を織りなしてゆくイメージを持てるようになるのですね。





今回は、インテグラル理論のほんの一部を紹介しています
実際には、他にも多くのフレームワークが用意されてます
興味のある方は、情報を集めてみてくださいませ。



2024年8月 早秋どんぐり



織りなされた姿


シュタイナーの“織りなされた姿”という表現をインテグラル理論に置き換えると、世界はレイヤー(層)でできていることになります。すべての要素がひとつの立体的な織物をなしているのです。

いくつかのフレームワークで、
発達のレベル(段階)が明確化されています。

意識には発達の段階があり、異なる段階の人々がこの世界には共存しているので、世界は複雑で話しが通じない。でも実は、だからこそ、それぞれに価値感を持ち、それぞれが堂々と美しいのだといえるのです。

水平な地図に、多様な価値観と個性を持つ人々が、配置されているだけでなく。そこに、レイヤー(層)という垂直的な構造があるのです。

そしてその垂直構造では、上から下は、みえやすいのですが。下から上は、みえにくい構造なのですね。ただ、ここでウィルバーは警告します。読者の理解によって、読者自身が勝手に高次の進化したつもりになったり、こうあらねばならないといった押しつけなど。これらは単なる知識の受け売りであり意味は無いのです。本質は、あくまでも成長や発達のプロセスにあります。歳をとれば自然と認識が変化するように、あなたの価値観が今どこにあり、変化を望むときに初めて悟るものなのです。

そしてそれは、“超えて含んで”いるからなのだといいます。発達や成長や進化のプロセスは大体が超えて含んでゆくのです。時代ごとに価値観が変遷してゆく姿や、脳の進化などをみても爬虫類の脳が残っているように歴然なのです。

オレンジからアンバーやレッドにすぐに戻れるのは、かつてはアンバーやレッドだったからで、それらは古い細胞に書き込まれているからなのです。逆にレッドからティールにいきなり変容することはできません。順を追ってゆっくりと変容してゆく構造なのです。

段階に、上下はあるが、優劣はないのです。

ウィルバーは、どのレイヤーも必要不可欠なものであると主張しています。違うレイヤーでそれぞれが藻掻き、美しさを表現し、同時に存在しているという事実認識が大切です。あなたが生かされている、そのとき、その場で、織りなされる自分自身の姿を表現するからこそ、鮮明なる美が宿るのです。

そして、“光に満ちた予感を織りなしている”という表現は、シュタイナーにせよ、ウィルバーせよ心憎く素晴らしいビジョンですね。単に集まるのではなく、蓄積するのでもなく、織りなすというコトバに込められた想いをシャキッと理解しなければなりません。

大いなるものからの感性を受け取り、言葉や経験によって“光に満ちた予感”を感じ、そして、その一本一本の感性やコトバの糸を職人が手をうごかすように、丁寧に選りすぐり織り込んでゆくのです。

そんな人生を体験せよ!
そのような腰が据わったメッセージが感じられます。

内なる光輝や可能性と、外からの導きや人々との関わりが交錯し、美しく調和の取れた姿に織り上げていくのです。それはまさに、それぞれのレイヤーが日々織りなされる美しい幾何学模様のように、人生も多様性と統合インテグラル性を持ち合わせているのかもしれませんね。



シュタイナーのこよみは、日々の観察から、
あせらず、その日その日に受け取った感性を
あなたの中で、萌芽させ成熟させる習慣が大切なのです。



そして長い目でみたとき統合インテグラルされてゆくのですね。




シュタイナーさん
ありがとう

では、また


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