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中国人、手土産をその場で開けるか開けないか

親戚の子が持ってきた大量の手土産に
文句言いまくりの義父にその理由を聞き、
一応納得して義父宅のドアを出たのだが、


ふともう一つの疑問が湧いてきた。

中国では、相手が持ってきた手土産を
その人の前で開けるということをあまりしないようだが、
わたしが親戚の持ってきたシャインマスカットを
食後に出したのは、もしかして良くなかったのか?

閉めたドアをもう一度開けて義父に聞いてみると、
それはまぁ、親戚だから、別に出しても特に問題ないが、
ふつう、接待する側で果物やナッツ類などを準備して
すでにテーブルいっぱいに並べてあったりするので、
わざわざ客が持ってきたものを出すということは
あまりないとのこと。

なるほど、そういうことか。
日本だと、訪問者が持ってきた手土産は
開けてみんなで分けて食べたりするのが普通なので、
もらった手土産をそのまま開けないほうが失礼な感じもするが、
中国だと、持ってきてもらった手土産を
わざわざ出すまでもなく、ホスト側で十分準備してあるよ、
ということで、手土産に手をつけないほうが多いのかも。
中国人は「足りている感」を重視し、「不足感」を嫌う。

そういえばまだ日本に住んでいた若かりし頃、
中国人の友人宅に遊びに行った時、
手土産にイチゴ大福を持って行ったのだが、
それは最後までみんなの前に出てくることはなかった。
友人1人でイチゴ大福を10個も食べられないはずだが、
その友人には、訪問者が持参した手土産をみんなに出すという
発想自体がなかったようだった。

手土産を開けないということのほかに、
中国では手土産を持ってきても、
それを相手に手渡しせずに、その辺にポンと置いておく
という場合も結構あって、なぜなのかと不思議に思っていたのだが、
そもそも手土産を重視しない、どうでもいいという様子でいることが
中国の礼儀にかなう部分もあるのかもしれない
(時と場合によるとは思うが)。

日本だと、「つまらないものですが」なんて言いながら
丁重に手土産を差し出したりするところが、
中国の場合、親戚の家に行ったりしても、
手土産は本当につまらなさそうに、
どうでもよさそうにその辺にどさっと置く。

「手土産なんかより人情、会えたことが大事」
ということなんだろうか。

訪問者が持ってきた手土産に
日本人から見ると相当強い調子で「不要」を伝えることにはじまり、
手土産を開けるかどうか、
手土産の渡し方、置き方ひとつをとっても
表面的には日本と中国で真逆ともいえる行動の違いがあるが、
義父の話から、その奥にある中国人の思考回路に触れ、
とても興味深く感じた一件だった。


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