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【愛媛-南予】宇和島の山奥で、たった1人みかんを管理するおじいちゃん農家の話。

愛媛県・南予の柑橘農業システムのデジタルプロモーションを担当することになったので、南予へ1週間ほど視察に行ってきました。

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◾️76歳、みかん農家。

AM8:00。外の気温は37度、快晴、ほとんど無風。

宇和島の海沿いから少し山に入った細い農道で、みかんの木陰で涼んでいるおじいちゃんと出会いました。
南予に来て最初のみかん農家さんらしき人。早速声をかけてみることに。

年齢は76歳。20代の頃からみかん農家を始めて、およそ50年。今でも広くて急斜面なみかん畑を1人で管理しているとのこと。
「百姓はいい仕事じゃない。」
しきりに口にするおじいちゃんは、あと二、三年でみかん農家を引退しようか考えているそう。

◾️「この場所は森を切り開いて畑にしているんですね。」

みかんの生産が盛んな南予エリアですが、その地域内でも色々と差があるようでした。この畑には石垣がなく、周りが背の高い草や雑木に囲まれています。八幡浜や、西予のみかん山は、麓から山の上まで、所狭しとみかん畑になっていたけれど、この場所は、山や森の一部が開けていて、ひっそりとみかん畑があるといったような感じ。

「昔はこの辺りも全てみかん畑だった。」

山の一部が開かれているのではなくて、多くのみかん畑が衰退し、その畑が森に飲み込まれていたのです。
パッと見た感じ、みかん畑として残っているのは土地全体の2~3割程度。よく見てみると、放置されて雑草に塗れているみかんの木や、運ぶためのレールが放置されています。

まさに、衰退途上の地。

生産量1、2位を争う愛媛のみかん。正直ここまで衰退が進んでいるとは思っていなかった。助け合っていたかつてのみかん仲間も、今はもう引退している。他のまちで見たような活気が、この場所にはありませんでした。

◾️「事業継承はしないんですか?」

「みかん(百姓)はお金にならないし、本当に過酷。そもそも継ぎたいという人が現れないし、現れたとしても、自分(おじいちゃん)がわざわざ教える理由もない。」

太い道ぞいや、人の多い集落の近くには、継ぎたい若者がたくさん集まるそう。便利な場所や、景観の良い場所というわけでもない、おじいちゃんの山奥の畑には、若者は誰も来てくれないとのこと。
ましてや、SNSやネットに疎い高齢者層。集落にも若い世代はほとんどおらず、若手世代とつながりを持つことさえ一苦労。

事業継承の大きな狙いの一つに、高い金額で土地や技術を売る、M&Aのような考え方もあります。ただ、不便な場所にある、衰えたまちのみかん畑は、高く取引できる見込みが低い。

景観を残したり、技術を引き継ぐことは大切だけど、正直しんどい。
だから、このままひっそり終わらせるのが良いのかもしれない。

事業継承したいのは、まちの魅力や資産として残したい、行政の主観でしかないように思います。農家として、また違った意見があるのも当然です。

南予の魅力を伝えるためにこの地を訪れたものとしては、この地のみかんが少しでも長く残るように、手助けしてあげたいところなのですが、
そんな話を聞くとなんだか、そんなことも言えなくなってしまいました。

◾️それでもやっぱり、みかんが好きなんだと感じた。

別れ際に、おじいちゃんはお土産をくれました。

「これ、うちの畑で採れたみかん。一個持っていきなさいや。」
夏に取れる品種のみかんは、大きく、ずっしりと立派なものでした。

晩柑という品種のみかん。スッと爽やかな香りがする。

もうダメだとしきりにいうおじいちゃんでしたが、早朝に畑に訪れ、草を刈り、木を育て、やはりみかんが好きでこの仕事をやっていることが伝わってきます。年齢や、周辺環境など、時間の流れに逆らえず、なかなか思うように農家を続けられない。そんな歯痒い思いもどこかにあるのではないかと思います。

一生かけて大切にしてきたみかん畑を、誰か見ず知らずの人に、安い金額で明け渡すくらいなら、いっそ自分の代で終わりにしたい。
そんな思いがあるように聞こえました。

◾️本当に困っている人は、声すらも届かない。

このおじいちゃんに対して、どうしてあげるのが良かったのか。
しばらく経った今でも、その答えは出ません。

ネットやSNSにあがる、「地方で困っています!」というのは、全体の課題のうちの、本当に表面的で一部分に過ぎないんだなと痛感しました。

僕たちが、こうしてプロモーション事業を取り扱うにあたり、解決にむけてアプローチするべきはこういった課題なのではないだろうかと思います。

「また秋に、収穫を手伝いに来ます。」
そう言い残して、僕たちは次の場所へ旅立ちました。


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