ソース原理の提唱者ピーター・カーニック氏のメッセージ:来日プレイベントで語られたソースの核心とは?
今回は、2023年2月に開催されたピーター・カーニック氏(Peter Koenig)の来日プレイベントの記録です。
当日はおよそ70名近くの参加者がピーターの語るストーリーに耳を傾けていました。
ソース原理(Source Principle)とは?
『ソース原理(Source Principle)』とは、イギリス人経営コンサルタント、コーチであるピーター・カーニック氏(Peter Koenig)によって提唱された、人の創造性の源泉、創造性の源泉に伴う権威と影響力、創造的なコラボレーションに関する洞察を体系化した知見です。
不動産業界で成功したビジネスマンとしてキャリアを進んでいたピーター・カーニック氏は、クライアントたちとの交渉の中で相手側が不合理な判断・意思決定を行う場面を目にしてきたといいます。
このことをさらに突き詰めていくと、『お金と人の関係』がビジネスにおける成功、人生の充実に大きく影響していることに気づき、ピーターによる『お金と人の関係』の調査が始まりました。
その後、お金に対する価値観・投影ついて診断・介入できるシステムであるマネーワーク('moneywork')が体系化され、その過程でソースワーク(Source Work)が副産物的に生まれてきたとのことです。
マネーワーク('moneywork')は自身の内面を扱うインナーワークに比重が置かれており、ソースワーク(Source Work)はアイデアを実現するためのアウターワークに比重が置かれていると言います。
ピーターの「人とお金の関係」の研究及びマネーワークについては、以下のインタビュー記事もご覧ください。
ソース原理(Source Principle)の広がり
日本においてのソース(source)の概念の広がりは、『ティール組織(Reinventing Otganizations)』著者のフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって初めて組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となっています。
フレデリックもまた、ピーターとの出会い、そしてピーターからの学びを通じて、書籍においては2016年出版のイラスト解説版『Reinventing Organizations』の注釈部分で記載している他、
『新しい組織におけるリーダーの役割』と題した動画内で、このソース原理(Source Principle)について言及しています。
ソース原理(Source Principle)を取り扱った書籍については、昨年2022年10月にトム・ニクソン(Tom Nixon)著『Work with Source』の邦訳書籍『すべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』が出版されました。
そして、この邦訳出版の流れに伴い、トム・ニクソン氏の来日イベントも邦訳出版前に実現されています。
日本での流れに先立ち、ソース原理(Source Principle)が世界で初めて書籍化されたのは、2019年にステファン・メルケルバッハ(Stefan Merckelbach)『A little red book about source』のフランス語版が出版された時でした。
その後、2020年に英訳出版され、
2021年3月にトム・ニクソンによって『Work with Source』が出版されました。
2022年10月に出版された、『Work with Source』邦訳書籍である『すべては1人から始まる』は、このような流れの中に位置づけることができます。
ソース(Source)とは?
トム・ニクソン『Work with Source(邦題:すべては1人から始まる)』を参照すると、ソース(Source)とは、あるアイデアを実現するために、最初の個人がリスクを取り、最初の無防備な一歩を踏み出したときに自然に生まれる役割を意味しています。
また、本書中の用語解説では、『脆弱なリスクを取って、ビジョンの実現に向けて自らを投資することで、率先して行動する個人のこと』と説明されています。
ステファン・メルケルバッハ氏の書籍においては、この役割を担うことになった人について、特に「ソース・パーソン(source person)」と呼んでいます。
トム、ステファンの両者に共通しているのは、ソース(Source)は特別な人だけがなれる役割ではなく、誰もがソース(Source)である、というものです。
アイデアを実現するために一歩踏み出すことは、社会を変えるような大きなプロジェクトの立ち上げに限りません。
自身の研究課題を決めること、就職を思い立つこと、ランチを作ること、休暇の予定を立てること、パートナーシップを築いていくこと等、日常生活の様々な場で誰しもが何かのソース(Source)として生きていることを両者は強調しています。
ソーシング(Sourcing)と深い尊敬(Deep Respect)
昨日のイベントはピーター・カーニック氏に吉原史郎さんがソース原理についてインタビューする形で進められました。
以下のような問いがピーターに投げかけられていました。
ピーターの話で興味深かった点は、
この3点でした。
また、昨日はソース原理に関する国内・国外の関係者・サブソースの名前も多く出ました。
サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)とは、あるソース(source)のビジョンや価値観に共鳴し、あるソース(source)の活動の特定の部分において、ソース(Source)への深いリスペクトをしつつ、創造的に取り組むようになったパートナーと言える存在です。
今年4月のピーター・カーニック氏の来日決定は、アレクサンダー・インチボールド(Alexander Inchbald)氏と宇敷珠美さん(一般社団法人日本適性力学協会)の存在、
そして、昨年の「すべては1人から始まる」出版(令三社)が大きかった、とのことです。
昨日のイベントが実現されるまでにも、主催団体のenfacのみなさん、逐次通訳を務めてくださった福島由美さん、そして循環グローバル探究コミュニティの取り組みなど多くの方々の貢献で実現されたのだと、改めて実感できる時間でした。
昨年から続くソースの探究ですが、日々の、本当に身近なところから活かしていくことを大切にしつつ、今後も継続していきたいと思います🌱
2023年4月以降のソース(Source)関連イベント
今年4月にはピーター・カーニック氏が来日することが決定しています。
日本滞在中は、4月5日のカンファレンスに加え、その後の小規模な「お茶会」&プログラムが開催予定です。
また、今回の来日はピーター・カーニック氏の著書である『30 Lies About Money』の邦訳出版のプレイベントと銘打っており、今年冬にかけてさらに、ソース(Source)に関する探求は盛り上がっていきそうです。
さらに、今回のピーター・カーニック氏来日以降も、彼のサブソース、コラボレーションのパートナーが参加するプログラムが予定されています。
ナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)がサポーターを務めるマネーワークプログラムが4月中旬に開催を予定している他、
ピーターに『Source Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)』を学び、ピーターと共同プロジェクトを進めているアーティスト・アレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)が主導するJ.Creationというプログラムが6月に予定されています。
本プログラムには、コーチ陣にピーターの他、国内のティール組織のムーブメントを牽引してきた嘉村賢州、吉原史郎の両名も加わる予定です。
サポート、コメント、リアクションその他様々な形の応援は、次の世代に豊かな生態系とコミュニティを遺す種々の活動に役立てていきたいと思います🌱