ゼロから始める伊賀の米づくり59:一つひとつ、丁寧につまづいての今年の稲刈り
2024年9月。父から継いで5回目の稲刈りは、タイトルにあるように一つひとつの工程でトラブルが発生し、なかなかスムーズにいかないものとなりました。
そんな中、ようやく稲刈りをスタートし、田んぼの中の稲が収穫されていく様子をまとめたのが、前回の記録です。
この記事では、父の友人が趣味でやっているドローンにより、空中から撮影された写真も合わせて、時系列ごとに景色の変化を追っていきました。
今回は、実際の作業工程についてどこでつまづくことになったのかを、備忘録も兼ねてまとめていければと思います。
台風による収穫の遅れ
まず第一は、台風10号の影響による収穫の遅れです。
発生当時の台風10号の進路は、かの伊勢湾台風のように和歌山県、三重県へまっすぐ上陸するルートを辿る予想が出ていましたが、蓋を開けてみると九州方面に向かった後、九州、四国、太平洋にもう一度出たかと思いきや、愛知県付近に再上陸するという予測のつかないルートを辿りました。
その結果、当初予定していた日程から遅れること3日ほど経ち、ようやく稲刈りができる状態となったのです。
機械のトラブル
続いて起こったのが、さまざまな機械類でのトラブルです。
コンバイン、軽トラ、乾燥機、籾摺り機など、稲刈りの工程にはさまざまな機械が活躍しますが、これらあらゆる機械が一度作業中断したり、停止したりとトラブルに見舞われました。
コンバインは稲穂がカットされなかったり、すぐに詰まりが起こってしまうなどです。
続いて軽トラですが、こちらは降り続いた雨の影響により地面がぬかるんでしまい、泥にはまり込んでしまうというトラブルがありました。
写真で振り返ってみると、タイヤが半分近く埋まってしまっています。
軽トラはジャッキで引き上げ、タイヤに梯子を噛ませるなどして、最後は大人三人がかりで押す形でようやく泥から脱出することができました。
軽トラがハマってしまっては、荷台に積んだ籾を乾燥機に入れることはできません。
今まで体験したことのないトラブルが続きます。
そんなこんながあり、ようやく収穫を進めていくことができましたが、収穫後の田んぼを見ると、水溜りがいくつもできているのが確認できます。
コンバインが方向転換のために切り返すごとに、轍が生まれ、そこに水溜りができていたようです。
これまで体験したことがないほど、ギリギリ収穫できる程度に田んぼも稲穂も渇いた状態での作業だったので、余計に目立ったように思います。
後から取り組んだ神社前の田んぼは、まだ水溜りが少なく、収穫そのものもスムーズに進んだように思います。
さあ、収穫を終えていざ乾燥と籾摺りをしようと思うと、今度は乾燥機、籾摺り機などが途中停止してしまいます。
自分達でわかる範囲で分解しながら作業しても埒が明かず、ご近所の機械整備士さんのヘルプをお願いしながらさらにあちこちの分解を進めていきました。
すると、どこから忍び込んだのかネズミが侵入し、機械に布などを詰まらせていたことがわかりました。
以上、さまざまなトラブルを一通り体験し、機械に対する理解やトラブルへの対処法がグンと身についたように思います。
気を取り直し、最後の袋詰めへ
数々の苦難を乗り越え、稲刈りと籾摺り、袋詰めまでを済ませ、今年の収穫作業は終了しました。
一度作業が終われば、最後は機械整備と片付けです。
今年90歳を迎え、農家を引退してしまったご近所さんの倉庫を参考に、足元にチリ一つないような整頓された環境をめざします。
最後、自分はコンバインを分解し、詰まった稲藁などを一通り掻き分け、水で泥を落とし、定位置へ戻して作業終了です。
父から継いで5年目の稲刈りは、かつてないほど心身ともに消耗するものとなりました。
台風が過ぎてからの晴天も厄介で、作業に当たっていた家族みんなが熱中症になるかけるなど、油断できない状態にありました。
これら一つひとつのつまづきも、翌年以降に活かす糧です。
きっちり経験値として昇華し、来年以降の作業をよりスムーズにできる学びとしていければと感じました。
こうして記事にまとめ、「鉄は熱いうちに打つ」がごとく、形に残すこともできてよかったです。
作業が一段落した後、近所の神社や仏壇に手を合わせにいき、今年の収穫作業は無事に終わりました。
ここから秋、そして冬がやってきます。