支出の話をしよう#1

はじめに

年末に世知辛いことを書こうと思っていたわけではない。元々、収入の話をしよう、を書いた頃にセットで書きたいと思っており、たまたまこの時期になってしまった。支出の話が好きな人はいない。数字を見ずにお金を使えるに越したことはないし、誰だって好きなものは好きなだけ買いたい。私たちは、極限まで節約が出来る人ではないし、欲しい物は欲しいふつうの人だ。だからこそ、何をどう管理すれば余裕が生まれるのか知っておく必要がある。

自分を愛する

これまでの記事の中で最低でも月の同一日(例えば25日なら25日)で総資産がプラスになっているかどうかを管理すべき、と書いてきた。慣れてくれば週次や日次で管理出来るようになるけれど、月次の増減がマイナスに振れている人や期待した資産の増加が見られない人は収入と支出の戦略を変えていこう。収入を一朝一夕に変えるのは難しいが、支出についてはそれ程難しいものではない。世の中の記事や本を読んでみると、コンビニで買い物はするな、生活必需品はバルクで買え、スターバックスやiphone は贅沢品であり、水筒やお弁当を持ち歩いて、公共交通機関を使えとある。

間違っていない。けれどもっと大切にして欲しいことがある。自分を愛することや大切にしていることにきちんとお金を使おう。あなたの心と身体は有限である。若い頃はそれはあたかも無限かのように感じるが、真実ではない。心と身体のケアを怠れば忽ちあなたは心身のバランスを崩すだろう。何かを節制して絞り込む事を考える前にあなたが大切にし、捨てられないものを考えるべきだ。3度の食事を摂り、適度に身体と頭を動かし、風呂に浸かり、きちんと寝る時間を確保する。並以上の寝具があればなお良いが、リズムを作ることが大切だ。そして、あなたが大切にしている事にしっかりと時間やお金を使おう。ただし、身を滅ぼす程の投資は自分を大切にしていないことに他ならない。

大切なものを見極めたら

自分にとって大切なものを見極めたらその他の支出など取るに足りない。もちろん、大切なもの以外は捨ててしまえと言っている訳では無い。興味がないものやつまらない揶揄に付き合っているほど私たちの人生は長くない。他人の視線が気になるのであれば程々で良い。自分の人生を大切にしているあなたが、他人の目線を気にして大事でないものに過度なお金を使うのは賢い選択とは言えないだろう。先日、収入の少ない自分を変えたいと相談を下さった方がいる。彼は自分の収入が少なくそれは不遇と上司の不理解が原因であり、住民税非課税世帯であることを嘆いていた。彼は一息に自分のことを話し終えるとおもむろにスマートフォンを取り出し、自身がよく見ているYouTubeについて教えてくれた。僕は目を疑う。iphone16である。聞けばキャンペーンで30GBのパケット契約と一緒に入手した物だと言う。もしかすると彼にとって良いスマートフォンを持つという行為はとても意味のあるものかもしれない。或いは自分のために30GBの容量が必要な可能性もある。もしそうでないならば彼にはiphone16 を買う必要はないし、30GBのパケットもいらないだろう。大切なモノを見極めるというのは大切でないモノの格を落とすということでもある。彼に必要なのは、価値観の棚卸しであり、節約生活に入ることでも、収入を短期的に増やすことでもない。

おわりに

ちなみに私のスマートフォンは4年前にAmazonで購入したミッドレンジのAndroid であり、そろそろメーカーがパッチを出すかどうか怪しい時期である。月の電話代は1300円程であり、パケット使用量は元々2GBであり、あとは都度購入でユニットを買い増ししている。そろそろいい加減替え時だが、そもそも端末に興味がないため、ミッドレンジ以外は購入したことがない。こんな奴にスマホのアドバイスなどされたくないだろうが、僕が伝えたいのは、興味がないものは程々でよい、ということである。さて、こんな使い方をしている私には売り場の営業マンは全く寄ってこないので、買い替えさえままならない身だが、お互いに時間のムダは避けたいわけで、それこそが究極の支出管理なのかもしれない。この記事が少しでも困っている人に届きますように。