適応障害

3週間くらい前になる。

学校が同じ子から連絡がきた。

その子からは初めての連絡だったので、着信履歴を見て目を疑った。

相談がある。

そう書いてあった。

仕事の休憩時に電話をした。

いつも元気な彼女が元気がなかった。

少し泣き声だったかもしれない。

最近、調子が悪くてつらいというものだった。

そして、もしかすると適応障害かもしれないと告白された。

詳しく教えてほしいとも言われた。

あまり良い過去ではないが、私は7年くらい前に適応障害になった。

原因は、上司からのパワハラだった。

まだ若かった私は自分の能力、こころを過信していた。

誰かに頼ること、助けを求めることを恥ずかしいことだとも思っていた。

パワハラはエスカレートした。

わたしを守ってくれる人は誰もいなかった。


最初の異変は、眠りが浅くなることだった。

普段は夢を見ないのに、夢を頻繁にみるようになった。

疲れも感じるようになった。

電車に乗っていると、なぜか涙がでた。

ご飯の味もしなくなった。

食欲もなくなった。

仕事場では書類を読んでも頭に何も入ってこなくなった。

感情というものがわいてこなくなった。

ただ、死にたいなと思う感情とこのままじゃダメだという感情だけが辛うじてわいた。

死ぬ前に病院に行くことにした。

適応障害と言われた。

薬を処方され、先生に言われたとおり薬をのんで、ただ何もせず、ひたすら寝る生活をした。

1週間くらいたったころから少しずつ感情がわいた。

ご飯も味がするようになった。

テレビを見て少し笑えるようになった。

そこから少しずつリハビリをした。

近くを散歩する。

一人で出かける。

買い物をする。

映画をみる。

職場以外の人と会ってみる。

少しずつ、少しずつ、できることをした。

復職するまで2ヶ月はかかった。

今、わたしは生きている。

彼女に当時のことを話し、病院を薦めた。

彼女は病院にいき、会社を辞め、少し明るくなった。

誰かの力になれたなら、あの経験も無駄じゃない。

窓から差し込む太陽が眩しかった。



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