繊維の種類41:レーヨン
おはようございます。
今日もしんみり寒さが染みる、朝焼けが綺麗な朝。
さて、今日からは化学繊維の、まずは再生繊維のレーヨンに関して学んでいきたい。
再生繊維
再生繊維は天然の高分子化合物(植物から得られるセルロース繊維)の繊維組織を化学処理によって一度溶解してから再生させて紡糸した繊維。
もう少し平たく言うと、レーヨンの原料となる原木から精製したパルプをアルカリ処理し、二硫化炭素と反応させた後、アルカリ溶液に溶解して紡糸原液(ビスコース)とする。この原液を凝固浴に押し出して繊維に再生する、のだという。
レーヨン・キュプラ・ポリノジックレーヨンに加えて、牛乳やトウモロコシなどのタンパク質由来のカゼイン繊維、コンブ等の褐藻類に多く含まれるアルギン酸を原料にしたアルギネート繊維などがある。
レーヨンの特徴
絹に似た美しい光沢があるのが特徴で、てろんとしたとろみのある肌触りでエレガントな質感。前に学んできた様に天然繊維の中で最も高価であった絹は、上級階級の人々しか手に入れることができないものだった。それを一般市民でも手に入れられるよう、また安定的に供給できるよう、19世紀から人工的に絹を作ることを目的に開発されたのがレーヨンであり、このためレーヨンは別名「人絹(じんけん)」とも呼ばれる。
メリット・デメリット
シルクのような風合いと光沢を持ち、吸湿性・吸水性が良く着心地がいい、毛玉ができにくい。また、木綿と同じ染料で良く染められるといった加工のし易さもある。
一方で、水に弱く濡れると強度が落ちる、ウォータースポット(輪ジミ)になり易い、摩擦に弱く洗濯で縮やすくシワになりやすい、擦れにより白化する等の欠点もある。
こうしたデメリットを補うために、綿など他の繊維と混紡してよく使用されている。こうして他の素材を混ぜることにより、美しい光沢やドレープ性などを保ったまま、洗濯しやすくなるため衣類などに使いやすくなるのだ。
用途は、下着、裏地、特に婦人服が多い。
レーヨンが生まれた経緯
まだ合成繊維が作られる以前の1855年にフランスで特許が取得されて最初に人工的に作られた繊維がレーヨン。ニーズとしては、上記の通り絹のような素材をより一般的に使えるようにすることだった。
初期のレーヨンは天然のセルロースを硝酸と硫酸で処理した綿状の物質(ニトロセルロース)を有機溶媒で溶かして小さな孔から噴出させて得られる細くて光沢のある繊維だった。当時はまだ低分子(モノマー)を重合して高分子である繊維を人工的に製造する技術が無かったので、天然の高分子である綿などのセルロースを薬品で溶かして、細くて長いフィラメント糸を紡出する方法で初めての化学繊維が作られた。溶かした天然の繊維を人工的に再構成して紡糸されることから再生繊維と呼ばれている。
しかし、初期のレーヨンの原料であるニトロセルロースは火薬の原料になるほど燃焼性が高く、恐ろしいことにレーヨンのドレスを着た人が火だるまになる事故が多発して生産が中止された(当時は蝋燭の使用やタバコも日用品だったし燃え移りうる火種は確かに今と比べても多い)。
後にセルロースを水酸化ナトリウムで処理して再生するビスコース法が開発されて繊維を自在の長さや形状に加工することが出来るようになったことでレーヨン繊維が広く普及した。
また、製造過程で中間生成物であるビスコース(Viscose)を経ることからビスコース・ビスコースレーヨンとも呼ばれる。製造方法を工夫してレーヨンの欠点である強度や寸法安定性を改善したポリノジックレーヨンやブナ材を原料としたモダール®レーヨン(レンチング社)等がある。
また、この再生セルロースを薄いシート状に整形して作られたフィルムがセロファン。セロファンはプラスチック製品の様な印象があるが、天然セルロースを原料としていて、すべてのセルロース繊維と同様に土中や水中で微生物によって分解され生分解性があり環境負荷の低い素材として再評価されている。
明日は、再生繊維のリヨセル(テンセル)も見ていこう。
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