陶磁器14:日本の焼き物(石川県:九谷焼)
おはようございます。
今日はしっかり厚めの雲が空を覆っていつ雨が降ってもおかしくなさそうな空模様。台風も九州に上陸しているようなので被害が最小限でやり過ごせますように。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
5回目の今日は、北陸に飛んで石川県の久谷焼。
九谷焼(磁器)
九谷焼は、石川県南部の金沢市、小松市、加賀市、能美市で生産される磁器。色絵のついた磁器の伝統工芸品で、江戸時代前期に誕生した。
九谷焼の特徴は、鮮やかな色彩と大胆かつ優美な紋様、そして「上絵付け」と呼ばれる技法。上絵付けとは釉薬の上に顔料で絵付けを行い、再度焼く技法のこと。上絵付けに使われる上絵の具は800度程度で焼き付けできるため、顔料の制約が少なく、多彩な色彩が楽しめる。九谷焼のほかに有田焼でも用いられている。
九谷焼の色彩はいずれも鮮やかですが、種類により色合いが異なる。古九谷と木米風では通称「九谷五彩」と呼ばれる5つの色(赤・黄・緑・紫・紺青)を使われる。吉田屋風は、青・黄・紫・紺青の四鮮が美しく、飯田屋風は「久谷赤絵」と呼ばれるほど特徴的な赤色が目立つ。庄三風は古九谷・吉田屋・赤絵・金欄手の手法を兼ね備えたバランスの良さが美しく、永楽風は艶やかな赤と金が施されている。
歴史
九谷焼の始まりは1655年(明暦元年)に遡る。加賀藩の分家である大聖寺藩領の九谷村で生産されたことから九谷焼の名に由来する。
有田で陶芸を学んだ後藤才治郎が開窯するが、わずか半世紀で一度廃窯してしまう。廃窯に至った経緯はわかっていないが、密貿易品の疑いがかかったためという説もある。このわずかな期間に生産された陶磁器は「古九谷」と呼ばれ、華やかな色使いと特徴的な図柄が見て取れる。
廃窯から約100年後に加賀藩の奨励による取り組みによって、再び九谷焼が作られるようになる。江戸時代に加賀百万石と謳われ、絢爛豪華な文化を発展させた石川県では、色鮮やかで絵画的な絵付けの華やかさを特徴とする茶器などの名器が九谷焼で作られている。まず、1807年(文化4年)に京都より文人画家の青木木米が招かれて春日山窯ができ、木米風の歴史が始まった。続いて、1827年(文政7年)には豪商吉田屋伝右衛門による吉田屋風、1831年(天保2年)には飯田屋風、1841年(天保12年)には庄三風、1865年(慶応元年)には永楽風がそれぞれ誕生しました。
1873年のウィーン万博をきっかけに、九谷焼は主要な輸出品となり、「ジャパンクタニ」として世界にも広まっていきました。
地理
石川県の日本海側に位置する、加賀藩の分家である大聖寺藩があった加賀市や小松空港がある小松市辺りが中心となるエリアが中心とされる九谷焼。金沢市から見ると南西に位置し、明日見ていく越前焼を有する福井県境に近い。しかし、山間で発達した越前焼とは異なり、日本海へのアクセスの良さから生産してから運送しやすかったところから、艶やかな加賀の名品ということと相まって輸出産業として発展していくことになったものと思われる。
作り方
陶石の粉砕 まず原料となる陶石を採掘し、粉砕機で細かく砕いて粉末にする。陶石を砕いて作った粉末には不純物が混ざっていてこのままでは使えないため、粉末を水につけて濾す水簸(すいひ)を行い不純物を取り除く。不純物を取り除いて余分な水分を飛ばし、練り上げて空気を抜いたら坏土(はいど)の出来上がり。
成形 ろくろ、ひも作り、手びねり、タタラ作り、鋳込みなど、様々な方法で形を作っていく。高台の削り出しや後付・つまみ作り・縁の仕上げ・模様彫りなど、細かい部分の仕上げを行うのは成形後。仕上げまでできたら天日でしっかり乾燥させ、約800~900度で8時間ほど素焼きする。なお、素焼きをすると土の色が灰色から肌色に変わり、強度を高くなって次の工程(釉薬かけや下絵付け)がしやすくなる。
施釉・本窯 下絵付けが終わったら釉薬をかけます。使うのは、焼きあがった時に透明になるという特徴を持つ「白釉」という釉薬で、本焼きによってガラス質になる。焼き物の表面がガラス質で覆われることによって、器を強化し、器の汚れを防げます。なお、釉薬は厚すぎても薄すぎてもいけない。手早く丁寧かつ均等につけることが大切です。施釉が終わったらいよいよ本窯で、1,300度の高温で15時間ほど焼く。
上絵付け 上絵の具を使って彩色していく。彩色で描かれる紋様や使われる色は、九谷焼の種類によって様々。彩色の前に黒色の呉須で骨描き(こつがき)をすることもあります。骨描きとは輪郭線を引くことで、日本画でも使われる手法。上絵付けが終わったら、800~1,000度で焼成します。この焼成によって上絵の具が釉薬に定着し、美しく発色する。
永楽風など、加賀らしく磁器のデザインによっては、金彩や銀彩を施すことがある。金彩では金箔を、銀彩では銀箔をはりつけ、その上から釉薬をかけてもう一度焼成する。焼成温度は約400度で、この最後の焼成が終われば九谷焼の完成となる。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
僕は幸せになると決めた。
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一歩一歩、着実に歩もう。
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