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池田晃将【アート】
いよいよオリンピックが開幕しましたね。
開催決定以来、国立競技場Zaha案撤回に始まって『狙ってもこんなにバタつかないよね』っていうレベルで失言・過去の過ち・解任・更迭・お上主義のオンパレード。Covid-19での延期がオマケに思える位最後の最後まで色々ありましたが。
しかし、実際に競技を行う選手には何の罪はなく、4年に1度のこの大会を目指して努力をしてきたアスリートには尊敬と共に、Covid-19に感染すること無く無事に全力を出し切って納得の大会にしてもらいたいですね。
今回は先週末にお邪魔してきたアートサロンで拝見してきた、緻密なデザインを実現する螺鈿細工に関してお話ししたいと思います。
螺鈿は光によって美しい色合いが変わり、いつでもいつまでも楽しめるので元々大好きな伝統工芸。日本の伝統である漆に加えて、貝殻の内側にある真珠層を表面に合わせて平にしたりカーブを揃えたりしながら、そして色合いも考慮しながら張り合わせていく。そうやって写実的な模様を写したり、幾何学模様を現します。
最近では様々な色合いの漆も出てきている様ですが、漆黒と言われる深い黒や漆独特の紅色をベースに七色に輝く真珠層の光沢が互いに引き立て合うコントラストで、螺鈿細工はそれはもうとても美しい作品ばかり。
そんな中で、特にいつも作品を楽しみにしているのが池田晃将(てるまさ)さん。
それこそ数年前に『螺鈿』で検索した際に見つけたアーティストで、初めて見た時は文字通り衝撃的でした。
実際に作品を見てもらえれば皆さんもそのインパクトを感じていただけるはず。
(何故か写真の彩度がnoteだと著しく落ちてしまうのですが、実物は色の美しさも破格。)
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デジタルを思わせる数字やドットなど極めて未来的なモチーフを、
透けるほど薄く、
極限まで小さく、
緻密な色合いで、
伝統的な技術を用いて実現。
未来的な要素と伝統的な技術、この対極の融合が、違和感を通り越して独特の完成された世界観になっている。
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そしてアートとしてだけでなく、この円筒形のものは茶筒として実際に使える様に内側は漆のみの仕上げに留めている。一方で茶道具や仏具の一種でもある香を収納する蓋付きの小さな香合では内側までも細緻な仕上げが施されている。こうした『あくまで人に使われるもの』としてのこだわりや『使い手への配慮』を見るにつけ、伝統工芸家としての出自を感じさせる。
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どの角度から見ても、図柄と共に螺鈿ならではの光り方で違った表情を見せ、見る度に新たな発見がある。大きいものでも一辺が10cmを超えることがまずない極めて小さな世界の中に無限が閉じ込められている様な作品達。
いつでも、そしていつまでも楽しめる、本当に美しい作品ばかりでした。
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まさに眼福、大満足のひとときでした。
池田さんの作品はもちろん、漆文化に密接なため京都や金沢などに多くの作家や工房があり、螺鈿製品の展示はさまざまな所で開催されているので、今回興味をお持ちになった方は是非観に行ってみてください。
最後に実際の色合いが少しでもご覧いただけるように池田さんのサイトをご紹介させていただきますね。ぜひご堪能ください。
皆さんの、明日から始まる一週間が、オリンピックのモヤモヤも選手への敬意と応援に変えつつ、同時に美しいものに心の留めて落ち着いて和やかになれる、そんな一週間になります様に。