陶磁器24:日本の焼き物(三重県:萬古焼)
おはようございます。
今日は完全に暑さが戻ってきて寝起きから汗ばむくらいの、熱帯夜からの日差しも暑い典型的な残暑厳しい晩夏の朝。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
15回目の今日は、三重県の萬古焼。
萬古焼(陶器)
四日市萬古焼とも呼ばれる萬古焼は、三重県四日市市で作られている陶器。
古くより茶碗や皿などの日用品や壺などの芸術品が作られ、現在では紫泥急須や土鍋が代表的な生産物となっている。特に土鍋においては国内生産の土鍋の8割から9割が萬古焼と言っても過言ではない。
萬古焼の特徴は、使用される陶土から生まれる優れた耐熱性。土鍋の陶土には、葉長石(別名ペタライト)と呼ばれる熱に強いリチウム鉱石を40%ほど混ぜている。これにより強度が増し、直火や空焚きにも耐える耐熱性が生まれる。この技法は萬古焼の特許で他では見ることはない。
また急須は、鉄分を多く含む土「紫泥」を用いて焼き上げる。含まれる鉄分が炎によって独特の色合いを生み出し、また使うほどに味わいのある光沢が増していく。萬古焼の急須は、素地に含まれる鉄分が煎茶のタンニンと反応しお茶の渋みを和らげる効果があることから、お茶の旨みを引き出す急須として高く評価されている。
歴史
萬古焼の歴史は、今から約300年前に遡る。江戸時代の元文年間(1736年~1740年)、商人であり、茶が趣味であった沼波弄山(ぬなみ ろうざん、1718年~1777年)が、現在の三重郡桑名町に自ら窯を開き、茶器を焼き始めたのが始まり。自身の作品に「いつまでも永遠に変わらぬ生命をもつ」という意味の「萬古不易」の印を押したことが、萬古焼の名前の由来と言われている。
弄山の死後、一時期途絶えた萬古焼だが、その約30年後の江戸時代後期になり、古物商であった森有節(もり ゆうせつ)・千秋(せんしゅう)兄弟により再興。抹茶に代わり、流行しはじめた煎茶のための急須が誕生したのがこの時期。
萬古焼は、時代とともに古萬古、有節萬古、明治萬古などと呼ばれ、それぞれに異なる特徴を持つ。
地理
萬古焼の産地は三重県四日市市をメインとし、愛知県との県境にあり沼波弄山が焼き物を始めた桑名市のすぐ隣、伊勢湾の一番奥、伊勢湾に注ぐ木曽川の西側に位置する。緯度で見ると琵琶湖の南端に位置する津市とほぼ同じ。
川に関して見てみると、三滝川がある中でその北を流れる少し細い海蔵川流域をメインとして窯が点在している。歴史として300年として陶磁器の歴史としては浅く、農地として水が豊富な三滝川流域は田んぼや畑として使われていたから、海蔵川周辺の方が後から窯を作りやすかったのかもしれないし、海蔵川は1.5kmに渡って桜並木が有名なので、当時からそうした趣があって好まれたのかもしれない。
もともと四日市が発祥ではなかった萬古焼が「四日市萬古焼」と呼ばれ四日市に定着したのは、明治時代に入ってからのこと。港があり、燃料である石炭を入手しやすかったこと、貿易港として流通に適していたこともあり、全国有数の陶磁器の産地として発展を遂げる。
毎年5月中旬には、四日市市の萬古神社周辺において「萬古まつり」が開催されます。地元の窯元から出展される陶芸家の作品の数々と触れ合えるほか、手頃な価格で販売されることもあり、全国から多くの人が訪れます。
作り方
坏土工程 素地になる粘土を作りだす工程。配合は各窯元がそれぞれ独自の配合となるが、鉄分を含んだ赤土粘土と黄土をブレンドして陶土を作る。
素地成型工程 数種類の土を均等に混ぜ合わせ、土の中の空気を抜いてゆく。練った土が菊の花弁に見えることから菊揉みと呼ばれる工程。
土の硬さを均等にするためのなたうち(土ごろし)をした後、成形に入る。成形には「ろくろ成形」、木型による「押型成形」、「手ひねり成形」の3つの技法がある。
木型での押型成形は萬古焼の再興に携わった森有節が考案した独特の技法で、現代でも受け継がれている。パーツごとの木型に布や和紙を貼り、その上に薄く伸ばした土を巻きつけ、木型を抜き取って成形する。急須は、胴体、蓋、取手、つぎ口、茶こしのパーツから成るため、同じ要領で各パーツを成形する。素地模様付け工程 急須の表面に装飾してゆく工程。代表的な模様には、透かし紋、びり、千筋、石目、虫くい、松皮、張り付け、ちぎれ線筋、櫛目、印花、化粧掛け、どべたたき、亀甲(ダイヤカット)、六兵衛がある。伝統的工芸品の条件である14種類の模様のほかにも現代風のものまで、さまざまな模様が生まれ続けている。
仕上げ・乾燥工程 乾燥させたのち、胴体、蓋、取手、つぎ口、茶こしの接合を行います。急須の底(高台)や蓋のつまみを削るなどの調整を行い、各パーツ専用の磨きカンナや木の葉を用いて磨きをかける。
彫り模様付け工程 素地模様付けの工程を行っていないものに彫刻刀で模様を施す作業。線彫りや引き彫り、曲がり刀彫りなどさまざまな彫刻技法がある。
素焼き工程 施釉(釉薬をかけること)や下絵付をしない焼き締めの技法が伝統的な萬古焼だが、施釉や下絵付をする場合にはここで約800℃の素焼きを行う。施釉には、釉薬の入った容器に製品を浸して引き上げる浸し掛けと、手杓を使って釉薬を流し掛ける流し掛けの方法がある。
本焼成 1180℃から1200℃の温度で一昼夜かけ本焼成を行う。還元焼成という技法によって、萬古焼特有のあずき色が生まれる。還元焼成とは、窯の中の酸素を少なくすることで不完全燃焼させ、蒸し焼きの状態で焼成する方法。同じ陶土でも、焼成時の酸素量や温度によって色に変化が生じ、また還元焼成することで土が締まるため、焼成前に比べサイズがひとまわり小さくなる。
上絵付 焼き上がってからさらに装飾を行う。盛り絵、赤絵、金彩、銀彩などの上絵付け、イッチン、ぼかし、線描きなどの技法がある。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。