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陶磁器37:日本の焼き物(長崎県:波佐見焼)

おはようございます。
今日は一日中雨で、しかもこれから気温がどんどん下がっていくという不思議な天気。

さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
28回目の今日は、長崎県の波佐見焼。

唐津焼(磁器)

波佐見焼は、長崎県東彼杵郡波佐見町で作られている磁器。戦国時代の後期に誕生した伝統工芸品で、現在も日用食器として親しまれている。
波佐見焼の特徴は、白磁と透明感のある呉須の藍色が美しさ。波佐見焼の中でも、くらわんか碗やコンプラ瓶、ワレニッカ食器などがよく知られている。
くらわんか碗は、「餅くらわんか、酒くらわんか」という掛け声とともに売られたことから、その名前がついた。コンプラ瓶は、主に輸出向けに作られたもの。語源は仲買人を意味するポルトガル語で、金富良商社が酒や醤油を輸出するためにコンプラ瓶を使っていた。コンプラ瓶に酒や醤油が詰められて輸出されていたのは幕末頃で、出島からヨーロッパなどに輸出された。
ワレニッカ食器は1987年(昭和62年)にその名の通り割れにくい給食用の食器として開発されたもので、強化磁器のルーツとも言われている。最初は町内の小学校のみでしたが、給食の普及に伴って県外の学校や病院へも出荷され、全国で使われるようになった。

歴史

1598年(慶長3年)大村藩主の大村喜前が朝鮮の陶工を連れ帰ったことが波佐見焼の始まりで、翌年の1559年(慶長4年)から実際に焼き物作りが始まった。当時の窯のタイプは登窯で、畑ノ原・古皿屋・山似田の3カ所に窯が設けられていた。
現在の波佐見焼は、白磁と藍のコントラストが美しい染付・青磁作品が主流ではあるが、窯を築いて間もないころは施釉陶器を作っていた。染付・青磁が主流になったのは1602年(慶長7年)以降のことで、磁器の原料が見つかったために次第に施釉陶器から磁器へシフト。その後、磁器の生産量が増え江戸時代後期には生産量日本一になるほどの成長ぶりを見せた。
生産量が日本一になった背景には「くらわんか碗」の存在がある。江戸時代の庶民にとって陶磁器は高級品でしたが、くらわんか碗は手ごろな値段で販売されていたため、多くの庶民の食卓を彩りました。

地理

波佐見焼で知られる長崎県東彼杵郡波佐見町は、佐賀県との県境にあり、九州の北伊万里湾のある伊万里市から南下すると有田市があり、そのすぐ南が波佐見町と位置関係にある。
有田市とも山間を抜けていけばすぐの隣町であり、県道4号線(川棚有田線)がその名の通り有田市を始点に波佐見町を経由して大村湾沿いの川棚町を結んでいる。この道がいつから整備されたかは不明だが、古くは波佐見焼も有田焼や伊万里焼として扱われていたことを考えれば、このルートは古くから交通の要所ルートとして使われていたことが容易に考えられる。
川棚川がこの県道4号線に寄り添うように流れているが、その河口の川棚町には波佐見焼に関連する窯等はポツンポツンと点在する程度で、こちらのルートよりもやはり北の伊万里からの出荷がメインだったものと思われる。
明日見る三川内焼は、波佐見町のすぐ西の山間に位置する。

作り方

  1. 陶石・粉砕 波佐見焼を作るための原料として、天草陶石が使われる。天草陶石は、天草半島から採掘される粘土の陶石。天草陶土や天草石とも呼ばれ、有田焼など他の陶磁器でも良く使われている。採掘された天草陶石を粉砕し、手作業で1等級から5等級までに分類。その後、より分けられた陶石を粉末にして水簸を行う。水簸とは、粉末にされた陶石を攪拌槽に入れて珪石粒を取り除く作業で、鉄分を除去して圧力をかけて脱水。程よく水分の抜けた土を土練り機で練りながら空気を抜けば、坏土の完成となる。

  2. 成形 機会ろくろや手ろくろ、ローラーマシン、鋳込みなどで成形を行う。磁器の成形には手びねりという技法もあるが、波佐見焼ではあまり使われない。大量生産を行う波佐見焼ではほとんど型を使って製作する。成形が終わった後は、風通しと日当たりの良い場所でしっかり乾燥させる。

  3. 素焼き 乾燥が終わったら800~950度で焼成。素焼きを行うことで、素地の強度が高まり、また吸水性が良くなるために下絵付けや施釉がしやすくなる。焼きあがったら、表面についた付着物を羽ほうきなどで取り除く。

  4. 下絵付け 釉薬をかける前に行う絵付けを下絵付けと呼ぶ。波佐見焼の特徴的な藍色は、染め付け呉須によるもの。下絵付けは筆で行う他、印刷を用いることもある。

  5. 釉かけ 下絵付けが終わった陶磁器に、釉薬を付ける工程。釉薬を使う目的は陶磁器の美しい光沢を出すことだけではなく、汚れや水漏れ防止といった機能性付加、ガラス質の膜がはることによって強度が高めるためでもある。

  6. 本焼成 本焼きとも呼ばれる工程で約1,300度で焼き上げる。焼き上げてすぐに釜から出すと釉飛びなどが出てしまうため、室温近くまでゆっくりと温度を下げた後に出す。

  7. 上絵付け 赤絵など温度の制約を受ける顔料は上絵付けの段階で使う。上絵具で彩色された後は750~850度で焼成して完成となる。なお、上絵付けで金箔を使う金彩を用いる場合は、金彩以外の上絵付けが終わった段階で一度焼成が必要となり、焼成後に金彩を施し施釉して約400度の低温で焼成。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/tokonameyaki/



僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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