陶磁器13:日本の焼き物(茨城県:笠間焼)
おはようございます。
今日はしっかり厚めの雲が空を覆っていつ雨が降ってもおかしくなさそうな空模様。台風も来てるししばらくこんな天気が続きそう。
さて、日本各地の焼き物の名産地をピックアップしたところで、具体的に1つずつ見ていこう。
4回目の今日は、茨城県の笠間焼。
笠間焼(陶器)
笠間焼は、茨城県笠間市周辺で作られている陶磁器。日本三大稲荷の一つである笠間稲荷神社の参拝みやげとして古くから用いられてきた。
笠間焼の特徴は、粘りがあり細かい粒子の蛙目粘土(がいろめねんど)で作られる丈夫な仕上がり。丈夫なうえに汚れにも強く、水がめや茶壺など台所用品をはじめ日常で使用する雑器などに多く使われている。
蛙目粘土は鉄分多く含み素地が焼き上がり後に褐色化するため、端正な絵付けよりも、釉薬の「流し掛け」や「重ね描き」などの装飾技法が用いられています。多種多様な装飾技法に加え産地に自由な風土があり、伝統や格式にはまらない陶芸家それぞれの個性を表現できるところも笠間焼の魅力です。
現代では、花器やインテリア用品、芸術作品としてのオブジェにも多く用いられるようになり、陶芸家たちが江戸時代からの伝統を受け継ぎながら今日までその質の高さを維持し続けている。
歴史
江戸時代に長右衛門という信楽焼の陶工が、久野半右衛門道延という箱田村(現在の笠間市)の名主へ陶器の指導をしたことから笠間焼は始まる。笠間藩の保護の中、笠間焼は発展していく。
当初は瓶や甕などが多く作られていたが、陶土の質による頑丈さから食器などの日用品が大量に生産されるようになり、陶芸家も格段に増えていった。
戦後には、新しい気風を求める陶芸家たちが全国各地から集まる様になる。茨城県窯業指導所を設立して陶工養成にも力を入れたことで、焼き物からプラスチック製品へとなった時代の流れの中でも、笠間焼の窯元数は増加している。
笠間焼は長い歴史を持つ伝統を受け継ぎながらも、古いしきたりや慣習はほとんどない。現代では安価な実用品から斬新なオブジェまで、様々な品が陶工によって製作されていることでその幅広い裾野が保たれている。続々と陶芸家たちが集まることで新たな技術が生まれ、創造するという喜びを後世に伝えていっている。
地理
関東地方の北東部、茨城県中部の県央地域に位置する市である。 古くから日本三大稲荷に数えられる笠間稲荷神社の鳥居前町として、また笠間城の城下町として栄えてきた。こちらでも太平洋側、大洗町の南に位置する汽水域の涸沼に繋がる涸沼川が細々と街を縦断して流れている。
今では県を跨ぐが、昨日見た栃木県の益子とはひと沢超えた向こう側、という距離感で車で1時間とかからない。
益子の陶器市でも笠間との姉妹都市(行政上ではなく焼物の産地として)のような関係性を窺わせる資料やのぼりなどもみられ「かさましこ」なる言葉を目にすることも多くあり、益子焼のベースとなった笠間焼は兄貴的存在といった感じ。笠間と益子、これだけ近いところで同じく鉄分が多い粘土を使用して異なる焼き物としてそれぞれが個性を出し合いながら、どちらも違うものとして成り立っているのは面白い。
2022年のGWに笠間の焼物市を訪れた際の記録をご興味があれば、こちらでご覧いただけます。笠間の旅: 1日目、笠間の旅: 2日目
作り方
原土採掘 笠間焼は粘土を掘り出すことから始まる。笠間の粘土は鉄分を含むところが特徴で、種類もいくつかありますが笠間粘土や蛙目粘土等が使われる。
圷土(あくど)工程(粘土作り) 掘り出した粘土に水を混ぜて練っていく作業。水簸(すいひ:水に土を混ぜて良く攪拌し砂や石など不純物を取り除き、粒子の細かい土だけを採取する方法)の手法を用いることもあれば、機械を使って粘土づくりをすることも。この工程で後々の工程に大きく影響を及ぼすので、とても重要となる。
菊もみ工程 全体を均質にするために空気を抜いていく工程。菊もみというのは、菊の花びらのように練っていくことから呼ばれるもの。
成形工程(形づくり) ろくろ成形は花形的工程とされる。しかし、この作業を習得するためには10年修行が必要とされ、とても難しい。ろくろ成形のほかには、型起し(土型や石膏型などに押し当てて成形する技法)成形や手ひねり(道具を一切使わず手で成形していく技法)成形がある。制作するものによって、成形方法を変えている。
素地加飾工程 素地にデザインを加えていく工程。素地がまだ柔らかいうちに竹などを用いて、模様も彫っていきます。泥掛けやはけ目等の方法がある。
乾燥工程 乾燥は注意すべきところで乾き具合がばらばらになってしまうと、ひび割れを起こすことがある。日陰乾燥や天日、熱風などを行う。
素焼工程 乾燥を十分に行ったら、素地を窯に入れて約10〜15時間ほど800度くらいで焼成する。素焼きをすると土には戻れないので、慎重に確認してから窯に詰めていく。
下絵付工程 素焼きが終わったものに、絵の具をつけていく下絵付の工程。鉄やコバルトで絵を描くこともある。上にかける釉薬によっては色の具合が変わってくるので、釉薬とのバランスを見て濃さなどを調整していく。
施釉工程(釉薬をかける) 素焼き、絵付けが終わると上に釉薬をかける。釉薬の種類も様々で、黒釉や白マット釉など、製品によって使い分ける。釉薬は原料を変えることで幾通りもの種類を作ることが可能。手法も様々で浸し掛けや流し掛けなどがあり、基本手作業で行う。
本焼工程 本焼に入る前にも、素焼きのときと同様にキズがないかなど事前確認を行い、窯詰していく。1250度〜1300度の温度で、約20時間焼成。慎重にじっくりと焼き上げていく。
仕上げ、検査工程 無事に焼き上がれば、窯出しをして一つひとつ底を滑らかにするなどの仕上げをしていく。最後にひびや割れがないかを確認して、検査を通れば完成となる。
*上記の情報は以下のリンクからまとめています。
https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/list/?category=4
僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。
皆様も、良い一日を。