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ディズニー実話から学ぶ訓練の大切さ/学校教員

1. 教員時代の避難訓練との向き合い方



学校にて年に数回行われる避難訓練。

火災・地震津波・不審者対応・引き取り訓練…。

どの訓練も毎回真剣に考えていました。
「もし火災が起きた時が休み時間だったら?」
「不審者が入ってきた時に小柄な私が太刀打ちできる?」
「少ない教員の人数で、子どもたちの誘導はうまくいく?」

などです。

あらゆることを想定しましたが、心配の声を全てあげるときりがありません。ただ毎回出てくる答えは
「子どもたちを信じて、子どもたち1人1人にしっかりしてもらうしかない。」
ということでした。

なので私は毎回避難訓練の時には、いろんな実話を出しながら、子どもたちと一緒に考える時間をとりました。

今回はその中の1つ、東日本大震災でのディズニーランドやシーのようすを紹介します。

2. ディズニー実話から学ぶ訓練の大切さ


2011年3月11日14時46分。
誰もが知っている東日本大震災が日本を襲いました。

その日、ディズニーランドやシーでは7万人というたくさんのお客さんがいました。

__突然襲った大きな地震__

もちろんディズニーランドも開園以来初めての最高震度の地震でした。しかし、大きな混乱もなく7万人の人々全員が無事でした。もはや伝説とも言われるその秘密を伝えます。

【①ダッフィーが配られたわけ】

地震直後、ディズニーシーのスタッフたちは人気キャラクターダッフィーのぬいぐるみをお客さんたちに配ります。

それはなぜでしょう?

ディズニー公式サイトより

【②お土産袋が配られたわけ】

地震直後、スタッフさんたちはお土産袋、ビニル手袋、ビニル袋、段ボールなどをお客さんに次々と配ります。

さてなんのために配ったのでしょう?

【③館内のお土産がなくなったわけ】

当時の映像では、お土産売り場のほとんどが空になっている画が残っていました。お土産のほとんどはお菓子です。空になったのはなぜでしょう?

さて、みなさんわかりましたか?

① ダッフィーを防災頭巾として使用してもらうため        
② 当日は大変寒かったので、防寒対策として使ってもらうため   
③ 空腹を満たしてもらうため。
 

もちろんですが、これら全ては来客者のための対応でした。
ディズニーのスタッフの方々の高いサービス精神はすごく有名な話。
ただ私が子どもたちにしたかった話はそれだけではありません。

これらの対応は、許可を特別にとるわけではなくスタッフの方々のそれぞれの判断で行われたことだったのです。

注目すべきは…

スタッフの9割がアルバイト

ということです。

3. この実話を話す大きな理由とは?!


私はこの話を高学年担任時に行います。

「7万人ものお客さんたちを大きな混乱もなく、9割ものアルバイトの方たちで対応していたことはすごいことではないですか?」
「みんなは早ければ後4年もすればアルバイトができるようになります。その時に、自分も被災者でありながら同じような対応はできるでしょうか?」

子どもたちはどうかな?と考えます。

「実はディズニーのスタッフの方々は年間180回も訓練を行っています。2日に1回も行っているわけです。」

この数だけを聞いても子どもたちは大変驚くのですが、もしも何か非常事態が起こった時には、マニュアルにないことでもスタッフの方たちの判断で店にあるものを配るなど、お客さんにとって良いと思うことを行っていいとなっていたことも伝えます。

自分の頭で考え行動することを許されていたし、求められていたということです。

「避難訓練は地震や火災、不審者の方が入ってきた時等、様々なことを想定してその時にどういう行動をとるべきかを練習するものです。でも災害とは休み時間や下校時間など1人の時でも起こる可能性があります。なので年に数回しかない訓練ですが、そのたった1回をどれだけ真剣にするかは自分や友だち、大切なひとの命を守ることにも繋がります。この場合はどうする?こういう時は?と考えながら訓練できるといいですね。」

例えばですが、このような話をして受け身の訓練とならないようにしていました。

4. 学校の防災教育に対してずっと思っていたこと


「ディズニースタッフ1万人、来客者7万人」

東日本大震災の日の人数だそうです。
単純計算で1人のスタッフさんが見るお客さんは7人。
学校で考えると…。
(まあ単純計算通りじゃないのはわかるんですけどね。)

__日本は災害が多い国です__

いついかなる時にそういうことが起こるかわかりません。なのに日本は1人の教員が見る児童の数が世界的に見ても圧倒的に多く、それも私が必要以上に心配していた理由かもしれません。

私は体も小柄で力もありません。
正直大柄だったり、刃物を持った不審者と対峙したりしても勝てる気が…。
また学校の中には車いすの子や何かが起こった時にはパニックになってしまう子もいます。
そういう子の対応に隣の学級の担任が行くことになったとしたら、自分は必然的に2学級を誘導することになります。
もし休み時間だった場合は本当に子どもたちはバラバラです。

あらゆることを想定した時に、教員だけではどうしても対応できない事態もあると考えていました。

なので高学年を担任した時にはそのことも正直に伝えていました。
「先生も一生懸命みんなのこと守るつもりだけど、必ず先生はみんなと近くにいれるとは限らない。だからディズニーのスタッフの方々のように“自分の頭で考えて行動する”ことを忘れないでね。絶対に命を大切にしてね。」

真剣に話を聞く姿がいつも見られました。

子どもたちも私も毎回真剣だった避難訓練。
少しでも参考になるといいです…🍀

☟ 参考動画  ☟
※当時はよくいろんな動画を観ましたが、これが1番よくまとめられている動画でした。


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