
『人間に向いてない』読みました
黒澤いづみ『人間に向いてない』
古本屋でタイトルに惹かれて買った一冊。
流行の病について、教育に対する考え方、そもそも人間って何なのか。タイムリーで、読んだら考えざるを得なくなる。
この物語ではそれが極端に表現されているけれど、現実に置き換えることなんて簡単で。
「あれは人間じゃないんだ。言葉も話せないし、二足歩行もできない。こっちの言葉だって通じてるか分からない、そういう存在なんだよ」
じゃあ、音声言語を使わないで生活している人たちは?車椅子で生活している人たちは?みんな人間じゃないのか。
そうじゃない、みんな人間で、みんな唯一無二の命がある。
なんて月並みな表現をしてしまうけれど。
自分とは違う姿をしている人に対して、びっくりしてしまうこと、怖いと思ってしまうことは少なからずあると思う。
でも、そんなのみんなもっているものであり、その人が特別なわけじゃない。
ちがうところが他の人より大きくて、少し目立ってしまうだけ。それだけの話。
どんな姿形でも、親は子を愛する。
でも、その愛がお互いに「良い愛」になるには、時間を要することがある。
苦しくもなったけど、とってもいい小説に出会ったなと思います。