🌸「まな板のコイ」になる安堵感の話
手術の日はわたしの誕生日でした。
「もう、おまかせします」
手術台の上のわたしは
これ以上ない無防備状態です。
がんばることも
ムリすることも
なんとかしなければと背負いこむことも
しなくていい
自分以外の誰かにただ委ねてみると
ココロは軽くなって
そっと背中を押してもらえるような
不思議な安堵感に包まれました。
今日はそんな日のことを書きたいと思います。
「まな板のコイ」になる
生まれて初めての手術の日は
わたしの誕生日でした。
手術着に着替えて
手術室前の部屋に入ると
まず名前と生年月日を確認されます。
メガネをはずしていたから
看護師さんの顔がよく見えなかったし
静かで宇宙みたいな手術室に
わたしは緊張していました。
わたしが生年月日を言うと
「わあ、お誕生日おめでとうございます」
と看護師さんたちが拍手をしてくれました。
ぱちぱちぱちぱち
シーンとした部屋にひびく
看護師さんたちの拍手。
取り囲まれる手術着のおんな。
わたしはこの珍しい光景がおかしくて
緊張がほぐれてました。
ベットに乗って手術室に入ると
そこにはたくさんの人がいて
看護師さんに麻酔医さん、なんか機械をいじってる人に
主治医の先生。
手術台に上ると
まぶしいライトのもとに
みんな顔を見せてあいさつをしてくれました。
わたしは生まれたままの姿で
不思議な感覚に包まれました。
わあ、いまわたしは
「まな板のコイ」なんだ
ベッドや機械はヒンヤリと冷たい。
その反対に
耳に入る看護師さんの声や
触れる人肌のぬくもりが
とてもあたたかくて恋しい。
いまこの部屋の中の人たちは
全員完全にわたしの味方で
わたしはがんばる必要はないんだ。
この人たちにただ身をゆだねて
さあ お願いいたします。
この冷たい手術室で感じた
人肌のぬくもりと
信頼してただ身をゆだねることの
安堵感と心地よさは
ずっと
わすれられない感覚として残っています。
たまには人にあずけるのもいい
仕事をしていても
子育てや家事をしていても
沢山考えることがあって
無意識に
自分でなんとかやらなくちゃとなってしまいがちです。
ですが
ふとまわりを見渡すと
味方はたくさんいるんです。
その道のプロも
共感してくれる人も
ただあなたにいてほしいと願っている人も
きっと側にいるはずです。
その人肌に甘えて
力を抜いてあずけてみるのも
たまにはいいなと思うのです。
ゆだねてばかりはだめだけど
ひとりで頑張っている自分に気づいてあげて
まな板のコイになってみてもいい。
そう思えるようになりました。
最後までお読みいただきありがとうございました🌸
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