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父の日に食べるもの

夫に食材の買い出しを頼んだ。
父の日でもあることだし、普段好んで飲むのは発泡酒だが、今日はビールを買ってもいいのではと提案しておいた。
私は今お酒をやめているため、夫は一番搾りを1缶だけ買って帰ってきた。
ちょっとの遠慮と、ちょっとのわくわくとが垣間見れて面白い。

父の日ということで鮮魚コーナーのあたりがいつもと様子が違い、舟に盛られたお刺身がたくさん並べられていたそうだ。
「つまらなかった」と言う夫。
そうだろうなと私も思う。

お父さんの好きなもの=お酒とそのつまみ
お酒=日本酒かビール
つまみ=お刺身か乾き物

こうしたステレオ的な昭和世代の図式がありありと頭に浮かぶのは私だけだろうか。
今のお父さん世代、個々に好みはあるだろうけど、肉の方が好きな人の方が多いだろうなと思う。
夫も刺身を好んで食べるが、父の日に食べるなら唐揚げがいいらしい。
たまにケンタでチキンを買ってあげれば大はしゃぎだ。
夫の味覚が幼いだけだろうか。

余談だが、ケンタで季節毎に売り出されるバーレルには、子どもの日バーレル、母の日バーレル、クリスマスバーレルなどたくさんの種類がある。
しかし父の日バーレルは昨年、一昨年と売り出されてはいなかった。
そもそも存在しないのか、それとも同時期に発売される創業記念パックの方が推しなのかわからないが、それが今年ついに発売されたのだ。
値段について言えば父の日バーレルの方が高く、創業記念パックの方がお得というところが中途半端で面白くてたまらない。

話を戻すが、「お父さんが好きなものを食べよう」特集が組まれた店内で、一番力を入れられた鮮魚コーナーは、果たして盛り上がっていたのだろうか。
「父」というステータスを持った人はそれなりに多い。
また「父」に加えて「祖父」ステータスが加わった人も加わるため総数はかなり多めだ。
スーパーの企画をした人はきっと祖父寄りの世代だったのではないだろうか。

出生率が下がる一方のこの世の中、つまりは父、母、と呼ばれる人も併せて減少し、
また高齢化社会になるにつれ、「おじいちゃん」「おばあちゃん」は増加しているが、「父母」から「祖父母」になった人は逆に減っているはずだ。
行く末が気になる父の日、母の日だが、性差別問題や血の繋がりの有無など、家族の在り方に関しても変化が生じ、簡単に父、母と区別することに躊躇する気持ちがなくもない。
こうした○○の日は、だた祝うこと、労うことが大切なのだから、小難しく考えるのは野暮でしかないが、
ここに言葉の引っ掛かりを感じる私は心が狭いのか、あらゆる可能性を含ませたいという気持ちがあるからなのか、細々とした部分が気になって仕方がない。

いつか代わって「家族の日」になる時代がくるかもわからない。
ビールを1本買うのに妻の許しが必要な夫も、
かつての父、未来の祖父にも、
そしてカーネルの誕生日にも、
みんな一緒くたに、乾杯。

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