映画「モービウス」のジャレッド・レトの役作りに度肝を抜かれた件
また、中2息子のお供で、マーベル作品を観てきた。
今度は「モービウス」。
血液の病に苦しむ主人公が医師となり、自らと友人の病の治療法を探しているうちに、コウモリの血と人間の血を融合させて、自分に人体実験をしてみたら、あら大変。という話。軽くてすいません。
マーベル作品で、コミックではかなり昔から登場しているキャラクターらしいが、映画では今回初登場。なので、その人となりをしっかり描いた作品だった。そして全然終わらない。むしろ始まり、な終わり方。
もともとアクションとかSFに興味ないので、息子に請われて一緒に観ている一連のマーベル作品。マーベルの作品を観ていつも思うのは、マーベルって、ハリウッドでかなりの地位を築いている俳優さんが、喜んで出たい作品なんだなぁということ。
1.オスカー俳優、ジャレット・レトの役作りにしびれる
今回の主人公モービウスを演じるのは、ジャレット・レト。
徹底した役作りで知られる彼だが、今回も最初に登場したのは、血液の病で、日に3回輸血をしないと死んでしまう病気を持つ医師。
もうガリガリで顔色悪いし、あばらも見えてて弱弱しい。もうオバケ一歩手前みたいな感じ。歩くのも杖の力を借りてヨタヨタ、なんとか歩いている演技がものすごくハマる。
そこから一転、コウモリの血液を注入してからは身体がムキムキ、バキバキ。顔色もめちゃくちゃよくなる。まるで別人。
たぶん、ぱっと見でも20キロくらい体重増減があったのかなと思う。どちらを先に撮ったのか分からないが、おそらく痩せるときは絶食レベル、そしてムキムキナイスバディになるときには、ドカ食いしてプロテイン飲みながら毎日筋トレに明け暮れる生活だっただろう。そこまで役に入り込めるって、もはやクレイジー。天職だ。
ムキムキになってからも、血が足りなくなると今度は吸血モンスターに化ける。ガリガリの医師と、ムキムキで元気な変身後、飢えたモンスター、と三役を見事に演じ分けている。
ジャレッド・レトは、「ダラス・バイヤーズクラブ」という映画でアカデミー賞の助演男優賞を獲っているそうだ。HIV陽性者のドキュメンタリーで、このときも体重を激減させて役に挑んだようだ。
そしてジャレッド・レトはヒゲ&ロン毛がめちゃくちゃクール。イケメンは何やってもカッコイイのか。
2.ヴィラン(悪役)が主役の映画の見どころは、「敵は誰か?」
「スパイダーマン」のような、ヒーローが主役の時は必ず敵になる悪役が出てくるのでわかりやすいだが、ヴィラン(悪役)の場合、誰が敵になるのか?というところがいつも気になる。
息子が愛してやまない最強最悪の悪役「ヴェノム」のときは、さらに強い同族異種の登場があった。ヴィランを主役に据えた作品としては、めちゃくちゃよくできていたと思う。
「モービウス」は、もっとヒューマンというか、なんであの人と闘わなくちゃいけないんだろうという流れになって、なんだか悲しさもある展開。いちおうネタバレになるといけないので、あまりたくさんは書かないでおく。
凝ったアクションシーンもたくさんだし、バットマンとは別の意味での「ガチのコウモリ男」という設定なので、基本ダークな色合いのシーンが多く、お化け屋敷的要素もたくさん。もうめっちゃ怖いんですけど!!!というお楽しみシーンもある。
3.観る前に知っておきたい、コウモリのマメ知識
ちなみに、観る前に知っておくと良いマメ知識をひとつ。
コウモリは暗い場所に住んでいるため、目が悪い。なので、独自の超音波を発して、それの跳ね返りでモノの場所を特定するらしい。
暗闇の中、おびただしい数で飛んでいてもぶつからなかったり、目が見えなくても獲物の位置を正確に把握できるのは、この超音波を出しているせいなのだ。
主人公モービウスがコウモリの能力を手に入れた後、いとも簡単に相手の居場所を特定したりしているのは、その超音波能力を使っているから、のようだ。
わたしは生物の知識に疎いので、そういうのをほとんど知らないのだが、息子は生物分野の知識が妙にあって、コウモリの件も息子が教えてくれたから、超音波で相手の位置を特定しているのだなと分かった。
劇中に、コウモリは超音波で位置をとらえる、という説明的なセリフがないので、それを知らないで観ていたら、ただの超能力者に見えてしまっただろう。目に見えないものの描写は難しい。
4.マーベル世界観の融合か?バルチャーも登場
マーベル作品は、巨大マーケットなだけあって、映画化の権利も複雑だ。そのため、ソニー・ピクチャーズ系列のものと、ディズニーが買ったもの。
いまは、ほとんどの作品をディズニーが買収し、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)シリーズとして独占配信している。
しかし、「スパイダーマン」「ヴェノム」今回の「モービウス」はソニーが権利を持っている。
このふたつの世界は、大人の事情で相いれないはずだったのだが、ここ最近、融合の動きがみられる。
「スパイダーマン ホームカミング」シリーズの三作は、完全にMCUに組み込まれているし、三作目の「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」では、世界線が違うはずのソニー作品「ヴェノム」がチラっと登場する。
今回も、ソニー作品ながら、「スパイダーマン ホームカミング」で出てきた悪役「バルチャー」が登場するなど、今後はおそらくこれらの作品が一体化して、シリーズとなる流れになるのかなと思う。
アカデミー賞の話でも思ったが、いまやネットフリックスやamazonなど、オンデマンド配信の会社が映画を創り始め、ネットでじゃんじゃん配信してしまう時代。そして配信された映画がアカデミー賞レースにも食い込んでくる時代だ。衰退する映画業界、大人の事情でのんきに住み分けしている場合ではないのだ。
大人の事情はさておき、大手映画会社ならではの良い作品を作って、観客が飽きずに楽しめる作品を作り続けなくてはならない。
最近は「スター・ウォーズ」の版権までディズニーが買ってしまい、なんかディズニー一強になってしまいそうで怖いが、いままで良い娯楽作品を作ってきている大手映画会社は、ぜひとも踏ん張ってほしいなと思う。
5.まとめ。マーベルの世界を楽しむなら劇場へ。
マーベル作品の中でも、アンチヒーローものはあまり数多くない。ヒーローにも、ヴィランにもなりうる、2面性を持ったキャラクターというのは、あまり多くないと思う。けれど、人というのは二面性があるものだ。だからこそ、こういう作品が魅力的に映るのかなぁと思う。
ガリガリの病弱男とムキムキの肉体美を見せてくれるジャレッド・レト様と、マーベルの世界観をたっぷり劇場で楽しんでいただけたらと思う。
次のマーベルは、5月の「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」。また息子のお供で行くことになるだろう。
前作は未見だが、それまでに観ておかないとついていけない。
だいぶ頑張って観たが、マーベルの世界は広すぎて、けっこう忙しい。だが、息子がいなければ絶対に知り得ないだろう世界なので、楽しむこととする。
今日もお読みくださりありがとうございました!