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好奇心にブレーキはかけられない。「チ。-地球の運動について-」

「チ。」という漫画が話題と知って読んでみた。


中世では宗教上禁忌とされた地動説を、様々な苦難を乗り越えながら探求する人たちの物語。

国教がキリスト教の世の中、キリスト教は天動説前提なので、地動説は「異端」として扱われ、さまざまな提唱者が異端として処刑や火あぶりになったといわれている。ガリレオの天動説も何度も裁判にかけられ、「それでも地球は回っている」と言ったという話は有名だ。

天動説、地動説の詳細は個人のサイトだが、このあたりのブログが読みやすいので詳しくはこちらを参照してみてほしい。

この「チ。」という漫画は、宇宙の美しさに取りつかれた登場人物たちが、天文を研究するうちに地動説にたどり着き、異端の考えと知りながら惑星の軌道を研究していく物語だ。

ふとしたきっかけで知り、3巻全部買って読んだらハマってしまい、寝る前に何度も読み直している。
 
息子も科学系の漫画好きなので一緒に読んでいる。

この漫画に惹きつけられるのは、
「主人公ががんばる話」ではない。

主人公補正がかかって、登場人物が何があっても死を免れるわけではなく、簡単に異端として見つかり、処分されて行く。オムニバス形式で描かれる地動説に執り付かれた人たちが、なんとかバトンをつないだ、知の蓄積を受け継いでいく物語だ。

この漫画は地動説が迫害される物語だが、天文学はもはや関係ない。描かれているのは

知りたいと言う気持ちは、誰にも止められない。
 
「知の探究心への情熱」と、
それを貫こうとする人たちの魂に
ひたすら胸を打たれるのだ。


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知りたい、いけないとわかりつつも、どうしても知りたい。

好奇心にブレーキはかけられないのだ。

ルールや禁止はお上が決めることだ。
けれど自分の興味関心は、そんなことでは縛れない。

真実をただ知りたいという情熱に胸を打たれる。

描かれるテンションは低めで、淡々と綴られるのだが、
伝わる情熱はとても熱い。

「半沢直樹」が赤い炎だとすれば
「チ。」の登場人物は青い炎。

淡々としているが、その温度はもしかしたら赤い炎よりも高いかもしれない。

この漫画の続きが楽しみで仕方がない。

知的探求心に執り付かれる、そんな焦げるような思いを漫画で体験できる、貴重な作品だと思う。

ぜひ一読をおすすめしたい。

今日もお読みいただきありがとうございました!


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