戦略広報にChatGPTをどのように活用できるか
ダンスを習い始めて2年の5歳娘と共に親子で通えるダンス教室に行きはじめました。運動すると頭が冴えて、いい感じ。
さて、Chat GPTで仕事の可能性が格段に広がると思い、戦略広報業務における活用の可能性について考えてみることにしました。
まず、前提とする発想は以下の二つです!
・広報の中でも特に「戦略広報」
・リクルート用語の「TTPS」
後者は色々な意味でお伝えするのも憚られるのですが
TTPSとは、「徹底的にパクって進化させる」の略です(笑)
リクルートは言葉遊びが得意で大好きなので、例えば顧客への提案資料を事前に先輩に見てもらった時のこと。
その内容がいけてないと「俺の作った資料いくつか送るから、それTTPしてそこから考えてみたら?」と割と日常的に使われる言葉でした。
「パクる」はややネガティブなニュアンスが強いことばですが、この場合のTTPは「アイディアを丸パクリしろ」ということではなく、
フレームを活用して転換して、提案の質とスピードをあげよう!という考え方です。
広報から、法人営業になり懐広いリクルートがあっさり任せてくれた年間2億円超の個人目標。最初は未達で、その後達成するまで半年かかりましたが、逆に半年で済んだのはTTPSし続けたお陰。業務スピードが相当速くなりました。
ゼロから作る「オリジナルなアイディア」より、TTPしてそこから顧客の状況をしっかり分析して競合分析して、何が刺さるかとアイディアを出す方が受注率が遥かに高い。
そして、夜中も土日も関係なしに徹底的に社内のナレランとかベスプラ(ナレッジランドという社内システムやベストプラクティスの冊子)Salesforceに上がっている共有情報を読み漁って、TTPSで提案のバリエーションを増やすという仕事の仕方は、
その後、MiiTelというセールステックサービスを提供するスタートアップRevCommで広報部署を立ち上げひとり広報として走った2年にも生かされました。
VCさんはじめ色々な方から「一体ひとりで何人分の仕事をしているの」と沢山言っていただいたのは、ゼロから考えないで、調べて調べて探して型化して、3とか5からTTPSしてスタートさせる工夫があってこそで、
つまり、ChatGPTを活用できる余地が高いのではと考えています。
ChatGPTはそのTTPSする前の叩き台として活用し、
私は「人と人を繋ぎ生み出す仕事」「人の感情を揺さぶるストーリー作り」といった類の仕事に注力できるのではと。夢があるー!
広報における、
①目標設定
②企画立案
③実行
④振返り
という広報の高速PDCAを回す際に、
どこでChatGPTを活用するといいかについて、
戦略思考の広報マネジメントという愛読書を参考にアレンジした「スキル一覧」を使いながら考えてみたいと思います。
■TTPSの方が気になってしまった方、本が出ているようですよ(笑)
戦略広報レベルを上げていくために必要なアクション
ChatGPTとは
もっとイメージを掴みたいまだ未利用の方は、こちらが分かりやすいです!
作った天才はこの人
例)デジタルアシスタントとして、情報分析や情報創造に関わる情報収集の土台として活用
最初に書いた31項目の広報力・必要なアクションは、ざっくり分類するとこの8つに括ることができて、このバランスが戦略広報に本当に必要だなと感じます。
その中の、
「情報収集力」
「情報分析力」
「情報創造力」
はChatGPTに最初の調べものとして手伝ってもらってから動き出すと効率をあげられそうそさです。
ちょっと具体例を上げていきましょう。
例)自社あるいは自社サービスについての抽出内容の確認
例えば、広報伴走で関わっている第三者所有モデルのエネルギーテックベンチャー「シェアリングエネルギー」について質問してみます。
※GPT3.5を使用
ChatGPTの特徴としてネット上の情報が多いものについては精度が高い情報が出てくる一方、
情報が少ない駆け出しのベンチャーの場合誤りが多かったりそもそも認識されていない場合がありました(GPT3.5の場合)。
今回想像よりも情報が出てきて安堵したものの、致命的なサービス名の誤り。
同社が提供しているサービスは「シェアでんき」なのですが、社名が入っています。これはネット上に情報量がまだまだ少なかったのかなという仮説が立ったりします。
例)競合情報の洗い出し
「競合はどこですか」と質問してみる。
(あくまでもこれを鵜呑みにするではなく、ネット上の情報をChatGPTがどう拾うのか、それを元に企画ネタがないかを考えていくTTP前のベースとして利用してます)
例)市場規模のあたりをつける
「市場規模を教えて」と聞いてみる。アワードの応募やアクセラの登壇でも重要な数字ですよね。
メディアの取材提案で「今ここを取り上げるべき」という必要性を提示する際にも市場の伸び率や市場占有率など使うこともあると思います。あるいは伸びている市場との比較や、海外との比較もいいですね。この数字を信じるというより、このような情報をどんどん抽出する中で、「アタリをつけて」本当の数字を確かめにいく、という使い方ができそうです。
例)メディアの洗い出し
「SDGs関連のWebメディアを挙げて」と質問。
情報量はここ10年で530倍に増えたと言われており、比例してメディアの数も増えています。特にオウンドメディアを企業が活用するようになり、PIVOTのようなYoutubeチャンネルなども影響力も増す中でそれらもWebメディアとするならばメディア数はいっとき言われた5,000をはるかに超えて来ます。
広報に媒体研究は欠かせないと言えど、それらを1/5の1,000常に頭に入れておくのはひとり広報では至難の業。
該当するネタがあった時に脊髄反射的に調べにいくと思いますが、その洗い出しをお願いしてみると2秒で出してくれるので良きかと。
例)話題の動向に目星をつける
広報企画やメディア提案に「時流を掴む」は欠かせないので、毎日新聞やニュースに目を通すのは皆やっていると思います。ただ、情報が偏るのと繁忙期には結構漏れがある。何が今話題なのかをパッと質問してみると、そこから調べに行けるのでTTPSしがいがありますね。
「何がトレンドになっていますか」と質問してみた。
例)法改正などの動向を洗い出し
時流を掴むのと一緒で法改正についてもその年に発表されているものを抑えておくと、記者さんと会話しやすいですよね。私はこれまで日経新聞が毎年発表する「2023年法律・ルールこう変わる」を見て、広報年間カレンダーに年始に一気に書き込んで、企画を考えていました。ただ頻繁に動くので、一回ChatGPTに当ててみて情報をもらってから調べにいくと効率的ですかね!
メディア提案で狙ったキーワードに関するプレイヤーの確認
ニュース価値が高いものを、いっときのAIDMAとかAISASのように文字ったPR業界用語にIMPAKTがありご存知の方も多いと思います。
それらを使うには、他のプレイヤーや市場の動きを調べないと「最上級表現」などを自信をもって使えないですよね。
例えば、今私が広報のプロデューサーとして活動しているテックタッチ株式会社は、下記のようにデジタルガイドを提供するSaaS for SaaSのプレイヤーでもあります。
じゃあ他にどんなSaaS for SaaSがあるの?とググると15〜30分はかかるので、一回ChatGPTに入れてみるのが楽なのかもしれない!
(ただ残念なのは、私がいるベンチャー領域の情報が出ることは少なく情報量が大手企業ばかりになってしまうという。)なので、ベンチャー括りで提案する場合にはあまり使えないことになってしまいますね。
例)プレスリリースはラブレターだから、型や事例だけもらう
広報×ChatGPTと検索したら「新製品のプレスリリースも書かせちゃおう」と話されている記事を見て驚いた。しばらくChatGPTと会話した結果、商品開発部門などが一生懸命作った開発ストーリーや思い、お客さまの声を反映しようがない自動抽出された論文調の文章をそのまま出すなんて恐ろしいことだと思いました。
ただ、リリースに関連するならば過去その情報に関連する記事を拾い集めてもらったり、他社事例を集める形なら使い用があるかなと感じました。
例えば、Beatrustというイノベーションを起こすための自発的な社内協業を促すコラボレーションを産む会社が「ビートラストが東京都主催の「X-HUB TOKYO」のニューヨークコースに採択」されたリリースを書くとする場合、一旦その概要や過去の出方を調べると思います。その収集を依頼するのは使えそう。指示は「JETROのX-HUB東京に採択に関するプレスリリースを集めて」です。
※無料版の場合は情報が古いです。最新式にしたい場合は有料版にする必要がありますのでご注意ください。
■ChatGPTに置き換えられない広報力
色々書いてみて、改めて代替できない磨きたいスキルはここなのかなと私は考えています。
(1)人と人を繋ぐ力(関係構築力)
あの記者さんがこのような情報探していると言っていたな。社内の誰々さんがその話出来そうだな、とか、あの会社の広報さんがそこに力入れていると言っていたから繋いでみようかな。といった、記憶や直感や嗅覚はヒトならではです。
(2)ステークホルダーに届けるメッセージ力(情報想像力・情報発信力)
私は自動生成されたこのランドセルのPRよりも、
田中鞄のこだわりは挙げればキリがないと微笑む。ランドセルは子供にとっても一生に一度の買い物となる大切なアイテムのだからこそ、構想期間は10年をゆうに超え、試作品も500点に上った。重い教科書を背負い毎日使うランドセル。子どもたちの声を取り入れ、機能性だけでなく、とりわけ安全性に配慮し丁寧な縫製を心掛けた。その結果として、知る人ぞ知るランドセルは、手にしたくてもなかなか手に入らない「幻のランドセル」と称されるようになったのだ。
全て架空のストーリですが、中の人だから伝えられる開発秘話や努力、思いといったエピソードを載せた文章の方が心に響く!
(3)現状の捉え、解決策を考える力(戦略構築力)
法人営業の提案もクライアントの目標や課題のヒアリングから入り、目標が曖昧なら設定を一緒に行ってその解決策として自社のサービスの提案をするように、広報の戦略策定も自社の事業上の課題のヒアリングが最初。
そのヒアリングができないChatGPTには設定が出来ない類の業務だと改めて思い、ここもヒトの重要な介在ポイントだなと!
活用方法はまだまだありそうですが、もうAM2:30になって背骨と腰骨ががピキピキし始めて来たので、このnoteは一旦おしまいにします。
広報業務でのChatGPT活用は、私の場合アシスタント的に情報収集中心に依頼する形の使い方ですが、これだけでも省力化にかなり寄与するのかなと思います。
皆さんはどのような使い方をしてますか?ぜひ、TwitterやFacebook DMなどで気軽に声かけてください✳
社内情報収集の工夫は広報の友人あいこのnoteでも語っているのでよければ合わせてご笑覧ください!
例)休息に笑わせてと言ってみる
全然笑えなかった(笑)
ChatGPTを始める場合は、OPEN AI社のサイト内にあるメールアドレスと電話番号を登録することで利用できますよ!
精度の高いGPT4は有料です。
背骨と腰痛を労ってくださるかた、スキしてね(笑)
このChatGPTが変える法務・知財・データ戦略:日本経済新聞(2023年5月10日掲載)も勉強になったので、追記します!