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ミケランジェロ 「パレストリーナのピエタ」 1550-60年 アカデミア美術館


帰属とする研究者もいますが、晩年の作風や完璧な解剖学から、ミケランジェロの作品と広く認められられる作品です。



彼は若い頃から「ピエタ」(哀悼。イエスの死を身近な人間が悼む様子)を何点か制作しています。一番有名なのはヴァチカンの「ピエタ」で、イタリア旅行にいらした方なら必ずと言っていいほど目にする作品です。マリア様が若すぎるとの批評も出ながら、その美しさと完成度の高さ、他者が入り込む余地のない二人の存在感から絶賛される彫刻です。



ですがミケランジェロは次第に、のみの跡を残す「ノンフィニート」という技法を用い、人間の内面をえぐり出すような作品を残すようになります。




この作品は「ダヴィデ」の側にあるので、どうしてもそちらに関心が行きがちですが、人生の経験値を重ねてから制作したからこそ、惹きつける魅力があると思います。ミケランジェロの晩年の彫刻作品を見ると、気難しいと言われていた彼が抱えていた繊細さが感じられるからです。


聖母。敢えてのみの跡を残されている事で、悲壮感が感じられる


「パレストリーナのピエタ」はローマの側にある、パレストリーナの町にある教会で発見されました。制作の経緯は不明ですが、謎めいた雰囲気に惹きつけられます。



アカデミア美術館に行かれたら、「ダヴィデ」(1501年)、「囚人たち」(1519-34年)、「パレストリーナのピエタ」(1550-60年)の順にご覧ください。展示室には制作年の順に置かれていないのですけど、年代を追ってみればまた違った感動があります。



参考になさってみてください。

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