時代による聖母子像の変化
夜、灯りを落とした室内の様な一コマ。赤ちゃんを優しく抱きしめる母親。無邪気な笑顔を母親に向ける赤ん坊。
ジェノヴァの画家、ルーカ・カンビアーゾの作品です。先日夜間開館日に足を運んだ時に目に飛び込んできました。あまり人通りがない展示室の端に控え目にかけられていましたが、心に残りました。きっと作品の背景色から、夜に見た事もより魅力が引き出されて見えたのだと思います。
この作品、実は聖母子像なんです。最初に見た時、てっきり一般家庭の親子を描いたものだと思いました。場面を包む柔らかい空気、聖母が通常身につける赤い服に青いマントも聖人が持つ光輪(天使の輪)も見当たらないからです。彼女が身に着けているのは、描かれた1500年代後半の衣装です。
カンビアーゾの作品より145年くらい前に書かれたマザッチョの「くすぐりの聖母」にも、子供慈しむ母親とくすぐったそうに笑う幼児イエスが描かれているものの、黄金地や聖母の服装などは図像学に従っています。
今回の作品、宗教画と言われてみれば、暗い闇はこれからイエスが受けるであろう受難を示唆していると考えられるし、マリア様の表情も悲しそうです。
この作品はウフィツィ美術館2階に降りた所、マニエリスムのエリアにあります。
ウフィツィ美術館にいらした時の参考になさってみてください。
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