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フィレンツェの名家の別荘を訪れる

フィレンツェの市街地(歴史地区)囲む丘には、古い歴史を持つ別荘が今でも多く残ります。かつて街で力を持っていた名家が所有していた建物で、庭も大変素晴らしいです。



毎年春から秋にかけて、その別荘群の庭を巡るツアーが催されます。ランドスケープの専門家の説明付きで、1時間ほどじっくりと。



今回、フィレンツェ市街地から市バスで30分程の所にある旧メディチ家別荘に行ってきました。



入口


別荘と庭園



ポーチ

現在はマッツィーニという旧男爵家の末裔の所有になっており、このイベントの時だけ入れてくれます。もしくは見学の際、所有者に直接メールを送るかです(イタリア語のみ)。



屋敷には入れませんが、手入れの行き届いたお庭と眺めを楽しむことができます。フィレンツェの北側の丘にあるので街を一望でき、緑も豊かで気持ちいい場所です。



もう一つの庭園。敷地は2段になっており、上に本棟、下段に離がある



藤棚
別棟



水道


この屋敷はコジモ・イル・ヴェッキオ・デ・メディチが元の所有者から買い上げた館を、子孫たちが手を加えて行った場所です。その後、ロレンツォ・イル・マニーフィコの手に渡った時、ルネッサンスの人文主義者達が集まる場所になりました。



有名なパッツィ家の陰謀の舞台になるはずだった場所でもあります。ロレンツォの弟ジュリアーノが不在だったため、後日大聖堂で決行された事件です。



敷地に足を踏み入れた時、心地の良さを感じていたら、建築家がそう感じられるよう設計したのだと専門家の方が教えてくれました。庭の面積を屋敷の3倍にすることで、調和の取れた空間になるよう計算したそうです。



さらに凄い事は、西側のテラスの角はほぼ直角にフィレンツェ大聖堂を指して作られているということでした。これはメディチ家がフィレンツェで実質的に力を握っているというだけでなく、眺望をも支配しているという事を示しているそうです。


西のテラスの角から、ほぼ直線上に大聖堂が位置するように設計されている。


ランドスケープも計算しつくして作らせた彼らには脱帽です。ただ美しいだけではないのですね。



フィレンツェにはまだまだ魅力的な場所がたくさん。また色々見に行きたいです。



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フィレンツェ歩き ここだけの話
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