フィレンツェで滅多に公開されないレアな名作
ラファエッロの先生、ペルジーノの「最後の晩餐」です。フィレンツェ中央駅の直ぐ側にあるのですが、ほとんど公開されないことと、目立たない横道にあるため、あまり知られていません。
元々、アウグストゥス派の女性修道院でした。その後、ウンブリアからやってきたフランチェスコ会が入ります。尼たちは夜が明けたばかりのひんやり、しっとりとしたような空気が漂う絵を見ながら、毎日食事をしていました。贅沢ですね。
フィレンツェに来たペルジーノはサン・マルコ寺院のフレスコ画から多くを学び、随所に先輩たちから学んだモチーフを取り入れています。例えば、床の模様はギルランダイオの「最後の晩餐」から、絵を囲う半楕円形縁はサン・マルコ美術館にあるフラ・アンジェリコの作品を参考にしています。
背景には神殿のような柱が奥行き感を持って並び、奥でイエスが処刑前、ゲッセマネの園で神に祈る様子が表されています。柱はよく見ると、ルネッサンスの時代に流行ったグロテスク模様が刻まれています。グロテスクは草花、天使、悪魔などを組み合わせた模様で、古代ローマ皇帝のネロの宮殿にあった装飾をリバイバルしたものです。信心深い尼のために描かれた作品に異教の要素が含まれるのは、不思議な感じです。
そしてウンブリア派の特徴である、一枚岩の上に広がる引き込まれるような風景、心が洗われるような静かな雰囲気を見事に融合させています。とても素晴らしいです。
ここが開かれるのは、年に一度か二度くらいです。もし、公開期間にフィレンツェにいらっしゃることがあれば、お勧めしたい所です。公開日が発表されたら、ストーリーズやホームページでお知らせします。
いいなと思ったら応援しよう!
記事が少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
皆様からのご支援はサービスの向上のため、本、論文、講習会、調査の費用に充てさせていただきます。
よろしくお願いします☺️