ミケランジェロ 「ドーニ家の聖家族」
彫刻家ミケランジェロの数少ない絵画作品の一つ。フィレンツェにある彼の唯一の絵です。
生まれて間もないキリストとご両親、背景に裸体の人物がいる不思議な絵です。
この作品は盛期ルネッサンスから後期(マニエリスム)への変遷が見られる貴重なものです。初期や盛期ルネッサンスの静謐な雰囲気、一場面を切り取った様な描写、落ち着いた色使いを塗り替えています。
聖母は腰を大胆にひねり、後ろにいる夫ヨセフにイエスを渡そうとしています。彼女の両腕がイエスに視線を導き、イエスの腕がヨセフへ。ヨセフからまた聖母へとインフィニティの輪の様に循環します。
画面を彩る色彩も初期ルネッサンスには見られなかった、明るい色調です。後にこれが後期ルネッサンス(マニエリスム)にはもっと強い色に変わります。
丸い絵はルネッサンスの時代、上流階級の出産祝いによく制作されました。
出産したばかりの女性に精をつけてもらうため、消化に良いスープをお盆に乗せて持ってくる習慣がありました。このお盆の形を絵画作品に活かし「ディスコ・ダ・パルト」と呼ばれる作品が生まれます。
実際、この1枚はフィレンツェきっての大商人、アーニョロ・ドーニの奥さんに、待望の赤ちゃんが生まれた時に発注されています。そしてお子さんの名前がマリアだったために、真ん中に聖母マリアが描かれています。
ウフィツィ美術館にいらした時の参考になさってみてください。
いいなと思ったら応援しよう!
記事が少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
皆様からのご支援はサービスの向上のため、本、論文、講習会、調査の費用に充てさせていただきます。
よろしくお願いします☺️