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ルネッサンス時代の聖母子像

頬を我が子の小さな顔にぴたっとつけて微笑む聖母。ルネッサンス期のフィレンツェで典型的な聖母子のポーズです。


フィリッポ・リッピ 「聖母子」 1466-69年頃 メディチ・リッカルディ宮殿


聖母子、というより裕福な家の母子の様です。
マリア様の赤い服はフィレンツェのお家芸、ブロケードで装飾されたもので、描かれた当時の流行を取り入れています。よく見ると光が当たる箇所は薄っすらと光をたたえているので、かなり質のいい布地であることがうかがえます。



肩に掛けたショールの縁には、真珠が静かに揺れています。それと頭のヴェールにも。結婚や出産と結びつけられた宝石なので、一般の女性の肖像画でも結婚に関わる絵に描かれています。



赤い服と青いマントという聖母の伝統に則った服をルネッサンス風にアレンジし、とても上品に仕上げた作品です。



母親と息子の間に流れる優しい雰囲気もルネッサンスならでは。お母さんのショールをぎゅっと掴むイエスの小さなおてても可愛らしいです。



この作品がどのような経緯で誰に依頼されたかは謎です。ですが詳細が不明でも時を超えて輝き続ける名作です。



フィレンツェにいらっしゃる時の参考になさってみてください。

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