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レオナルド・ダ・ビンチ 「受胎告知」 1472年頃 ウフィツィ美術館

マリア様が家で本を読んでいた時大天使ガブリエルがやって来て、彼女が神の子を授かる事を告げる行。丁度降り立った天使に驚いている様子を表しています。



夕暮れ前の静かな光に照らされた2人。



現在この絵はレオナルドの作とされていますが、少し前までは別のミケランジェロの師ギルランダイオに帰属されていました。



レオナルド・ダ・ビンチと言えば、先日ご紹介した「イエスの洗礼」にも見られるように、正確な人体表現で知られます。しかしこの作品に描かれた聖母も天使も少しいびつです。



例えばガブリエルの横顔は異様にのっぺりとしており、マリア様の手は異様に長く、本に添えた手もポーズが不自然です。更に彼女の脚は三本あるようにも見えます。肌の質感も人形のようで柔らかさを感じません。


人体だけでなく、背景の糸杉もおもちゃのようです。


この事から長らくレオナルドの作と思われていなかったのですが、ウフィツィ美術館の館長だった美術史家が右から見た時だけ、バランスが取れて見える事を発見します。


人体のプロポーションも奥行きも右から見た時にまとまる


この技術は歪像画像と呼ばれ、レオナルドが発明しました。彼の手稿「アトランティコ手稿」に歴史上最初の記述があります。



この美術史家が立てた説によると、展示されるはずだった場所が部屋の左端で、右からしか見ることができなかったため、レオナルドはこの技術を用いたとのことです。そのため、美術館の様に正面から鑑賞すると人体バランスが取れていないように見えていたのです。




賛否両論がありますが、現在ではレオナルド・ダ・ビンチの作と多くの研究者から認められています。



ウフィツィ美術館にいらした時、右からこの作品をご覧になってみてください。


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