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命懸けでイスラエルを救った王妃の話
今回は旧約聖書をテーマにした作品をご紹介します。
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パオロ・ヴェロネーゼ 「アハシュロス王に謁見するエステル」 1560−69年 ウフィツィ美術館
大きく、壮麗で、水面の光数々の色が散りばめられたような作品です。ツアー中に美術館を歩いていて目を留める方も多いのですが、展示の後半にあるため次の予定を考慮して、中々説明することのない絵です。
エステルは旧約聖書に出てくるイスラエルの女性です。
ある日、前妻と別れ新しい妻を迎えるためにペルシャ王アハシュロスは国中の美女を集めます。そこで選ばれたのがエステルでした。彼女は誰よりも王に寵愛を受けます。
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しかし、イスラエル人を嫌っていた大臣ハマンはイスラエル人がペルシャの法律を守らない事を理由に、アハシュロス王からイスラエル人を殲滅する許可を得ます。
その事を知ったエステルは同朋を救うため、王に会いの行くことにします。
ペルシャでは王のお召しなく王の前に出た場合、王妃でも死刑になる事がありました。しかしながら、育ての親から彼女が王国に来たのはこのためかもしれないと諭されて、決意を固めます。
神に祈りを捧げ、王妃の衣装に身を包み、王の元に行くエステル。
彼女の命懸けの嘆願に心を動かされたアハシュロス王は、計画を中止。扇動した大臣のハマンが処罰されました。
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エステルの真摯な眼差しと王と彼女の間の緊張感が美しい作品。
この作品はウフィツィ美術館の二階、ヴェネツィア絵画のエリアにあります。
美術館にいらした時の参考になさってみてください。
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