大人の遠足vol.1 江ノ島
江ノ島まで電車に乗って約一時間。
自宅から都内へ出るよりむしろ近いので、時々行きたくなる場所だ。
ようやく厳しい寒さも抜け、天気がよいので以前から気になっていた岩屋へ行こうと思い立ち
ちょっと寝坊気味の朝、バタバタと支度をして出かけた。
よく晴れた日だったので暖かくなると思い、軽装で出たら外の空気は冷え冷え。
暖かくなることを期待して自分を鼓舞したが、ここで引き返そうかと何度も思うくらいだった。
実際片瀬江ノ島駅に着いた時、家族連れから「寒くないの?」「寒いよ」という会話が聞こえたので
平気に見える人たちもきっと寒いのだと、寒がりレベル人3倍くらいの私は少しホッとした。
4月の晴れた日というのは厄介だ。
日差しが強いので暖かそうに見えるが、冬の名残で空気が冷たい日があり体にクッと力が入る。
もう何十年もそうして騙されているのだから、そろそろ学習してもいいのではないかとさすがに思う。
春の日差しに騙されるのは今日限りにするつもりだ。
藤沢で小田急線に乗ると、平日なのに人が多かった。
あれ?いつもの感覚と違うな・・・と思ったら、春休みだと気づいた。
ここでもまた、ちょっと気持ちが萎える。混むわぁ・・・って。
とはいえここまで来てしまったのでもう行くしかない。
若干足取りが重くなったが、片瀬江ノ島駅に着いて海を見たらもう気持ちは晴れ晴れだった。
海が見たくて、たびたび訪れる大好きな場所だから。
午前中にも関わらず、春休みの子どもや学生とインバウンド客が多く、
青銅の鳥居から先はすでにごった返している。
これは気合を入れなければと、のっけから糖分補給にお饅頭を一つ買った。
選んだのは大好きなこしあんの方。
見た目はちょっとブサイクだったけど、蒸かしたてで美味しかった。
ところで、2種類あるとたいてい酒饅頭がこしあんで、茶饅頭がつぶあんなのはなんでなんだろう?
私は茶饅頭のこしあんが一番好きなんだけどね。
さて、気合を入れたわりにはいきなりエスカーに乗る。(島内のエスカレーターね)
だって今日は岩屋まで行くのだから、途中に体力を使ってる場合じゃないのだ。
言い訳をすると全区間乗るのは今回初めてで、いつもは最低でも辺津宮まで階段をのぼる。
その途中の景色だってとても素敵だからだ。
体力に自信のある人は是非全部階段で行って欲しいなと思う。
辺津宮、奉安殿、八坂神社、秋葉社、中津宮、奥津宮、龍宮をお参りし、いざ岩屋へ。
何度も江ノ島へは来ているのに、龍宮から先は今回が初めて。
急な階段をハラハラしながら降りる。
その先には、想像もしていなかった景色が広がっていた。
そして、すごく悔しい気持ちになった。
今まで何度となく訪れている所の先に、こんなに素晴らしい場所があったのかと。
私はそれをずっと見逃してしまっていたのだと。
眼下に広がる相模湾は広大で、写真に撮ってみたけどそれじゃ伝わらない。
やっぱり自分の目で見て、この空気を感じてみて初めてわかることがある。
言葉にはならない、内側から込み上げてくるような思いがあった。
朱塗りの橋を渡ったら今回の本命、岩屋へ。
事前に調べていたので雰囲気はわかっていたけれど、岩屋の空気感や温度、湿度を肌で感じる。
寒くも暑くもなく、ちょっとぬるくて湿っぽい感じ。
暗がりの中、サービスで渡された灯篭を案内にして、狭い奥へとゆっくり歩く。
石像が並び神秘的だが、たくさん観光客がいたので怖さは感じない。
ただ、江ノ島神社発祥の場所と言われる小さな神社は明らかに厳かな雰囲気が漂っていた。
第二岩屋はうって変わってキラキラのイルミネーションが飾られ、映えスポットのよう。
いつも思うのだが、日本人は写真を撮られるとき、おどけたりふざけた感じになって恥ずかしさをごまかしてしまうけれど、
外国人、特に女性は素敵なポーズをとって写真を撮られている。あの堂々とした感じ、ちょっと羨ましいと思う。
とはいえやっぱり恥ずかしくてできないんだけどね。
すっかり観光気分で旅行へ来たような新鮮さを味わったあと、
下ってきた急な階段をのぼるほどの元気はもう残っていなかったので、帰りは対岸まで出ている船に乗って自分を甘やかす。
たまたま私一人だったので貸切状態だったが、戻ったら行きの乗客がたくさん待っていた。
最初に船で岩屋まで行き、その後島内めぐりをするのもいいかもしれない。
いつもは鎌倉へ出て食事をすることが多いのだけれど、江ノ島にもおしゃれなお店がけっこうできているのね。
午前中だけじゃもったいないから今度はもっとゆっくり遊んで帰ろうかな、なんてことを思いながら、船から降りた後、人気の少ない階段に腰かけて、持っていたベルギーワッフルを食べながら今後の楽しみに思いを馳せた。
もちろん、鳶にさらわれないよう、警戒して食べたのは言うまでもない。
期せずして大満足な大人の遠足となった江ノ島散歩。
さて、次はどこへ行こうかな。
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