組織やチームで重大な意思決定に危険を及ぼす「集団浅慮」とは?
「集団浅慮」という言葉を聞いたことはありますか?
閉鎖的な仲の良い集団が、和を尊重し過ぎるあまり、重大な意思決定に際して、不合理なリスキー・シフト(集団で討議した後、意思決定がより危険性の高いものにシフトする心理法則 ・現象を指す)を起こしてしまうことを言います。
今回は、集団浅慮についてまとめていきたいと思います。この集団浅慮、他人事ではなくて本当に身近で発生しやすいのです。
なぜ集団浅慮は生まれるのか?
例えば、組織やチーム内でこんなことはないでしょうか。
集団浅慮が生まれやすい状況としては、凝集性の高い集団ではまとまることにメンバーが集中し、異なる意見や考えを表明しにくくなることがあります。
ちなみに、集団凝集性(Group Cohesiveness)とは、その集団のまとまりの度合いや、帰属意識の高さを意味する言葉です。
その他にも、リーダーの力が強くてメンバーがリーダーの考えに無批判に従おうとする態度が生まれることや、外部からのアドバイスや情報に鈍感になって集団として孤立してしまう状況も集団浅慮の原因になります。
Janis(1972)は、集団浅慮が生まれる理由を5つ挙げています。
集団浅慮が生まれた集団の症状
集団浅慮に陥っているかもしれない….と思った時、下記のような症状が集団内で起こっていないか?を確認すると良いかもしれません。
下記は、Janis(1972)の定義です。
集団浅慮を防ぐには?
ここまで読んでいただいた方は「これ、誰にでも起こりうる可能性があるのでは….?」と思った方も多いのではないかと思います。
そう、この集団浅慮はどのチーム、組織にも起こりうる可能性を秘めています。
最後に、私が考える、集団浅慮を防ぐためのポイントを紹介できればと思います。
①定期的に第三者(外部者)を入れたMTGを開催する
これ、自社でやっています。毎月1回、チームコーチングという形でチームコーチングを学んでいる友人に自社のMTGに入ってもらって、見えた世界や起こっていることを客観的にフィードバックもらう機会を作っています。第三者が入ることで、今の状況を俯瞰して説明してくれたり、「こう見えているのだけど◯◯さんはどう?」と私の代わりに会社のメンバーに問いかけてくれたりして、一緒に働いているメンバーが「実はこう思っていたのだよね」と本音を打ち明けてくれたこともありました。会社の中にいると気づかなかったことが、第三者がいるからこそ、気づけるということは多いと実感しています。
②リーダーからの発言を少し控えてみる
リーダー、社長、部長、課長など肩書きがある人がMTG内にいると、本人はそのつもりがなくても、どうしても緊張感が走ってしまったり、場合によっては圧力を感じてしまう人もいます。結果、言いたいことが言えなかったり、肩書きのある人の意見ばかりが通る、というようなことが起きる可能性が高まります。Cass R. Sustain氏とReid Hastie氏は、ハーバード・ビジネス・レビュー誌で「カスケード効果」(グループのメンバーが、最初に発言した人の発言に同調してしまうこと)について述べています。自分ばかりが会議などで一番に開口してるかも、と思った方はそのパターンを崩してみるのも一つかもしれません。また、「この場はどんなことでも発言して良い」というオープンなリーダーシップも重要になってきます。
③定期的に振り返り会を実施する
自社で、よくやっています。集団浅慮という言葉を知っていても、やっぱり同質性の高い人と一緒にいると小さな違和感を流してしまって、「あ、やっぱりこう言えばよかったな」とか「こうした方が良いと思っているけど言えてない自分がいるな」と思うことは多々あります。だからこそ、特にプロジェクトメンバーやチームメンバーに対して、1ヶ月に1回これまでやってみてどうだったかとか、感じた違和感などはあったかとか、修正した方が良い進め方はあるか、などを振り返る時間を必ずつくっています。日々の会議だと、タスクを進めたり、プロジェクトにまつわる相談はできても、チームとしてどうあるか、という話になかなかなりません。だからこそ、定期的にチームとして組織としてどうあるか、ということを敢えて話す場をセッティングするようにしています。
以上が、集団浅慮と、集団浅慮を防ぐために私がやっている工夫です。集団浅慮はどのチーム、どの組織でも陥る可能性があるからこそ、そのメカニズムを理解しておきたいなと思います。