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社内でも社外でもWillが溢れる状態に。お互いに応援しあえる組織を作りたい。/羽山暁子さん


4月より、「より良い組織づくりの実践者インタビュー」を個人の活動として始めることにしました。このインタビューを通じてより良い組織とは何なのかを探求し、言語化していきたいと思っています。

なぜインタビューを始めようと思ったのかの詳細は、こちらのnoteをご覧ください。
https://note.com/yuka5139/n/nda520323dc1f

今回のインタビューは株式会社Pallet代表取締役の羽山暁子さんにご協力いただきました。羽山さんは、ご自身の経験を経て、社員が働きやすい環境について日頃から考えていらっしゃいます。これまでどんな経験をされ、社員が働きやすい工夫をどのように実現されているのか。
コーヒーや紅茶片手にぜひご覧ください。

※原.....原田
 羽.....羽山

自己紹介

羽山暁子
国際基督教大学(ICU)卒。新卒でインテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。法人営業、人事を経て、データサイエンスカンパニー、ブレインパッドに入社。マザーズ上場、東証一部上場を人事マネージャーとして経験。
新卒・中途採用、社内文化醸成、社内研修、労務、メンタルヘルス等幅広い人事経験を持つ。2015年 東京から仙台にIターン。3年間のフリーランスの後、株式会社Pallet設立。アドラー心理学に基づくコーチングを基に、ビジネスコーチ、研修講師、組織コンサルタントとしてローカルの中小企業から、グローバル企業まで組織開発に関わる。「人づくり、組織づくり、街づくり」「はたらくことがあたり前に幸せな社会を共に創る」をテーマに活動。
株式会社AOD 取締役 CCO(Chief Communication Officer)
一般社団法人グラミン日本 仙台支部 支部長


株式会社Palletについて


(原)あっこさん、今日はよろしくお願いします!まずは株式会社Palletについて教えてください。

(羽)現在Palletは役員2名、社員4名、業務委託(パートナー)9名、プロボノ2名、外部コーチ110名で運営しています。事業は、組織づくり事業、人づくり事業、まちづくり事業の3軸で行っています。組織づくり事業は、アンケートサーベイにより定量化された組織コンディションに基づき、課題に応じた研修やワークショップを設計します。トレーニングを受けたコーチ(=WiLLトレーナー)が1on1で伴走し、社員の行動と認知の変容を支援し、一人ひとりが組織のWiLLに共感しながら自走する組織を実現する取り組みです。人づくり事業は、コーチングスクール「Life Design Lab.」を展開しています。コーチング初学者向けのBasicクラス、マネジメントに役立つ経営者やマネージャ向けのAdvanceクラスなどがあります。最後にまちづくり事業は、人づくり、組織づくりの知見を「地域」に活かし、よりはたらきやすく、暮らしやすい、幸せなまちを地域の方々と共に創っています。

目的に合わせて2種類のミーティングを実施

(原)どの事業も興味深いものばかりです。メンバーの方々の雇用形態は様々だと思うのですが、何か働きやすくなるための工夫などされていますか?

(羽)とにかく社内では、対話の量を多く取るような設計にしています。例えば、毎月2回、オンラインで全メンバーが集まる全社ミーティングを実施しています。具体的には、「ロケーションミーティング」と「未来ミーティング」という2種類です。「ロケーションミーティング」は、主に業務での進捗共有など、現在地をお互いに知り合うことを目的に実施しています。一方で、「未来ミーティング」は、中長期的なことや、そもそも答えがないようなことを対話する目的で実施しています。事前に各自が話したいテーマを持ち寄り、対話をします。そこにゴールはありません。あるメンバーからは、「働く上で性差別を感じたことはあるか?」というテーマが持ち寄られました。

(原)ミーティングだけどあえてゴールを設定しないって面白いですね。未来ミーティングは何がきっかけで生まれたのでしょうか?

(羽)元々、社内で「ロングミーティング」というミーティングを私主催でやっていたんです。その時のアジェンダは、進捗共有と、経営の戦略の話をしていました。でも、一昨年から徐々にメンバーが増えてきて、アクセルを踏んで事業を大きくしていきたいと思っていたタイミングでもあったんです。その時に、私とメンバーの間でハレーションが起きました。「幸せに働くこと」をローカルで実現したいと思ってジョインしてくれたメンバーだったからこそ、色々な意見が出たんですね。そして、一方では、業務委託で関わってくれているメンバーをどうチームビルディングしていくか、遠慮してしまう時期でもありました。ほとんどの仕事を自分が抱え込んでしまって。そんな時に、あるメンバーが「あっこさんの重力から少しずつ解放される方向で組織を作っていけたらいいよね」と言ってくれて。これまでチームを自分の重力で引っ張っていたことに気づきました。それから、メンバー自身が、私が全てオーナーだったものを巻き取ってくれて、自律的に運営してくれるようになって、未来ミーティングが生まれました。

社内で何が起きているかを客観視すること

(原)ハレーションは起きたけれど、大きな問題にならなかったのは何かあったのでしょうか?

(羽)そうですね。起きている渦中でも、健全なハレーションだと認識できでいたのは大きかったと思います。組織をつくっていくプロセスや、理論などの知識を知っていた、というのも大きかったかなと。タックマンモデル(心理学者のブルース・W・タックマンが1965年に提唱した、組織の成長の段階を示したモデルのこと)が正解かどうかはわからないけど、正解であると仮定した時に、その時の事象にラベルをつけて、自分の引き出しにしまうことはできていました。

(原)組織の中で起きていることを、客観的に見る視点ってとても大事ですよね。そのほかにも問題にならないように意識していたことはあったんでしょうか?

(羽)全てのミーティングの前に必ずチェックイン(会議を始める前に、参加者にひと言ずつ発言してもらうこと。)を実施しています。具体的には、メンバー全員が心と体のコンディションを10点満点で発表しあうことをしています。基本ほとんどのメンバーがオンラインで仕事をしているので、雑談する機会を意識して作らないと話す時間がないんです。雑談があまりにも少ないと仕事の中でのコミュニケーションに小さな齟齬が生まれることもあります。だからこそ、雑談やチェックインは大切だと思いますね。

仕事以外の部分を知って、応援しあえる組織を作りたい

(原)色々な工夫をされていることをここまで伺ってきたのですが、Palletで改めて大切にしていることって何でしょうか?

(羽)私たちは、「will」を大切にする組織風土を作るということを大切にしています。一人一人が大切にしている価値観と未来への意志を「will」と呼んでいます。
「will」を発見するには、仕事とは全く関係ないテーマで話すことが大切だと考えています。人の幸せって、獲物を狩りにいくことだけが全てではないと思うんです。食事を一緒にするとか、木の温もりを感じるとか、そういうプロセスも大事。そういうプロセスを一緒に過ごす中で、その人が何を大切にしているのかを知った上で、お互いを応援しあえる組織を作りたいんです。

(原)仕事以外の部分も知って応援しあえる....あっこさんはいつからそれが大事だと思ったんですか?

(羽)実は私、仕事をしていれさえすれば幸せな人間だったんです。数字を出している奴が偉いっていう世界の中で、ひたすら仕事だけを、生産性高くやってきました。でも、男性が作った組織のなかで、女性が結婚する、子どもを産むという仕事以外の選択肢を取った時に、何か悪いことをしている感覚があったことが、違和感でした。時短勤務になると給与が下がるとか、育休を取っても戻る場所がないとか。その違和感の中で東京から宮城県に引っ越してきて、改めて人間らしい生き方、働き方を、資本主義経済とは違う形で再構築した方が良いと思ったんです。

(原)再構築ですか。

(羽)そう。資本主義経済の影で、犠牲になっている幸せがたくさんあるんじゃないかなって。改めて人ってなんのために生きているのか?って問うた時に、死ぬときに「良い人生だったな」と言えるかどうかだなと。じゃあ死ぬ時に幸せだった人生ってなんだろう、と考えた時に、仕事以外の場所で自分を認めてくれるコミュニティがあることも含まれるんじゃないかなと。そんなことを、経済活動の中に取り入れたら幸せが増えるのではと思ったんですよね。だから、Palletのキーワードは「ごちゃ混ぜにする」。生活の中に仕事を。仕事の中に生活を。実際ごちゃまぜに仕事も生活もしていて、心地よいです。

自分自身が、楽しめていること

(原)ごちゃ混ぜ、良いですね。あっこさんから楽しそうな感じが伝わってきます。最後に、あっこさんが経営する上で特に大切にしていることはありますか?

(羽)まず一つは、メンバーひとりひとりがwillを大切にできているのか、ということですね。別の言葉で言うと、Palletが大切にしたいwillと、メンバーが大切にしたいwillが重ならなかったら、卒業だと思っています。
もう一つは、エネルギーが発生しているという状態を作れているだろうか、と常に問うています。さっき、willが大切と言いましたが、メンバーのwillに寄り添いすぎると、変化が起きにくくなることもあります。社会が当たり前だと思っていることへのアンチテーゼというか。常にチャレンジができているのか、意識はしています。
最後に、私自身が楽しめているかどうか。「これって本質じゃん!」「きっとこれが正しい!」と思えている時、とても楽しいです。
あとはやっぱり、共感しあえる仲間がいること、多様性があること、かな。
そんなことを大切にしながら、日々メンバーと向き合っています。

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あっこさんのお話を聴くなかで、今回出てきたキーワードは「will」と「お互いを応援しあえる」と「ごちゃ混ぜ」。

人と組織が活き活きと働くためには、組織のやりたいと個人のやりたいが重なっているか、そして仕事以外の部分に興味を持ってお互い応援しあえるかどうか、加えて多様な価値観、視点があることは大きいのだと思いました。

そして何より、組織に関わっている自分自身が「楽しめているか」。
仲間を巻き込んでいくには、自分自身が楽しめているかはとても重要だと感じました。私も、あっこさんみたいにワクワクを伝染していきたいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。今後もインタビューは継続していくので、最新情報をキャッチしたいと思ってくださった方はよろしければ下記のアカウントのフォローをお願いします◎
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次回のインタビューnoteは、NPO法人グリーンズ代表の植原正太郎さんです!

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