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目の前の人をまず大事にすること。その先に事業の成果がある。/植原正太郎さん
このインタビューはNPOグリーンズ共同代表の植原正太郎さんにご協力いただきました。NPOグリーンズは、「いかしあうつながりがあふれる幸せな社会」を目指す非営利組織で、WEBマガジンを中心に様々な事業を展開されています。植原さんは、コロナ禍をきっかけに2年半前、都内から熊本県南阿蘇村にご家族で移住。自然と共存する暮らしを目指しながら組織の「持続可能性」についても日頃考えておられます。これまでどんな経験をされ、今の組織形態に至ったのか。コーヒーや紅茶片手にぜひご覧ください。
自己紹介
植原正太郎
1988年生まれ。大学時代のインターンをきっかけに初めてソーシャルの仕事に携わる。大学卒業後はマーケティング事業を主軸としたIT企業に就職。その後、2014年にNPOグリーンズ入職。寄付会員制度の立ち上げに携わり、ファンドレイジング、マーケティングの担当としてキャリアを積みながら2018年4月には副代表 兼 事業統括理事のポジションへ。2021年4月、共同代表に就任。同年5月に家族で熊本県南阿蘇に移住し、大自然に囲まれた生活を満喫している。釣りとスケボーが趣味。二児の父。
note : https://note.com/little_shotaro
NPOグリーンズについて
――正太郎さん、今日はよろしくお願いします!正太郎さんとは、私たちの会社(合同会社&ante)のプログラムに登壇していただいたりと、日頃からお世話になっています。まずはNPOグリーンズについて教えてください。
植原:よろしくお願いします。優香ちゃんと話すのは久しぶりだね。社員は5名(うち2名が理事)、業務委託10名の約15名ほどの組織です。他にもインターン生が6名(学生、社会人)、グリーンズのライターさんもいます。グリーンズの一つの特徴とも言えるのだけど、関わり方にかなりグラデーションがあるんだよね。でも、ここまで含めて全員がグリーンズの大切なメンバー。
そして、僕たちはコミュニティのような動きをしている。例えば、グリーンズのライターさんを招いた感謝祭を実施した時なんかは、グリーンズの企画会議も同時に開催したりもして。今後、グリーンズをどうしていくかについて話したのだけど、メンバー同士が繋がれるような場づくりや、コミュニケーションを大切にしています。
事業としては、WEBマガジン「greenz.jp」、採用&キャリア支援事業「グリーンズジョブ」、学びと実践の場「グリーンズの学校」、つながりの場「green drinks」などをやっています。他にも、企業、自治体ともプロジェクトを推進しています。
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大切にしている、「公私混同」
――私はどの事業も関与させてもらった経験があるのでわかるのですが、事業をやっている方がどなたも、いつも楽しそうにされている印象があります。メンバーの方々の雇用形態は様々だと思うのですが、何か働きやすくなるための工夫などされているんですか?
植原:グリーンズの社是でもあるのだけど、一番大事にしているものは「公私混同」。自分がやりたいこと、探求したいことを自分の暮らしにつなげて企画すること。例えばグリーンズのライターさんが、自分の住んでいる地域にめちゃくちゃ面白い人がいて「取材したい!」という気持ちになったとき、僕たちはその気持ちを尊重したい。
そして、「取材したい」というその人の「やりたい」を突き詰めた結果、素敵なメディアが出来ていき、社会に広がればいいと思っていて。僕の場合だと、今は熊本県南阿蘇村に住んでいるのだけど、南阿蘇村でいつか仕事をつくりたい、と思っていて。それがやりたいこと。
それがクライアントワークだったとしても、自分のやりたいことに繋げることを大切にしています。
――暮らしと仕事が一体になっている感じでしょうか?
植原:そうだなあ、暮らしと仕事を分けるよりも、繋がっていた方が豊かなんじゃないかって思っていて。生き方、暮らし方の提案を人生を通して行うことが事業に繋がって、それがまた社会にとっても良いインパクトになる。
仕事そのもので、自己実現できることが理想なんじゃないかと思っているよ。
作りたい社会、目指している暮らし、世界観が合う人たちと働きたい
――グリーンズはいつからそのような思想を大切にされていたんですか?
植原:そうだねー、創業時から変わってないと思う。
「ビジネスチャンスだからこれやろう!」というような議論は出てこないな。それよりも、グリーンズに関わっているメンバーがやりたいことを優先しようよって。そういう意味では、事業成長をあまり目指せていないことは課題かもしれないけれど。
グリーンズはメディアという資源、イベント企画という資源、人という資源、たくさんの素敵な資源がある。たくさんの資源があるということは、それだけ自由に遊べる環境があるということ。
――自由に遊べる環境….
植原:そう。でも、新しく入ったメンバーがすぐにその環境に馴染むわけではなくて。どこの組織もそうだと思うけど、グリーンズの環境や文化に慣れるにはやっぱり時間はかかる。だからこそ、新しく入ってくれたメンバーに対して「何かやりなよ」と、こちらから声をかけることはしないし、その人から出てくるのを待つようにしている。でも、待つだけではなくてその人の興味関心を知ることができれば、それにまつわる情報提供や、コーディネートをすることは意識しているかな。
――なるほど、その人の主体性を引き出すことを大切にされているんだな、ということがとてもよく伝わってきました。採用ではどんな人を仲間にしたいと思っているんですか?
植原:グリーンズは、ポジション採用をあまりしていなくて。これまで一緒に働いてくれている人を振り返ると、グリーンズのイベントに参加してくれた人や、グリーンズのカルチャーを理解してくれている人、グリーンズが作りたい社会、目指している暮らし、世界観に共感してくれている人が仲間になってくれているかな。ここが噛み合わないと、「学び」が生まれないと思うんだよね。
お互いの「弱さ」を出すと、組織はもっと良くなる
――これまで話を聞いてきて、メンバーの主体性やメンバー自身のwell-being(心身ともに満たされた状態)を意識した組織づくりをされているなという印象があるのですが、他にも意識されている取り組みなどあるのでしょうか?
植原:グリーンズは基本、メンバーにノルマが課されることはないです。
もちろん事業予算は立てるし、各事業ごとに売り上げを立てることもあるけれど、誰かの責任、というよりかはみんなで達成していこう、という意識を持つようにしています。できているか、できていないかで人を見ていない。
でも、頑張り屋さんが多いので、オーバーワークになってしまうことが課題としてはあって。そのオーバーワークを減らして勤務時間を所定の時間より少なく収まるように、1年前から人事担当をつけました。
具体的に実施している施策としては、正社員だと3ヶ月に1回、業務委託だと6ヶ月に1回、1on1を実施しています。1on1では「働いていてモヤモヤすることはないか」「自分のやりたいことを実現できているか」ということを聴いています。
――そういったコミュニケーションが、「自分は大事にされている」という感覚を生むことに繋がりますよね。
植原:僕は、組織づくりはコミュニティマネジメントだと捉えているところがあって。常に働いている人たちのニーズは何か?を観察しながら、場の運営をしている感覚に近いのかな。
無理をせずに働く。
継続的に事業を続ける。
人を大事にする。
メンバーの家族のことを考える。
そのさきに事業の成果があると思っているんです。
あと、トップが「弱さ」を積極的に出せるかどうかも大事だなと思っていて。「今週、鬱気味で仕事ができませんでした」とか「子供が熱を出してちょっとパニック状態です」とか、そういうことも言うようにしています。
誰かが「弱さ」を出した時に、その組織に受け入れられるということがわかれば、安心して「弱さ」を出せますよね。
「弱さ」を出した方がきっと組織は良くなるんじゃないかな。
誰かにとっての希望の灯台であり続けたい
――私自身、「弱さ」を共有することを自分の会社でも大切にしているので、共感します。最後の質問になるのですが、正太郎さんが経営する上で特に大切にしていることはありますか?
植原:そうだな…..それぞれがやりたいことを好きにやりつつも、社会の前進につながるよう、デザインすること、かな。
グリーンズはコモンズ(特定の人や団体が所有することなく、誰でもが自由に利用でき、占有が許されない空間)だと思っていて。
みんなが使える器でもあり、畑でもあり、コミュニティでもある。
みんなでグリーンズという畑を手入れをして、実ったものを収穫して、最終的にグリーンズに還元する。そんな循環が生まれていると思います。
そして、グリーンズは常に、誰かにとっての希望の灯台であり続けたい。
灯台のもとには人が集まるし、集まることで希望が広がると信じています。
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正太郎さんのお話を聴くなかで、今回出てきたキーワードは「弱さの共有」と「やりたいこと」と「コミュニティ」。
人が活き活きと働くためには、自分のやりたいことは何かを考えることができてかつ、実現できる土台があるかどうかが大きい。そして、その土台の中で、自分の弱さやありのままを共有できて、認め合えて、気にかけ合えること。そんな組織風土が、みんなが集まれる、灯台のようなコミュニティになっているのではないかと思いました。
グリーンズのように、自分がやりたいことを提案して、それが企画や事業になって、参画してくれる仲間がいる。これほど心強く、ワクワクすることはないんじゃないかとも思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
2023年4月より、「より良い組織づくりの実践者インタビュー」を個人の活動として始めています。このインタビューを通じてより良い組織とは何なのかを探求し、言語化していきたいと思っています。
なぜインタビューを始めようと思ったのかの詳細は、こちらのnoteをご覧ください。
今後もインタビューは継続していくので、最新情報をキャッチしたいと思ってくださった方は、よろしければ下記のアカウントのフォローをお願いします◎
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次回のインタビューnoteは、株式会社WAT COOの樋口康太郎さんです!