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自分でできるプチ改造:ベアリングとロータリー回転台の角度調整

機械工学では、垂直と水平は基本中の基本である。ズレはロスに直結する。

基本構造

ロータリーバルブ周りの構造は下図である(ヘットマンカタログをだゆうじが加工)。呼称はテキトウなのでぜひ正式名称を教えて欲しい。

奏者の指がレバーを押したら、レバー部品 → ベアリング(ボールジョイント)→  プッシュロッド(ネジ棒) → ベアリング(ボールジョイント) → ロータリー回転台、と順にチカラと運動が伝わる。

ロータリー式バルブと周辺部品の基本構造

本題

ベアリング → 回転台はネジで留められている。当然、ここでも、部品間は垂直水平であれば望ましく、角度のズレはチカラ動きのロスになり、さらにベアリングと回転台とが接触してしまえばロスはさらに増える。

90度より大きい場合

これは対策が比較的容易である。ベアリングと回転台との間の距離を広げれば90度にできる。回転台の高さのかさ増しと同義である。つまり、それらの間に何かを噛ませ挟めばよい。

ベアリング-回転台の角度が90度より大きい場合

その間隙が少しだけなら、おすすめはワッシャー。Alexanderでのネジ径はM2なので、その穴径のワッシャーを使う。リンクのものは厚さ0.5mm。

空けたい間隙が大きいなら、ワッシャーたくさんよりもナットが良い。ただし、そこまで間隙を開けるということは、留めネジをそれだけ引き出すことになり、回転台との嵌合強度が落ちるので、オリジナルより長い留めネジに交換が必要かもしれない。ネジが長すぎたら、余分な隙間となってしまう部分をナットやワッシャーで埋めてベアリングがガタつかないようにするべし。

(長いネジはよい製品を見つけられませんでした。現時点部品を持って楽器修理店 もしくは ホームセンターへGo。

改造前 ワッシャー付加無し
改造後 ワッシャー1枚付加
改造後 ナット付加(右側)

90度より小さい場合

これは対策が非常に難しい。もしベアリングと回転台とが接触しているなら応急処置的にワッシャーをかませるのが良いが、角度はさらに小さくなりロスは増える。

ベアリング-回転台の角度が90度より小さい場合

根本対策は、レバー側のプッシュロッド接続部(機種によってはベアリング)の図中垂直位置を下げることである。
① レバー部品を伸ばす:例えば金属片をロウ付け、もちろん新作でも:この改造はHMG金管楽器技術等でで手掛けている。レバーのタッチ感触を変えたくないひと:レバーの位置を変えたくないひとにおすすめ。
② レバーを支えている台の「高さ」を下げる。一度外して、わずかに斜めにして付け直す。レバーの高さが高いと感じるひとには一挙両得なのでおすすめ。

90度より小さい場合の改造 ①② プッシュロッド接続部の高さ下げ

③ プッシュロッドをへの字に曲げる:本当にオススメしない。応急処置にはなるが、強度も伝達効率も落ちる。長年これで我慢していたが、根本対策①を取ってその差に驚愕した。ぜひとも諦めずに①もしくは②にチャレンジしてほしい。

90度より小さい場合の改造 ③ プッシュロッド曲げ
90度より小さい場合の改造 ③ プッシュロッド曲げ
90度より小さい場合の改造 ① レバー部品長さを伸ばす

自分でできるプチ改造シリーズ

参考サイト・図借用サイト

Have you ever seen the inside of a rotor before? Our rotary valves are built in-house with tolerances on these valves...

Posted by S. E. Shires Company on Monday, June 1, 2020


https://www.buffetcrampongroup.com/wp-content/uploads/2021/04/Spares-BS-MW-JS-HH-v2.pdf

以上





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