<閑話休題>我が家のイタ飯とワイン
昔、高い高い関税があった頃、EUで300円くらいのテーブルワイン(毎日の食事に、日本人のみそ汁のように飲まれるリーズルナブルなワイン)を、高級デパートで3000円くらいで売っていた。
しかし、最近のEUとの関税協定やTPP(不肖私めも、準備会合のお手伝いをしたことがある)のおかげで、輸入品の価格が下がり、この画像にあるトスカーナ(イタリア文化と美食の中心、フィレンツェが州都)のテーブルワインを、少し前に慶應ラグビー部OBが社長をしていた某コンビニチェーン店が輸入し、600円弱で販売している。
私は、昨年3月にルーマニアから苦労の末に帰国してから、上述した昔の苦い記憶もあって、どうせ日本では程よいテーブルワインをリーズナブルな価格で買うことは無理だろうなと思っていた。とはいっても、安いからというだけでチリワインを飲む気にはならなかったし、また、スーパーで売っている国産ワインも試してみたが、甘いばかりでワインという味がしない。やはり、私の口には合わないのだと思った。
昔、私が二十代後半の頃、日本でチューハイとかサワーが流行したが、試しに飲んでみたら、「これは酒ではない、たんなるジュースだ」と感じたのを思い出してしまった。脱線ついでにいうと、当時の税額で級がつけられていた日本酒では、メジャーなものでは剣菱だけが飲めたが、他では二級酒とされた地酒が最高だった。特に西荻窪のホビット村にあった満月洞で愛知の地酒樽平(たるへい)を飲んだときは、「これぞ日本酒だ!」と感激したのを思い出す。なお当時から、ホッピーは飲みやすい庶民の酒としてロングセラーだった。
ということで、日本に帰ってからしばらくは、手頃なイタリアワインはないかと探していたところ、偶然にもこの画像のトスカーナワインに出会ったのだった。
安い値段からは、どうせチリワインの亜流だろうぐらいに馬鹿にしていたが、実際に飲んでみたら、なんとEUで飲むようなテーブルワイン(ハウスワイン)に匹敵するレベルだ。これは私の口に良く合った。ローストビーフあたりの濃い料理にはちょっと厳しいが、普通の軽めのイタリアンや和食であれば、実に良く合う。
私が好きなカプレーゼ(モッツァレア(水牛)チーズとトマトにオリーブオイルをかけたサラダ)やボロネーズ(ボローニャ風パスタ、いうなればミートソース。私はスパゲティよりペンネが好き)などに、このワインは良く合う。このワインを飲みながら食べていると、胃腸の消化が促進される気がしてくるのだ。
もちろん、食後にはカプチーノ(ミルクコーヒー)を飲みたいのだが、専用のマシーンがないので、普通のコーヒーで我慢している。それでも、こうして我が家で食事をしていると、遠くイタリアの青い空が浮かんでくるのだから不思議だ。・・・ああ、また地中海の波を眺めながら、冷えた白ワインでイワシの炭焼きを食べたい!