タイトルを響かせるには——
タイトルは瞬発力で勝負
こんにちは! 広報うちこの中の人、兵頭です。
今回は「記事のタイトル」についての話です。少し長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。
その重要性は皆さんのご存じの通りだと思いますが、読者の皆さんが瞬間的に読むか読まないかを判断するのが、タイトル。忙しい人たちを一瞬で立ち止まらせる言葉の力が必要です。だから広報紙の担当者は、タイトルの瞬発力を鍛えなければなりません。
ちなみにレイアウトの基本では、文字の大きさは声の大きさという考え方があります。読者の目を引くため、何を伝えたいか一目でわかるために、タイトルには大きな字を使いますよね。行政側からのお知らせ記事などで「年金について」とか、「~ついて」で終わらせる人もいるかと思いますが、これは「この記事はつまらないですよ」と大きな声で言っているようなものなので、気を付けましょう(笑)
瞬発力を鍛えよう
瞬発力のあるいいタイトルは「短くて、明確で、強い」。
私はタイトルを付けるとき、この3つ「短く」「明確に」「強く」を意識して言葉を選んでいます。補足すると
・「短く」は ― 伝わる極限まで言葉を削る
・「明確に」は ― 何の記事なのかがわかるキーワードを使う
・「強く」は ― インパクトのある言葉を取材で拾う
という感じです。
各種記事のタイトルのコツ
広報紙の中には、ニュース・インタビュー・お知らせ・特集などの記事があり、それぞれにタイトルを付けると思いますが、基本はどれも同じと考えて大丈夫。「短く」「明確に」「強く」です。細かい点で若干工夫が必要なので、ここでは各種記事のコツみたいなものを挙げながら、実際に広報うちこではどんなタイトルを使っているか見てみましょう。
《ニュース・インタビュー記事》
気軽に楽しく読んでほしいので、リズムがいいもの、親しみがわくもの、深みが出るもの、などを採用しています。
▶リズムをよくする
・言葉を3つ並べる・・・「いいモノ、いいコト、いいヒトいっぱい」、「少しでも早く、高く、遠くへ」(陸上競技の記事)など
・韻を踏む・・・「木々彩る、心躍る。」(秋の紅葉の記事)、「笹の葉さらさら、ランタンきらきら」(笹祭りの記事)など
▶親しみをわかす
・子どもの感想、やわらかい言葉を使う・・・「田植えの後のおむすびは『うんまいねー』」、「やっぱりいいね! 文化芸術の秋」、「先生は地域のじいちゃん・ばあちゃん」など
▶深みを出す
・掛詞、ダブルミーニングを潜ませる・・・「お弁当に優しさをちょっと詰めて」(こども食堂のインタビュー記事)、「手に付いたばい菌、きれいにバイバイ」、「ほんのひととき、ほんとのであい」(図書館の特集)など
《お知らせ記事》
広報紙の中でも数が多い記事。ターゲットとなる人に記事を見つけてもらうために、自分事になる、ベネフィットを感じる、ような言葉を選びます。
▶自分事にしてもらう
・主催者ではなく参加者を主役にする・・・「気軽・簡単・買い物ついで/スーパーでマイナンバーカード」(担当職員がスーパーに出張するお知らせ)、「好きなこと見つかる/こども文化体験教室」など
▶ベネフィットを感じさせる
・結果がどうなるかを伝える・・・「運動会でヒーローになれる走り方教室」、「張り・こり・しびれがすっきり/町内の施術は補助券を利用しよう」など
《特集記事》
特集記事は基本的に長くなるので、インパクトが特に重要。言葉だけでなく、いい写真の力も借りて、タイトルと写真が共鳴する紙面になるのが理想です。難しいけど!
▶写真のイメージを活かす
睡眠習慣を考える特集。取材先の保育園で何かを考えながら寝ているような園児を見つけました。かわいかったので「睡眠を考える」というページタイトルを添えて、大きく写真を使いました。
▶問いかけ+写真
食育の特集「食卓の上には何がある」。食卓の上には食事があると思いますが、さらに「食卓にあるのは、食事だけですかーー」と問いかけています。コンビニ弁当を一人寂しそうに食べる少年の姿に、タイトルの深みがさらに増しています。
▶取材力は表現力
石畳地区300人・30年の地域づくりを特集したものです。写真は地域づくりが始まるきっかけとなった水車小屋。最初のタイトルは、この地域が川の上流に位置することから「地域づくりの源流」にしようと考えていました。取材を進めるうちに、この地区の皆さんにとって水車小屋がどれだけ大切で、誇りに思っていることが伝わってきます。見聞きする中で、ここから脈々と湧き出るような地域の力を感じ、これは「源流」ではなく「源泉」の方が合うと考え、このタイトルになりました。たった1文字ですが、そこに私の取材力が込められているのかなと思っています。
でも、誇張しすぎには注意
ザコシシショウの誇張しすぎのモノマネが大好きな私ですが、広報紙の場合は盛り過ぎやミスリードなどに注意しましょう。公共の出版物なので嘘になったり、期待を裏切ったりするタイトルは避けたいものです。
特集記事の例で挙げたタイトルも、一つ一つは普通の単語です。華美な言葉を使わず、静かに響いて輝くタイトルが最強だと思います。タイトルと写真、そして記事の内容が響くような紙面は、きっと読者に心地の良い読後感を提供できるはず。「常に」は私もできていませんが、取材力と語彙力を高めて、丁寧に言葉を選べるよう心掛けたいです。
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