詩「堤防から」
堤防から飛んだ瞬間、空と海がぐちゃぐち
ゃに混ざり合った。籍を入れていない彼女と
その娘が見守る中、プラスティックの薬箱が
割れるような、暴力を振るった元夫を思い出
すような、空気と空気がぶつかって弾ける音、
いくら浅瀬が透き通っていようが、少し深く
なればなにも見えず、壊れたゴーグルと真っ
赤になった眼球、その視線の先になにひとつ
変わらない彼女と娘と。
☆
空中に飛んでいる魚 うろこ やけ酒 黒ず
んだ顔の釣り人(夫婦だ)「幻燈の思い出」
☆
空と海と野次馬と、ぐちゃぐちゃに混ざり
合っていた世界と、壁になった堤防と、鼓膜
に残る残響と、激しい痛みと、背中に残った
恥ずかしい思いと、いつの間にか消えていた
恐怖と、ぼくはいつの間にかぼくではなく、
「飛び込んで顔を打ったぼく」に生まれ変わ
っていて、そしてこれから先、もしかしたら
一生、ぼくは世界を騙して生きていくのかも
しれない。
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※2021年8月の作品です。
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