
詩「ねずみの歌」
ネズミ捕りに捕まったネズミが
いかにもネズミのような声を出して
ネズミらしくチューチューと鳴いていた
ネズミの詩を書くなんて、
いったい誰が思ったのだろうか(だが、僕は
今それを書くために生まれたのだと確信して
いるのです。
)
その長い尻尾を、いや、実家だったと思う、
夜中ではなかった、間違いなく、だから朝で
はない(それは眠りに関係している)、つまり、
昼だ、きっと昼で間違いない、夕暮れ? バ
カなことを言うな。夕暮れなんて、誰が定義
する? (僕は実は臆病者なのです)
そのネズミは、立派でした。
ぼくが、久しぶりに帰った、
実家のリヴィングで、(居間、とも)
執筆に没頭しているときでした。
どこからともなく、聞こえるの
です。チューチューと、なぜか
懐かしいような、それでいて
新鮮でした。
ぼくはてっきり、なにかの玩具かと思いま
したが、いや、それないだろう、だって、
ぼくの実家には玩具で遊ぶ人なんて
いないのですから――寂しいのです。
廊下に出て、あ。
ネズミでした。
本当なんです。
それは間違いなく、ネズミだったのです。
頭の先から、尻尾の先まで、疑いようもなく、
ああ、ネズミ(今更ですが、平仮名はどうで
しょうか? または、漢字という手段もあり
ます。ああ、盛り上がってきました)
ネズミ、
ねずみ、
鼠、、、
お腹が空きました。
ぼくは生まれ変わったら、また、人間に
なりたいと思いました。
「ねえ、ネズミが捕まってるよ」
こんな悲しい会話を、当の本人は、
いったいどんな気持ちで聞いていたのでしょ
うか。
ぼくは、人間に生まれて、本当に、よかった
です。
では、この辺で、筆を置きたいと思います。
ありがとうございました。
ネズミは、
ねずみは、
鼠は、
まだ、生きていたので、
チューチューと、泣いていました。
(誤字ではありませんよ)
では、さようなら。
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※2022年2月の作品です。
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