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プロダクト・サービス・システム(PSS)とは?

ここ数年でヒットしているビジネスにはある一定の法則があります。

それは”製品をサービス化”ができているということです。
-世界で最も成功しているタクシー会社はUber – 所有している車: 0
-世界で最も成功している宿泊業者はAirbnb – 所有している宿泊施設: 0
-世界で最も成功している映画ネットワークはNetflix – 所有している映画館: 0

これまで機能的な製品を作りさえすれば、売れていました。
しかし、今、人々はモノを持たないことを好み、そして、モノはコモディティ化しています。だからこそ、多くの企業は、これまでのプロダクト中心の戦略から、プロダクトのサービス化を目指す、サービスセントリックソリューション(製品にサービスを追加するかサービスに置き換えることで価値を創造する戦略)を探索する必要があります。

そもそも、プロダクトとサービスの違いとは何か?
サービスには、以下の4つの特性があります。
I : Intangibility (無形性):モノは有形(物質)でサービスは無形(非物質)
H : Heterogeneity(不均一性):モノは生産においてほぼ均質。サービスは生産において不均質。
I : Inseparability (同時性):モノは生産が先行し消費は後。サービスは生産と消費が同時。
P : Perishability (消滅性):モノはストックできるものが多い。サービスはストックできない。

プロダクト中心から、サービスへ価値を転換するにはどうしたら良いのか?
I : Intangibility (無形性):サービス提供とサービス経験を「証明」し、サービスをより具体的にする。非物質化を重視。
H : Heterogeneity (不均一性):サービス品質の相互作用に影響を与える条件を整理し、理解する。不均一性をカスタマイズという価値に結びつける。
I : Inseparability  (同時性):ユーザーを単なる消費する者とするのではなく、負担のない形で共同プロデューサー としての役割を担ってもらい、コラボするようなサービスモデルにする。エンパワーメントを重視。
P : Perishability  (消滅性):ネットワークやプラットフォームを介して小規模で多様なイニシアチブを結びつけることで需要に応える。

ミラノ工科大学が提唱し、欧州に広まりつつある考え方がプロダクトサービスシステム(PSS)です。PSSは、複数の設計要素の統合から生じる人々(ユーザー、サプライヤー、従業員、その他利害関係者)を中心とし、商品、サービス、スペース、コミュニケーション、ビジネスモデルまでも含むホリスティックな融合でソリューションを提供します。またPSSは、人々の行動やライフスタイルに影響を与えるソリューションです。このPSSは全体を捉えることで、”製品の再概念化(Re-conceptualization of products)”をし、これまでにない体験を世の中に提供します。

再概念化のフレームワーク。
このフレームワークは、サービスの構造を整理して視覚化することにより、
イノベーションの鍵がどこにあるかを理解します。イノベーションはバウンダリーから生まれます。あらゆるバウンダリーを理解し超越させ、全体をデザインするためのツールです。

■イノベーティブなPSS
単にサービス化すれば良いのではなく、イノベーティブな価値を創造するためには以下の側面からのアプローチが極めて重要です。

文化的側面(Cultural dimension)   → Desirability (meaning)
                   → Acceptability (society)

技術的側面(Technical dimension)→ Feasibility (technology)
                    →   Viability (economy)
                    →    Ecology (environment)

■サスティナブルなPSS
そして、サスティナブル(持続可能)にするためには、以下の原理があります。
1. 多様性の促進(Promote variety): 生物学的、社会文化的および技術的多様性を守り、発展させる。
2. 既存の活用(Make the best of what exists):何か新しいことを生みだす前に、すでに存在しているものを強化する。(サーキュラーエコノミーと通じる考え方)
3. 関係の創出(Create relational contexts):オープンで前向きな関係を促進するような状況を作り出す。
4. 望ましい行動、楽しい行動を提案(Propose desirable and pleasurable behaviors):より良い生き方を提案する。

楽しい行動の提案。よくUberがケーススタディで取り上げられる際、引き合いに出されるサービスがあります。それは、ヨーロッパで人気のライドシェア「Bla Bla Car」(ブラブラカー)。簡単に言えば、ヒッチハイクアプリです。Uberはタクシーの代替ですが、BlaBlaCarは長距離電車の代替。つまり国をまたいでの長距離移動が目的。どこかに行くついでに誰か乗せていってあげようというサービスです。人と人との新たな関係性を生み出すサービス。単なる移動手段としての役割だけでなく、人とのつながりによる楽しい体験という、新しい意味を創出しています。

私はアメリカ出張時にUber Poolを使い、知らない人とおしゃべりできて面白い!と思ったのですが、このBla Bla Car も楽しそうです。次回の旅行で使ってみようかな。


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