ロンドンの生活の中で友達を作れるか
サウスケンジントン。その何とも語呂の悪い駅は、チェルシーという地域にある。駅を降りて数分歩けば、数々の美術館や博物館にすぐ行けるし、オシャレなお店もあるし、交通の便も良い。どこに行くにも地下鉄やダブルデッカーのバスを使える。最初の頃に書いた「オイスターカード」ってのを定期で持っていると、地下鉄でもバスでも同じエリアなら乗ることができるのだ。定期は路線で買うのではなく、エリアで買う。そのエリア内ならどちらに乗ってもOK、というわけ。
さて、わたしはかなり良いアパートメントに住むことになった。10階くらいまである大きな建物で、エレベーターもある。自分だけで住める家、とても嬉しかったというか、ほっとしたのを覚えてる。学校にも、ヴィヴィアンのレッスンにも行きやすくなった。そして学校が終わったら家に帰って勉強することもできる。もう毎日のようにスタバに寄り道しなくてもいいのだ。
スタバ。そう、わたしが海外にいる間さんざんお世話になったと書いた、スタバ。結局、スタバにはそれからもやっぱりよく行ったのだった。一番の理由はやはりWi-Fi。新しいアパートメントになり、Wi-Fiは自分で個別契約しなければならず、たしか1ヶ月単位で使用料に上限のあるものを使用していた。だからあまり繋ぎっぱなしにするわけにもいかず、むしろスタバに行った方が良かったのだ。
家の近くには少し小さめのスタバがあった。ネットをたくさん使いたい時はそこに行く。コーヒー1杯でフリーWi-Fi。ありがたや。そしてここで、本当にありがたい出逢いが訪れるのだった。たかだか近所のスターバックス。Wi-Fi使えりゃ御の字のスターバックス。一人で過ごして誰とも話さず帰るのも当たり前のチェーン店、スターバックス。わたしはそこで一人の友人を得たのだった。
イギリスという国は、イメージ通りプライドが高い。階級社会でもある。そしてロンドンは今やコスモポリタンシティで、中心部ではイギリス人を見つける方が難しい。さらに言えば、イギリス人というのは、イギリス人の紹介があって友達になればとてもよくしてくれるけれど、そうでない場合はほとんど友達になれる機会すらなかったりする。もちろん人にもよるだろうけれど、ニューヨークのように、街中で出会った誰かとフランクに友達になっちゃう!みたいなカジュアルさは全くない。あるとすればそれはトルコ人とかだろう。(いくつか前の記事ご参照)
スターバックスでコーヒーを注文し、席に着くと、隣にはスマートなご老人が座っていた。彼もパソコンを使って何かをしに来ていたらしい。一瞬目が合ったその時に、お互いなんとなくアイコンタクトで意思疎通をし、席に着いた。それからしばらくは特に会話もなかったのだけれど。その日からわたしたちはたびたび会うようになり、一緒に出掛けたりもするような仲になったのだった。この出会いはわたしにとってロンドンを思い出深いものにしてくれた。
ロンドンで語学学校に通うと、当然友達は増える。先生というイギリス人の知り合いもできる。だけど、生活の中で友達を作ることはなかなか難しい。それは語学学校の校長先生ジェニファーも言っていた。だから学校の友達も、どうやって外で友達を作れたのか、と不思議そうだった。わたしにはごく自然なことだったけれども、どうしてなのかな、と考えてみたりもした。まぁそれはコミュニケーション系のブログの方にでもいずれ書こうかな。
さてその優しいご老人はなんとギリシャ人だった。ロンドンにもう30年ほど住んでいるという。イギリス人の友人もたくさんいる。そしてずっとチェルシーに住んでいるのだから、、、そういうことだ(家賃を想像するだけで恐ろしい)。そのとき彼の職業は知らなかったけれど後に納得した。さらに彼は7ヶ国語を話すポリグロット(多言語を扱える人をこう呼ぶ)だったのだ。わたしたちは近所だった。そのスタバを挟んで、同じくらいの距離にお互いの家があった。最初に出会ったその1週間後、わたしたちはまずブラジルレストランに行くことになった。続く。
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