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【ネタバレあり】真剣に推理してみた!「あなたも名探偵」感想

「なんて面白い企画なんだ!」
こういう本だと知らずに読んでいる途中で気付いた。
数十ページの短すぎず長すぎずの話で、確実にヒントが出ているのが分かる状態で、『読者への挑戦』に挑戦できるなんて!
夢のような企画に、ちゃんとノートを用意して、登場人物の名前や性格、時系列などをメモして挑戦した。

6つのストーリーの中で、特に面白かったベスト3を発表します!

3位『赤鉛筆は要らない』市川憂人

間取り図も出てきて、一番本格的(古典的?スタンダード?)だと思った。ただ、本格的過ぎて難しそうだったので解くのを一番最後に回した。
回答を真剣に考えたが、何をヒントに解いたら良いのか、全然方向性が掴めず諦めることになった。回答編を見ても難しいなとは思ったが、スープが5つしかなかったところは気付ける難易度だと思ったので…気付きたかった!悔しい!!

停電していたことを、「停電した」とは書かれていないのに読み取るのは難しすぎると思ったが、「廊下に出たときに電気が点いた」「暗証番号がリセットされた」という情報を併せて考えると、気付く人は気付くのだろうか…?私は分からなかったが、「分かる人もいるかも」と思わされたので、推理の難易度としては丁度良いのかとも思った。

しかし、死亡推定時刻が全く違うというのはミスリード過ぎてズルいなと思った。そんなに違うとは思わないでしょ…。

あとは、タイトル回収が綺麗だなと思ったので、話としてまとまりが良いのだろうなと思った。

2位『紅葉の錦』麻耶雄嵩

麻耶さんの本は数冊読んだことがある。変な話が多いイメージだったので、グロい系・心が病む系ではないことだけを祈って読んだ。(何だと思ってるのか)

問題編を読み終わった後、笑ったよね。
「最後のほんのちょっとの間に重大な事件起きたで!?」
急に殺人事件起きてびっくりした。たった5ページの間に急転直下の展開。

そして、話の途中で別の謎が発生して解決している。問題編の途中まで読んでいるときは、「なるほど~。今回の謎は『サザンカの花がなぜ枕元にあったか』という謎ね。理解理解。」って思ったのに、その謎は解決しちゃってびっくりした。問題を出しているときに別の問題が解決するなんて、どうかしているぜ!(誉め言葉)

あと、犯人だけでなく被害者も当てるっていうのも面白かった。結構しっかり考えたけど、あと一歩絞りこめなかった。犯人と被害者の組み合わせまでは分かったけど、どっちがどっちかまでは分からなかった。死体を落とした理由、鍵のくだりは当てたかったなあ。そうやって絞り込むのか、と納得した。

(いまいち納得できなかったのは、ピンポン玉のこと。ピンポン玉が落ちていても犯人特定に繋がらないから回収しなかったということ?その判断は冷静すぎるやろ。目立ってたらとりあえず拾うんじゃないの?それこそ崖下に投げ捨てたら良くない?)

また、これは私の能力の問題だけど、露天風呂(男・女)、板塀、白壁の位置関係は何回読んでも理解できなかった。結局どんな風呂?

考えている途中で、動機は恋愛関係のもつれかと思ったけど、「今のところ動機は不明」と問題編の中で言われていたので、動機を邪推する必要がなかったのは、親切設計だと思った。(そして、回答編で犯人の動機を読んでも意味が分からないのは、麻耶さん流だなと思った。なんか有名な作品のオマージュってことよね?いや、わからんて。)

一番ぶっ飛んでいて面白かった。でも、話はいたって普通の話だったから、話の構成がぶっ飛んでいるように思えて面白かったのだろうな。面白い度合いでいうと、これが1位だった。

1位『伯林あげぱんの謎』米澤穂信

一話目を飛ばしたので最初に解くことになったが、これが最初で良かった。平和な内容だし、難易度もそこまで高くないように思えた。正解に辿り着いたからか、一番解くのが楽しかった。

米澤さんの本は数冊読んだことがある。『氷菓』を読んだことがあったので、「それぞれの作者の既存の世界観が出ているのだな」とこの本自体の成り立ちも理解できたので、ますますチュートリアル感があった。

正解には辿り着いたが、プライドがあって嘘をついた・言わなかった、というところまでは解明できなかった。でも、頑張ったらできるのかもしれない、と思うので、難易度としては適当なのだろうなと思った。
しかし、小山内さんとはどういう関係か?などの解明しない設定もあるので、どこまでが判明する要件かは分かりにくいなと思った。

『伯林』をずっと「かしわばやし?はくばやし?」とよく分からない単語だと思っていて、どこかでその答えが出るのかと思っていたら出なかった。さっき調べて初めて『ベルリン』のことだと知った。(いや、それは分からんって…)

一番、解きやすかったと言ったけど、それでもすごい時間が掛かった。ノートに書いてにらめっこして、もう一度言葉の端々まで読み直して…と繰り返した。それでも、読者が推理をするというこの企画に一番合っていた。この本は推理するための本だから、読者が推理が当てられるかどうかは重要。作者にとっては難易度設定が難しいと思うけど、この本の趣旨に一番合っていると思った。

全体としては、本当に面白い企画の本だった!
「えー!そんな展開あり?」と思うところもあったけど、良い体験ができた。ネットでレビューを見たら、そんなに好評じゃない(笑)けど、私はこういうのもっと読みたい!
次回作(?)が出るのを楽しみにしています。


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