「自重トレーニング」でマッチョになれますか? ~できること、できないこと、ハッキリ言います~
時々、こんな質問を受けます。
理由があってどうしてもジムには行きたくないのですが、自宅の自重トレーニングだけでマッチョになれますか?
と。
筋トレの人気が高まり、いろんなタイプのジムが増えている昨今。
思い切って、どこかのジムに入ってしまった方がいいですよ、とは思うものの。
こういった考えの人も、一定数いるのは事実。
気持ちも分からないではありません。
最初に結論めいたことを言ってしまうと
選択肢が多い方が結果は出しやすいので、ジムに行った方が「マッチョ」への近道なのは間違いない
です。
家では基本的に自重トレしかできませんが、ジムなら、バーベルやダンベルなどの各種器具に加え、専用のマシンも使えます。
何なら、ジムに行ってあえて自重トレをしたっていいわけですから。
あるいは、自宅にある程度の器具を揃えてしまうという選択肢もあるでしょう。
床の強度や、集合住宅の場合は階下への騒音の問題などありますが、初期投資してしまえばその後はほぼ会費ゼロで、自分専用のジムが手に入ります。
ラックやベンチの待ち時間もゼロです。
ベンチとラック、バーベルやダンベルに床の緩衝材などなど、だいたい4~50万円ぐらいでしょうか。
工夫すればもっと安くなりますし、もっとシンプルに
ベンチと(可変)ダンベルだけ
なら数万円で可能です。
これでも、自重トレよりは相当に選択肢が広がります。
でも、今回はそうした前提はいったん全て脇に置いて、あえて「自重トレで頑張る」という観点からメニューを考えたいと思います。
ただし、どうしても必要なものはあります
ということで、今回は自重トレの紹介。
とはいえ、まず最初に一つおことわりを。
さすがに、完全に自分の身体一つでは、ほとんど筋トレできません。
「最低限の器具・設備」ということで、次の道具はある、またはアクセスできる環境にあるという前提で話をさせてください。
鉄棒、もしくは自分がぶら下がることのできる構造物
(できれば)平行棒も
ゴムバンド
ダンベル、リストウェイト、プレートなどの重り
(なければ水の入ったペットボトル等でも代替可)
ディッピングベルト
(柔道の帯、丈夫なロープなどで代用可)
この中で、特に重要なのが鉄棒です。
といっても、ぶら下がれる場所があれば何でもかまいません。
近所で鉄棒が設置されている公園等を見つけるか、自宅に懸垂スタンド、ディップスタンドなどを置きましょう。
それでは、おすすめ自重種目の紹介です。
①懸垂
まずは最初の種目。
いわずと知れた懸垂です。
これはかなり優秀なプル系の種目で、マスターすればいわゆる「ラットプル」系のマシンは不要かもしれません。
背中、特に広背筋は、自重でもかなり鍛え込める部位といえます。
割と「ジムいらず」の部位ですね。
まず参考動画を。
懸垂の動画、それこそ山ほどたくさんあるんですが、なかなかお手本にすべき奇麗なフォームの動画がありません。
(そんなこと言うなら自分で作れよ、という話もありますが……)
その中で見つけたこれ。
最初の15秒だけでも見てください。
手幅、肩甲骨の操作、可動域、姿勢、どれをとっても申し分のない懸垂です。
ちなみに、日本語では順手、逆手どっちでも「懸垂」ですが、英語圏だと
順手の懸垂 =「Pull up」
逆手の懸垂 =「Chin up」
と呼びます。
情報を検索するときなどに、覚えておくと便利です。
で、動画では順手をメインに解説していますが、おススメしたいのは逆手、つまりチンアップです。
懸垂というと、広背筋に強い刺激が入り、中部・下部の僧帽筋にもある程度の刺激が入る、背中の種目です。
ところが、持ち手を逆手にすると、上記に加えて上腕二頭筋の関与も強くなります。
早い話が、懸垂で背中を鍛えるのと同時に、アームカールも行えるのです。
あるデータによると、だいたいアームカールの85%ぐらいの負荷が期待できます。
一種目減らせるとなると、ちょっとお得じゃないでしょうか。
もちろん、アームカールもやりたいという人はやって構いません。
基本的に、私は「よりコンパウンドな種目、より多くの筋群を動員する種目」を優先的に行い、効率よく強くなろうという立場です。
なので全身運動に近いほど、良い種目だと考えています。
逆手懸垂は上腕二頭筋の関与が強まる分、広背筋への負荷は少し弱くなるのですが……
それだと背中への刺激が足りないという人には、リストウェイトなどの重りを足やウエストに巻いて、荷重することを提案しています。
厳密な意味での自重トレではなくなってしまいますが。
トータルの負荷が増えれば、逆手にすることで弱くなった分の刺激を補うことができ、デメリットを解消できます。
厳密に言うと、順手と逆手で背中の刺激部位も若干変化するのですが……
(広背筋、僧帽筋ともに、下部の刺激が強まり、中部への刺激が少し弱くなります)
とはいえこれは、「各部位の中で修正すべき弱点が把握できているレベル」に達していないと、さほど問題にはならないと思われます。
端的にいうと、国内でも上位の全国大会、もしくは国際大会などに出場して入賞を目指すボディビルダーのようなレベルです。
そのぐらいのレベルにいないと、「自分の広背筋はちょっと中部の張り出しが足りないな」といったような課題はまず出てきません。
逆にそのぐらいのレベルになってしまうと、懸垂だけでは足らず、ラットプルやローイングのマシンも必要になるでしょう。
というか、そのレベルでジムに行っていない人はいませんが。
最近のマシンは軌道や負荷のかかり方にこだわった、優れたマシンも登場しています。
また、エルゴノミクスに配慮した握りやすい形状のグリップも各種出ていますね。
でもそれ以下のレベルの人は、筋肉のバランスがどうこう以前に、単純に少しでも筋量を増やした方が有利です。
もし鉄棒や懸垂スタンドが使用できず、ディップスタンドならあるという人は、以下のようにローイングで代替しましょう。
というか、実はプルよりもローの方が背中種目としては優秀だったりします。
負荷も、重りを足せば増やせます。
②ディップス
お次の種目です。
食べ物などを、ソースなどの液体にひょいっと浸すことを英語で「dip」といいます。
それに似た動きなので、付いた名称だと思われます。
プッシュ系の種目で、大胸筋の中・下部、三角筋前部、上腕三頭筋に強い負荷をかけられます。
面白いところでは、僧帽筋の下部にも刺激が入るようです。
おそらく、ぐらつかないように姿勢を保持するためにこの部位が動員されるのでしょう。
基本的には腕立て伏せとほぼ同じなのですが、腕で完全に自重を支える分、それよりも強い負荷をかけられます。
参考動画もどうぞ。
少し長い動画の紹介です。
このディップス、とても優秀な種目なのですが、デメリットとして肩を痛める可能性が少しあります。
対策として、
上体の前傾を保つ
下ろし過ぎない(上腕が地面と平行になるぐらいまで)
肩をすくめない
などの点に注意しましょう。
平行棒で行うのが基本ですが、鉄棒でもできます。
その場合、以下のようなフォームで行います。
このディップスも、懸垂と同様に重りを足すことで、負荷を上げることが可能です。
懸垂よりも、重りをたくさん足しやすい種目です。
アンクルウェイト等でもいいのですが、ディッピングベルトという道具があると非常に便利です。
懸垂でも使用できますので、購入してみるといいでしょう。
➂レッグタック、レッグレイズ
お次の種目に行きましょう。
腹筋の種目になります。
基本は、
鉄棒にぶら下がり、足を上げる
という動作を行うのですが、いくつかバリエーションがあります。
私の一押しはレッグタックです。
鉄棒に対し横向きにぶら下がり、体を伸ばした状態から、ヒジとヒザをくっつけます。
この種目、米国陸軍の新体力測定種目に採用されたのですが、実施してみると1回もできない将兵が予想以上に多かったらしく、種目から外されたという逸話(?)があります。
代わりに、プランクが採用されました……大丈夫か米軍。
出来ないという人は、レッグレイズでもかまいません。
とはいえレッグレイズも、鉄棒まで足を上げるとレッグタックと同様の負荷になります。
いずれにせよ、上がる範囲で脚を高く上げましょう。
ボリューム、諸注意点など
さて、これらをどれぐらいやるべきか?
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