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ブランドはロゴ/パッケージデザインでできているのか? ブランド戦略の検討対象
このnoteは何?
マーケティングエージェンシーFICCのBX事業部にて、「ブランドとはなんなのか? どうすればブランドを豊かにすることができるのか?」それをみなさんと考えるnoteを書いています。記事をまとめたマガジンはこちら→本当の価値を生むブランディング戦略(仮題)
みなさんは「ブランド」と言われたときになにを思い浮かべますか?
ブランドのロゴ?
パッケージ?
素晴らしかった体験?
今回は、ブランドを強くしようと考えたときに検討すべき要素についてご紹介します。
ブランド=ロゴ/パッケージデザイン、なのか?
多くの人は、「ブランド」と言われると色とかロゴとかかたちとか、そのあたりを思い浮かべるのではないでしょうか。
これがまずいというわけではありません。ただ、ブランドの責任者/ブランドマネージャーや保持者(、経営者)であれば、気をつけておく必要があります。思いつくのが色とかロゴとかかたちとかだからといって「ブランドとはロゴである」とか「パッケージデザインのことだ」とか誤解してしまうとあまりよくないです。
ブランドを強くしようと考えたときに、「じゃあロゴをどうにかしよう」「パッケージをもっとかっこよくしよう」という考えになってしまいかねないからです。ブランド強化/リニューアル=なにかしらのデザインの刷新ではありません。
むしろ、デザインリニューアルによって大損壊を被ってしまったブランドたちがいるくらいなのです。
事例1.トロピカーナ:35億円かけて売上20%減
2009年、トロピカーナは35億円を投下してパッケージをリニューアルしました。結果は売上20%減。さらに消費者から「もとのデザインにもどせ」とたくさんのクレームが入るようになったとか。
結局、パッケージは2ヶ月で元通り、になりました。
事例2.GAP:ロゴを変えて株価急落(総額から2.47 億ドル失う)
2010年、衣料品大手GAPはロゴを変更しました。しかしこちら、支持されず、浸透せず、すぐにもとに戻す結果に。どうりで記憶にない(日本では変更されていません、その前にもとに戻すことになったよう)。当時、売上の不調も相まって、株価総額から2.47億ドルを失うことになりました。
世界に冠たるブランドである彼ら。なんの消費者調査も行わずにロゴやパッケージデザインの変更を行ったとは思えません。しかし、その彼らをしても間違った(経営的には)判断をしてしまうことがあるのです。
では、なにを検討すべきなのか ──見えているものは一部でしかない
ブランドを強くしよう、そう考えたときに検討対象となる要素はいったいなんなのでしょう?
もちろんロゴ/パッケージデザインはとても大切なものです。が、それらはいわばブランドを見分け、ブランドの意味を思い出させる(ときには発見させる)ためのラベル。そもそも思い出す「意味」が消費者のなかに蓄積していなければ、その強さを十分に発揮できません。であれば、意味の蓄積をつくることが、「ブランディング」で行うべきことです。
私たちは、ブランドの持つ資源を整理するブランドホロタイプ・モデルというフレームワークを用いて、以下の(大きく)8つの要素を検討対象としています。資生堂などでCMOを務められたマーケター、音部大輔氏(クー・マーケティング・カンパニー代表取締役)考案によるフレームワークです。
▶大義(パーパスとも)…ブランドの存在意義
▶市場…製品カテゴリー市場とベネフィット市場を特定
▶ターゲット消費者…割愛
▶ベネフィット…ブランドの機能によって自分がどうなれるのか
▶エクイティ…ブランドが人々に持たせたい意味/記憶
▶パーソナリティ…ブランドの人格
▶アイコン…ブランドを見分け、エクイティを思い出させる
▶機能/性能…ベネフィットを提供するのに必要な要件
※ざっくりとの説明になっています
※今後の記事にて、それぞれの要素について解説を加えていく予定です
ブランディング戦略立案時の検討対象はこのくらいあります。そのなかで今回のロゴ/パッケージデザインの話は、3段目にあるアイコンのところに入ってきます。もちろん大切な要素ですが、それ以外の要素を疎かにしてしまうと、機会を逃してしまう可能性もあるでしょう。
むしろこの話は、デザイナー諸氏のほうが共感をいただけるはず。デザインづくりは見た目云々の話だけではありませんよね。そもそもの狙いと、その先にいる利用者の理解があることが前提のはずです。ブランディング戦略にも、それとおなじことが言えます。いま見えているものは、その一部でしかないのです。
ブランドとはロゴ/パッケージデザインなのか?
ということで、最初の問いに戻ります。ブランドとはロゴ/パッケージデザインなのか? 一部そうですが、全てではありません。
繰り返しになりますが、ロゴ/パッケージデザインはブランドを見分け、その意味を思い出させるためのラベル。その役割では非常に重要な要素ですが、そもそも思い出す「意味/記憶」が消費者のなかに蓄積していなければ、その役割を十分に発揮できません。
ブランドの価値を世に広めることを仕事にしている私たちであれば、ブランドの検討事項はロゴ/パッケージデザインのみでないことを覚えておいていいのではないかと思っています。
以上、ブランドの検討事項について、概要をお伝えしました。このnoteが入っているFICC BX事業部のマガジン「本当の価値を生むブランディング戦略(仮題)」では、今後もブランディング戦略において重要なエッセンスをまとめていきます。ご興味あればぜひ。
それから、BX事業部では以下の仲間を募集中です。
・BX事業部のなかで一緒にブランドの価値を高めていく仲間
・BX事業部と連携してブランドの価値を高めていく仲間
適宜交流会なども行っていますので、一緒にブランドの可能性を探っていきたい、そんなかたはぜひご一報ください。おしゃべりしましょう!
おしゃべりしたいひとはこちらからどうぞ。