フランスの晩夏を告げる、ミラベルのタルト
フランス在住の老若男女、みんなの胃袋を支える街のマルシェ。
夏の終わりを告げるフランスの果物といえば、mirabelle(ミラベル)。
黄色くて小さい、あまーいプラムとでも形容できようか。
フランス農業・食料省によるミラベルの説明。
要約すると、「ミラベルの旬は、天候により、8月中旬から9月末まで。平均して、このフレッシュで香り高い果実を楽しめる期間は6週間しかない」。
毎年、夏の終わりにニュース番組で放映される、ロレーヌのミラベル農家の収穫風景を眺めている。
その度に、ああ今年も夏が来て、そしてあっという間に終わってしまうんだな、と。そして来年の夏はまたひとつ年を重ねてウンタラカンタラ・・・と、小野小町ばりにその刹那さを憂うのだ。
そういえば前にも書いてなかったっけ?と遡ってみたら、案の定、3年前にも書いていた。
2020年のパリ、7月末には出始めていた模様。物珍しいから出始めに飛びついていたんだろうな。
とにもかくにも、引っ越してきてそろそろ丸1年となるここ北フランスの港町では、野菜も果物も、パリにいたときよりも旬が遅めな気がする。
こんな流れで、8月最後の週末スイーツは、ミラベル。あなたに託そう。
ミラベルのスイーツといえば、ミラベルのタルト。
先月久しぶりに作ったルバーブの幾何学模様タルトであまりに集中しすぎて猛烈に肩が凝った反省を活かし、今日は力を抜いて素朴な感じにしたい。
レシピはこちら。型なしでアパレイユもシンプルなのがよさげ。
それでは、ミラベルミラベルルルルルル〜♪
色々すっとばして、土曜日の夕方に作って一晩寝かせたパート・ブリゼが、こちら。
ブリゼ生地とミラベルをつなぐ役割が、こちら。
アパレイユというか、最初からドレサージュ(仕上げ)ってのがいい。
主役のミラベルたちは、水で綺麗に洗っておこう。
種を取り除くのが若干面倒だけど、これで材料はそろった。ルバーブと比べると10倍楽チン。
あとは組み立てのみ。
ブリゼ生地をサークル状になるように伸ばしたら、内側にちょっと縁部分を残しつつ、ドレサージュ用のパン粉砂糖アーモンドを敷き詰める。
そのうえに、半分にカットしたミラベルをキチキチ敷き詰めていこう。
中心まで敷き詰めたら、端っこのふにゃふにゃを折り込んでいく。
並べ終わって気づいたんだけど、ん?よくよく見たら、レシピのタルトは、ミラベルのカット断面が上を向いてるじゃんね。
ま、いっか。焼こう。
170度で40分ほど焼いたら、翌朝まで放置。
(レシピでは25分から30分と書いてある)
日曜と月曜の朝は早起きのOtto氏に起こされるので、起床時間が早い。
目覚ましに庭から花を摘んできた。朝の冷たい空気は眠気覚ましにちょうどいい。覚めないけど。
おや、ここで何か忘れていることに気づく。
昨晩、夕飯を食べているときに焼き上がったので、ああもう少し焼いてもいいけどそのまま入れておけば熱が通るか・・・と思って、そのまますっかり忘れて眠ってしまったのだった!やっちまったーい!
おそるおそるオーブン内をのぞくと、嗚呼ミラベル・・・・。
湯船で意識が飛んだあとの指みたいなシワっシワぶり。
あまりに焼く前と焼いた後の見た目の落差が激しすぎはしないか?
ルバーブのときよりも素朴度ガン増し。
オーブンからちゃんと出していたらまだマシだったのかな・・・と思いながら、カッティング。
味は悪くなんだけど、うーん、成功か失敗かでいえば失敗の部類。スイーツって見た目大事なんですよね…。
やっぱり無骨なのより緻密に組み立てていくほうが得意なのかも。
いやそれよりなにより、オーブンに放置が一番いけなかったな。
結論、詰めが甘い。誰に向けてかわからないけどすみません。
あーだこーだと反省していたら、私はひと切れでもう満足。
Otto氏にデザートとおやつ用といって8分の6、全て持たせたら、朝ごはんとかランチのデザートとかで全部食べ切ったらしい。「冷蔵庫に入れて翌日以降、さらに美味しくなったぞ」とのこと。
私の持つべきは、器と胃袋の大きなOtto氏なのかもしれない。
え、俺は・・・?