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ありがとう、偉大なるバッハ〜パッヘルベルのカノン風ポテト

何の予定もない日曜日のお昼前、「今日のお昼はなに食べよっかねえ」と私はOtto氏に話しかける。

するとOtto氏開口一番、

「あ、そういえばじゃがいもどうなった?」と。

・・・・・・あああああ。

ついに、ついにこの日がきてしまった。


じゃがいも生活、ふたたび

ノール(北)から戻ってきた月曜日以降、もうじゃがいもなんてみたくないわ病で、じゃがいもとの距離を取っていた私。

一方、パリに戻る前日、北のじゃがいもは美味しいんだと言って、農家直営の販売所にて5キロものじゃがいもを買ってきたOtto氏。

キッチンの入り口近辺、カルフールの巨大エコバックの中でひっそりとたたずむ5キロのじゃがいも。
私はしれっと気づかないフリをしていた。しれーーっと。

Otto氏にバレないように、今週はエスニックやら和食やらピザやらで乗り切っていたのだけど、もういい加減、放置するわけにはいかない。
現に、ちょっと黒くなってきてる。

じゃがいも生活、再開開始のゴングが、今鳴り響く。


パッヘルベルのカノンみたいなじゃがいも料理

よし、こうなったら、じゃがいも料理のレパートリーを増やしてみよう。

以前よく読んでいた、エル・ア・ターブルかなんかのオシャレ系料理本。
じゃばらみたいな風貌をした、パッヘルベルのカノンのような名前のポテト料理があったような…と、アルコールで溶けてしまいつつある脳の片隅の記憶を手繰り寄せる。

でも自らの記憶力などアテにならないのは百も承知なので、ここは速攻グーグル先生におたずね。
「じゃがいも パッヘルベル」とか「じゃがいも パッヘル」とか検索してみたけど、料理らしいものはなかなか出てこない。

ふと、パッヘルベルってなんとなくバッハっぽいよなと思って、試しに「じゃがいも バッハ」って入れてみた。

・・・・・すると。
バイエルン継承戦争のWikipediaの次に、探し求めていた風貌のポテトが、出てきたああああ!

でもここで、そういえばヨーロッパって、継承戦争ばっかやってたな…と、よくわからないじゃがいも料理よりもバイエルン継承戦争のほうが気になって、ついWikipwdiaを読み込んでしまう私。

かいつまむと、この戦争は、フランス革命の10年前に起きた、別名「じゃがいも戦争」。長引く交渉の間、手持ち無沙汰な前線の兵士たちが、占領した土地で畑のじゃがいもを掘り出して食べていたからこう呼ばれているらしい。
しかも、結局戦っていないらしい。

なんだか昔世界史で勉強したような気がしないでもないけど、まあ完全に忘れているので、バッハのおかげでひとつ勉強になったといえよう。



探し求めていた、パッヘルベル的ポテト

さて、話を元に戻して本題。

私が頭の片隅で思い描いていたものは、どうやらハッセルバックポテトというスウェーデン料理らしい。

ぱらぱらっと何個かレシピサイトを覗いてみると、特別な材料はいらなそう。
かつ、なに挟んでもいいなという印象。

ということで、うちにあるものを適当に挟んで、それっぽいものを作ってみたところ、とても簡単かつ美味しかったので早速紹介してみようと思う。

パッヘルベル的ポテトの材料(2〜3人分)

・じゃがいも:6個
・チョリソー:10cmくらい。薄切りに。
・生ハム:2、3枚くらい。適当にちぎっておく。
・マッシュルーム:適量。生ハムと合わせる用。薄切りに。
・バター:30〜40gくらい。こちらも適当に薄切りにしておく。
・ローズマリー、タイム:適量
・塩、胡椒、ガーリックパウダー、オリーブオイル

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こういう無骨なオーブン料理に本領発揮、愛してやまない釜浅商店の南部浅鍋を今回も使用。一番大きな24cmサイズ。

パッヘルベル的ポテトの作り方

0、オーブンを200度に温めておく。

1、じゃがいもをよくあらい、下まで貫通させないように注意して、じゃばらの用に細かく切り込みをいれる。
ネットのレシピでは、貫通防止のために下に2本割り箸を敷いてやるとよいとあったけれど、特になんの役にも立たなかった。というかむしろじゃがいもが不安定になって切りにくかったので、そのまま切り込みを入れてしまった。
切り込みをいれたら、5分ほど水にさらす。

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2、鍋またはクッキングシートを敷いた天板にじゃがいもを並べる。
薄切りにしていたチョリソーや生ハム、マッシュルームとバターを適当に挟む。
挟み終わったら、ガーリックパウダーをちょっとかけて、塩胡椒、オリーブオイルを回しかけ、最後にローズマリーとタイムをのせる。

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200度に熱したオーブンで、50分くらいじっくりと焼く。その間にアペロタイム。

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3、焦げ目がついたら、完成。オーブンから取り出し、そのまま鍋敷とともに食卓へ。

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目論みどおり、じゃがいもの無骨さとハーブの野生な感じにこの黒鍋が最高に合う。うれしい。

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Otto氏の得意料理のひとつに、ただじゃがいもをオーブンで焼いてバターをのせていただく、ベイクドポテトという料理があるのだけど、そんなじゃがいもラバーからも、焼いたチョリソーがいい、非常にポテトに合うとお褒めの言葉をいただいた。


やっぱり思い出せない、正式名称

一晩経ったけど、なんだっけ、この料理の名前。

noteの下書きを見て思い出す、ハッセルバックか。

ああ、この名前、絶対に覚えられないな。
またきっと、「じゃがいも、パッヘルベル」からの「じゃがいも バッハ」で検索するんだろうな。
そしてその時は、じゃがいも戦争を復習することになるんだろうな。

じゃがいも料理のレパートリーを増やしてくれるバッハ。
さらに、私の記憶の片隅にあるヨーロッパ史の窓をこじ開けてくれるバッハ。
結論、限られた記憶力を使わないですむようにしてくれるバッハは、時を超えてもやはり偉大。

ありがとう、偉大なるバッハ。


(※)ちなみに、フランス語発音だとバッハ(Bach)は「バック」、
リチャード・ギア(Richard Gere)は「リシャール・ジー」。

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誰なのか一聞だとわからなくなる
フランス語あるあるよねえ



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ユイじょり
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