おうちで作れるパテ・ド・カンパーニュの復習
フランスの定番惣菜といえば、パテカン(パテ・ド・カンパーニュ)。
直訳すると、田舎風パテという意味だ。
フランスのお惣菜屋さんやシャルキュルトリー売り場には、必ず巨大なパテが並んでいる。アペロで切り分けて食べたり、前菜として食べたり、フランスの食卓にもっともよく登場する惣菜のひとつ。
同じような形態をしたものに「テリーヌ」があるが、日本に帰任する友人からずっと前にもらったフランス料理用語大辞典によると、違いはこんな感じ。そんなに大きな違いはなさそうだ。
・パテ:豚・フォワグラなどの肉、ひき肉、鮭などの魚をパテ用生地や折りパイ生地、薄いブリック用生地で包んで肩に入れ、オーヴンで焼いた料理。生地に包まれないものもある。
・テリーヌ:テリーヌ型でつくった魚、肉、野菜などのパテ。オーヴンで湯せんにかけたり、真空調理にし、多くは冷製で供する。
TOP画像の右側にみゆるのがスライスした自家製のパテorテリーヌなのだが、私の作っているものはパイのような皮に包まれてはいない。
ということはどちらかというと「豚肉のテリーヌ」になるのかな?
でも、パテでも生地に包まれていないものもあるっていうし、豚テリよりもパテカンのほうがなにより響きがいいという独断につき、いったもん勝ち。
パテカンでいきたいと思う。
🇫🇷🐽🇫🇷
さて、このパテカン。前回のコンフィヌモン中に何度か作ってみて、我がものにした一皿なのだけど、そもそもなぜ家で作ろうと思ったのか。
そのきっかけは、これまたバブリー時代の美食記憶に遡る。
最近3kmの距離だけど全然会えていなくて恋しいパリ深酒友のAちゃんがオーナーをしている、ワインの聖地ブルゴーニュ、ボーヌの街にある星付きレストラン「Le Benaton」の名物がこちら。
お料理はなんでも美味しいしワインも素晴らしいのだが、なによりこちらの名物、パテ・アン・クルート。最初にいただいた時は衝撃をうけた。とにかく美しくて美味しくて最強にして最高なのだ。
シェフのインタビューを見つけたのでこちらも紹介。
私は、フランスの本当の魅力は地方にあると思っている。
是非色々と落ち着いて世界中を自由に行き来できる日が訪れたら(切望)、パリだけでなく地方にも足を伸ばしてみていただきたい。
この追憶のパテ・アン・クルートを真似っこして作ってみたいと思ったのだけど、さすがに初心者がいきなり家でこれは・・・と弱気になったので、周りの生地なし&中身は一種のみの素朴なパテカンにチャレンジすることにしたのだ。
まだフープロもない時代で、豚かたまりを自らドラマーきどりでミンチするという苦行を何度も繰り返したものだ。苦労の甲斐あって(?)、大抵の場合は成功した。
たまに焼きが甘かったときもあったけど、そのときはさらに火を通せばいいだけの話。家のアペロでももちろん、お友達の家に招待されたときに一本まるっと持参したりもして、私にとってとてもお役立ちな一品になった。
🇫🇷🐽🇫🇷
時はすぎ、今年買ってよかったものナンバー1のフープロも手に入れたことだし、ご近所の流行りにのって、フランスらしい惣菜でアレンジしたい欲がもくもく湧いてきている昨今、よっしゃ、久しぶりにパテカン、作ろう!と先週あたりから画策していた。
と、その前に。
今日はまず、前述の春夏に何度も作っていたおうちでできる基本パテカンの復習をしておこう。豚肉がメインのパテカンだ。
材料:幅18cm、高さ7cmのパウンド型1台分(容量800mlくらい)
・豚・牛など好みの肉をミンチしたもの:合わせて550g
・鶏レバー:100g(仔牛のレバーでも作ったけど、鶏レバーのほうがコクあり)
・ポルト酒:大さじ1くらい
・エシャロット:小2つ
・にんにく:1かけ
・卵:1つ
・塩:生地全体の1.1%量
・ベーコン:10枚
・生地に練り込み用で、ドライクランベリー、黒胡椒(ホール)、ピスタチオ、ナッツ、フルーンなどお好みで
まずは、下準備1。
作る前日夜か当日朝、レバーの下処理をしてポルト酒につけてマリネして、冷蔵庫で半日おいておく。
ポルト酒がなければ赤ワインとかブランデーとかでもいいのかも。
下準備2として、パウンド型にオーブンシートを敷く。
ここは工作している気分で隙間なくきっちりと。
豚肉をミンチする。この時は腱鞘炎になるくらい両手でたたきまくったけど、今後作る時は私の頼れる彼氏フープロがいるから、この作業が一瞬で終わることを想像するだけでハッピー。
日本の場合ひき肉を買ってくればいいだけだから簡単。他の肉を混ぜたかったり少し肉の大きさを変えたいとかいうご希望があれば、ぜひドラマーになったつもりで自作ミンチしてみてくださいな。
ミンチした豚肉に、みじん切りにしたにんにく、エシャロット、たまご、マリネしておいたレバーを細かく切ってマリネ液ごと加える。
手でよく混ぜて、この中身の重量の1.1%の重さの塩を加える。
塩を入れてさらに混ぜたら、お好みのナッツやドライフルーツも加えよう。私はドライクランベリーと黒胡椒(ホール)がお気に入り。
生地ができたら、ベーコンを方に満遍なくしきつめる。
そのなかに生地をこれまた満遍なく詰め込む。これがぴったりみっちり入りきった時点でQOL上がったきになること間違いなし。
ベーコンで蓋をして。ローリエの葉っぱをのせる。
オーブンシートで蓋をしたのち、アルミホイルで全体を覆って、熱湯を張ったバットに型ごといれて170度のオーブンで70分から80分くらい焼く。
焼き上がったら、真ん中へんに串を挿してみて、数秒しても串が温かかったら中もきっと火が通っているのだろうと推測。粗熱をとって、重石をして、冷蔵庫で一晩寝かせる。
翌日、ご開帳の儀。
じゃーん!
切ってみると、こんな感じ。
上からみてもよき。
ただ切って並べるだけで絵になるのもパテカンのよいところ。
ワインとチーズとパン、それにパテさえあれば何もいらないわ。
美味しくて保存もきくし、制作過程でQOLが上がる瞬間をたくさん体験できる、とにかく推しな一皿なのである。