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フランスのキッチンで挑む、サバイバル唐揚げ道
昔から私のnoteを読んでくださっている方にはお馴染みかもしれないが、うちのフランス人・通称Otto氏は食に対する謎のおこだわりが強い。
ぱっと思いつくものをあげてみようか。ラーメンは汁から飲み干す、サラダにはとりあえず塩をかける、フリットにはビネガー、ショートパスタゆでただけ・シュレッドチーズどかんとオンで満足、便秘になるらしいからコメが続くのが嫌、半熟卵は許さない、どんなにいいレストランでも肉は芯の芯まで火を通してシルヴプレ、甘いものの上にさらにヌテラオンなどなど、枚挙にいとまがない。
私からみたら意味不明なこれらの食慣習も、相手にしてみたらまあ逆も然りだろう。私が朝から焼き魚なんて食べようものならそそくさと逃げるし、納豆のなの字を出しただけでしかめっ面だし、卵かけごはんなんざ「こいつは正気の沙汰か?」って顔をしてくる。まあわからなくもないけど。
そんな異文化ならぬ胃文化交流が日々繰り広げられている我が家。私がつくるふたりごはんのときは、基本和方面に寄せたい私と基本フリット(揚げ芋)が食べたいOtto氏のはざまで、そのとき食べたいものを擦り合わせつつうまいこと着地点を探りながら調理するのが定例である。
一方、そんな忖度をすることもなく、おこだわり氏が喜ぶもののレパートリーもいくつか存在する。TOP3が、Pâtes à la façon de Yui(ユイ風スパゲティ:ナポリタンもしくはあまりもの野菜・きのことベーコンのしょうゆバター和風パスタ)、Steak hachée à la façon de Yui(ユイ風ステーク・アシェ:ただのハンバーグ。だいたい牛100%)、OKO(お好み焼き:柔らかいキャベツがないので大抵白菜で代用)。
オムライスとかグラタンなんかもこのレパートリーに含まれるが、これをさらに増やしていきたい昨今。フランスの地方都市のスーパーもしくはマルシェで手に入る食材で、かつ家でできるものがいい。そう、次なるターゲットは、Karaage(唐揚げ)、君に決めた。
なお、唐揚げが今までレパートリーに入る余地は多いにあった。鶏肉ってどこでも入手可だし、なんてったってうちのOtto氏は肉の中で一番好きな肉が問答無用で鶏肉即答な鶏大好き民である。
ただ、アマチュア家庭料理人的には、フランスの家庭で唐揚げを作る際、心理的ハードルがいくつか存在する。まずフランスの普通のスーパーで日本の標準的な唐揚げ用に鶏肉を買おうと思ったら、選択肢として、まるっと1羽、胸肉、もも肉のどれかに絞られる。まるっと1羽はそのまま料理するものとしてここでは除外しよう。そして日本と違って、胸肉がもも肉よりもずっと高い(2倍近くするんじゃないかなものによっては。まあ、もも肉も高いんだけど)。そして何より、もも肉には、もれなく骨がついている。骨、ほね、ホネ・・・。
すなわち、胸肉もしくはもも肉でおうち唐揚げをしようと思ったら、高いけどムネをとるか、骨を外す手間はあるけどモモをとるかの選択を迫られる。究極の2択。
いつも迷うところだけど、ここはワタクシ節約主婦ですのでね。胸肉2枚で10ユーロ超えとかちょっとううぅってなってしまうわけです。ゆえに手間をとろうと。サバイバルどんとこいと。
かくして、今月は週1でもも肉の唐揚げをつくる武者修行を敢行することとなった。
1回目:唐揚げ粉に頼る
唐揚げ粉って使ったことがないけど、賞味期限がウン年前にすぎている未開封の唐揚げ粉が我が家にあることは自覚していた。これ、いい加減使おうっと。鶏肉でサバイバルするんだから少しくらい楽したっていいじゃない?
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唐揚げ粉に水を加えて混ぜて、鶏肉を加えてよくなじませたら、すこし置いて揚げ焼きするだけとな。間にアペロを挟みながら漬けて揚げたら、えらい簡単にそれっぽく仕上がった。
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おこだわり人🇫🇷としては、ごはんに味噌汁におかずちょこちょこという正統派ジャパニーズ・おうちごはん・スタイルがイマイチ得意じゃないっぽいので、ワンプレートで仕上げよう。
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とっても味が濃いけど、これは白米がススム君な一品。唐揚げ粉って楽ちんだし、人が来たときなんかに使うのがいいかも。
2回目:美味しいスパイスを使ってみる
宮崎出身の方に嫁いだ高校時代の友人がくれた、極上スパイス喜。なめてみたら、あーこれはクレイジーソルト的な感じで色々使える感じだと悟る。
そうだこれを唐揚げの下味に使ってみよう。ハイボールでガソリンを注入したら、今回も骨つきからサバイバル開始。
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鶏肉は色々と怖いので。。
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スパイスをなじませて少し置いたら、衣をつけて揚げ焼きしよう。
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薄力粉と半々ずつ加え、シェイクシェイク
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俺といえば鶏
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Otto氏のベトナム土産(笑)
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そうそう、前に朝時間をとても有効活用尊敬大賞のyueiseさんが朝から唐揚げを作っていらして、この「片栗粉大さじ2に水大さじ1を入れて馴染ませてから片栗粉を大さじ1追加で入れてフレーク状にします。」というのをやってみようと思っていたのを失念した。今度がっつり作るときに真似します。
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スパイスは下味に使うよりも後かけのほうがいいかもしれない
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その後3日くらいずっと唐揚げを食べていた
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2回目は前回からそんなに日が経ってないこともあり、Youtubeを見なくとも鶏をさばけるようになった。やはり短期間内で復習するのは記憶の定着にいい。
3回目:アウェーキッチンでリアルサバイバル
3回目は今いる内陸義母宅のキッチンにて。
北フランスのスーパーおよびマルシェで手に入る食材を使い、アウェー生活であれやこれやしたのはもう2年前の秋のこと。まあその後も定期的にこなくてはいけないので、しょっちゅうサバイバルしてますがね。
アウェーのキッチンでもハンバーグとかオムライスとかナポリタンとかが鉄板だけど、からあげだってフランス家庭のアウェーキッチンでもできるんじゃないの?醤油はどこでも買える(というかある)し、しょうがもにんにくもカルフールで手に入る。
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もっと安いのもあるけど、鶏肉は一応Label RougeがついてるものかBioを選ぶようにしている。。
3回目ともなると、捌いた身の綺麗さはさておき、捌くスピードはだいぶ早くなった。学習の成果が出ている、ヨシ。
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あ、そういえば片栗粉がなかった!でもコーンスターチがあるのがフランス家庭っぽいですな。片栗粉のかわりにコーンスターチでGo。
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油はたくさん使いたくないので、ゴーカイに揚げ焼く。
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BGMは竹内まりやで、今夜はjunkie partyじゃなかった今夜はhearty partyをどうぞ♩
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翌日、Otto氏用にサバイバル・タイ米チャーハンの上に唐揚げをのせた簡単Obentoをこしらえたら、食べる前にレンチンした際「なにこれとても美味しそう」と同僚のマダムがめっちゃ興味津々だったそうな。レモンケーキのときみたく、また胃袋つかもうかな。
いつの回だったか、私の唐揚げを食べたOtto氏が開口一番、「Umma!YFCだなこれは、はっはっはっ」とのたもうた。ああ、KFCをもじったのね。あなたの愛してやまないあのKFCを。
いわれてみれば、フランスのどこにでもKFCってあるんだから、唐揚げだってもっとポピュラーになれる素養大アリだと思う。ラーメン、おにぎりに次ぐ唐揚げブーム、こないかな。
そんなこんなで、KaraageがフランスでもSushiとかYakitoriなみにもっと裾野まで普及してもらって、骨なしもも肉が地方都市のスーパーの店頭に並ぶ日を私は願ってやまないのである。
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