トピナンブールとポワローのポタージュ
昨日つぶやいたように、強力な薬に胃を破壊されてからというもの、白米とぬか漬けをメインに最低限のQOLを保ちながら過ごしている今週の食模様。
ちょっと気分を変えたくなって、3日くらい前の夜、胃に優しくて栄養がとれて消化がよさそうなものをつくることにした。
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日本では、入院したときもまずはおかゆから始めるし、ここは流動食の鉄板、スープだろうか。
ちなみに私は5年前の冬、フランスで4日ほど入院したことがあるのだが、外国人患者の多い私立病院だったこともあるのか、そのときの食事がすごかった。
入院時39度の高熱患者のごはん、こんなんやで。
平常時でもこんなに食べられないYo
日本人の細い血管に対してフランス規格の注射針が太すぎて全然点滴針が入らず、3回くらい刺してからようやく気づかれたりとか、平熱36度ちょっとなのに37度で「平熱ね」と安心されたりとか、なかなか刺激の多い異国の入院生活だったことを昨日のことのように思い出す。
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さて、今月はバターナッツかぼちゃのポタージュ、オニグラスープと作ってきたけど、全世界的に寒くなってきたからか、noteのご近所さんたちを突撃するとスープといってもぽってりこってり系なポタージュをよく作っていらっしゃる。
すでに指にタコができるくらい書いているが、万年ダイエッターな我が家のOtto氏。秋冬ごはんの定番は、「市販の野菜系ポタージュ・パスタとシュレッドチーズこんもりのせ」だ。私が胃を壊して以来、氏はほぼ毎晩このメニュー。
たまには市販のものでなく、手作りスープを飲ませてしんぜようと思った。
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再コンフィヌモンが始まる前日、この記事でもちょっと触れたけれど、夕方スーパーに立ち寄ると、野菜コーナーはほぼもぬけの殻。我が家の冷蔵庫も空っぽだから、ちょっとでも買っておこうかと手に取ったのが、寒くなってくるとよく見かけるトピナンブール(topinambour)。日本名は「菊芋」。
バブってる時代に訪れたレストランではよく、ピュレやヴェルーテ、素揚げにされたりして出てきていた、このトピナンブール。
たった今発見したこのサイトによると、
余分な糖分の吸収を抑える水溶性食物繊維のイヌリンを多く含み、その他にもカリウムやビタミンが豊富なため健康食品にも利用されています。また一般的なイモ類と異なり、デンプンをほとんど含まない。そのためジャガイモの半分ほどのカロリーしかないのもこのトピナンブールの特徴。
まじか!!!
じゃがいものカロリー半分!?これはいいダイエット食じゃないの!!
これもっとOtto氏にアピールしとけばよかったなー。
トピナンブール、生では食べたことないけど(食べられるらしい)、なんだか独特の、土臭いというかゴボウっぽい味がするような気がする。セロリ偏愛家の私のようなものにとってこういう独特な感じ、ドンピシャなのである。
そこまで量がないので、今日はこちらにポワロー(ネギ)を加えて、ポタージュにしていこう。ちなみにフランスのネギ事情はこの記事に書いた。
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材料は、トピナンブール、ポワロー、玉ねぎ、1枚だけ冷凍していた鶏ハム、茅乃舎の鶏だし、バター、生クリーム。トッピングようにパセリとクリチ(後述)。
鶏ハムは、チョコチップさんがフェンネルポタージュに生ハムを加えているのを参考に、冷凍庫をあさっていたら見つけたので採用。だしもコンソメや野菜だしでなく、鶏に合わせることにした。
トピナンブールは、皮をむいて適当に切って水にさらしておく。
鍋に、たっぷりバターを熱して玉ねぎをじっくり炒め、細かく切った鶏ハムも加える。焦げやすいので絶え間なく混ぜた結果、写真がブレたと思ってください。
5分くらい炒めて玉ねぎがしんなり透明になってきたら、水を切ったトピナンブールとポワローを加えてさらに少し炒める。
ひたひたくらいにお水を入れて、鶏ダシもいれて、蓋をして20分くらい具材に火を通す。ダシは袋を破って粉末で入れてしまった。
具材に火が通ってくたくたになったら、ブレンダーでぎゅいーんといきたい・・・けど残念ながらないので、今日もフープロの出番。ブレンダーはサンタOttoさんへのリストに入れておいたけど、どうなるか。
粗熱が取れたころに、固形と液体に分けて、フープロに固形だけ入れてぐいーんしてもらう。
鍋にすべて戻して、生クリームを入れて味を整えたら、完成。
パセリを添えて、お好みでクリチを投入していただく。
トピナンブールのゴボウ感もしっかり残っていて、美味しい。氏のお皿はあっという間になくなっていた。
1杯でお腹いっぱいになる優秀な一皿だ。
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さてさて、クリチのお話。
我が家のスープといえば、Otto氏が、「ポタージュにこれを入れると濃くなるんだ」といってぽんぽん入れていたのを見てから、とりあえずこれ。
「 La Vache qui rit」=「ラ・ヴァッシュ・キ・リ」と読む。
直訳すると、「笑う雌牛」。
(ちょっと解説すると、「La vache」が牝羊、「qui」がwhoのような英語でいうところの関係代名詞、「rit」が笑うという意味の動詞rireの三人称単数活用形)
なお、フランスにももちろんKiri(キリ)は売っている。
画像は上記サイトより
前々からこの2つの違いがわからなかったので、ポタージュを飲みながらOtto氏に「ヴァッシュ・キ・リとキリって違うの?」と尋ねると、「全くもって違う」と即答。
「じゃあどう違うの?」と尋ねると、「・・・」。
テレビに夢中になったフリをして教えてくれないので、自分で調べてみよう。
まず上に貼ったベル・ジャポンのサイト。よくよく見ていくと、
ベル社の代表的チーズブランド「ラ・ヴァッシュ・キ・リ」の
最後の2音「キリ」がもともとの由来です。
最後の「リ」にはフランス語で「笑う」という意味があり
“食べる人を笑顔にしたい”
という想いがキリには込められています。
なるほどヴァッシュキリが本家本元で、弟分みたいな感じな位置づけなのだな、Kiriは。発売元が同じなことを存じ上げなかった。
それでもまだ違いが気になるのでさらに調べてみたら、たまたまこんなページを見つけた。Europe1というフランスのラジオ局のサイト。
タイトルは、「Kiriが日本でアンビリーバボーな成功を収めている」
記事をかいつまむと、「日本では2人に1人はキリを食べたことがある。キリは元々子ども用に作られたけど、日本では大人が夢中。ブリック状で料理にも使いやすいように売られているから、チーズケーキとかアイスにもKiriは使われている・・・etc」
肝心の違いについても触れられていた!
La recette. Kiri, c’est du fromage blanc fondu et de la crème, alors que la Vache qui rit est à base d’emmental fondu.(上記サイトより抜粋)
「キリはフロマージュ・ブランと生クリームを溶解したもので、ヴァッシュ・キ・リはエメンタールチーズを溶解したもの」ということだ。
たしかに元からして全然ちがうな。
今夜Otto氏に、この知識をしてやったり顔でひけらかすことを楽しみとしよう。