フランスの推し桃で、夏の3品×3分クッキング
毎年夏になると、決まって日本の桃を想っている女がここ北フランスにひとり。
ひとつひとつ、ふかふかのネットを被せてもらって、大切な箱入り娘状態で売られている日本の桃(今でもそうですよね?)と比べれば、いかなる場でも常に叩き売り状態な野生味あふれるフランスの桃たち。
そんなフランスの桃のなかでも私が推す、あの子。平たい顔族的に親近感を覚えてならない、pêche plate(=平たい桃)である。これ、日本では蟠桃と呼ばれているのですよね?
普通のまるっこい桃は、ときに砂糖がほしくなるくらいのぼんやりとした甘さなのだけど、この推し平桃、しっかり熟れていればちゃんと甘くてみずみずしく、日本の桃を彷彿とさせるには十分だ。
私のフランス生活においては、りんごにしてもアプリコットにしてもベリー系のものにしても、スイーツに変換することが多い。一方、こと桃に限っては、もっぱらそのまま食べる。なぜなら以前、創作ピーチ・ナボナを作ってみたときにうちの乙女(Otto氏)の不評を買ってからというもの、それが軽くトラウマになっているからでして、はい。
しかもOtto氏、平桃は好きじゃないというから買う機会もほとんどない。あれは遺伝子組み換えされているからうんたらかんたらと真偽不明なことをのたまっていたけれど、知らんがな。
8月最後の日曜日。せっかくひとりで過ごせるから、ここは推し桃を存分に味わおう!と思いつく。ちょっといいモツァレラとちょっといいプロシュート(イタリアの燻製されてない薄生ハム)、それにとれたてバジルをひと束仕入れて、サクッと桃しばり3分クッキング×3品といきましょう🍑
🍑アペロ 桃プロセッコ🍑
大きめの平たい桃だけど、日本の桃と比べると小ぶりなのかな。桃料理は皮剥き工程が一番面倒。
冷蔵庫で冷やしておいた平桃、皮を剥いたらひとくち大にカットしてグラスに放り込む。
前日に買ってきた安プロセッコ(ロゼ辛口)の残りを注いで、気持ちベリーニもどきの出来上がり。
ほんのり桃の甘味がうつったプロセッコは飲みやすさも増して万人受けしそう。ミントとかのせたら映えそうだし。個人的にこちらは飲むというより食べるカクテルという感じかな。桃のプロセッコ漬けが美味(笑)
🍑前菜 桃カプレーゼ🍑
桃プロセッコのあとは、しょっぱいもの合わせで桃を堪能することにしよう。
カットした桃とちぎったモツァレラを適当に並べて、オリーブオイルをまわしかけ、塩とブラックペッパー、ちぎったりちぎらなかったりしたバジルを散らすだけなので本当に3分かかってないかも。
自宅でいつも使っている白バルサミコビネガーとかかけてもいいなあと思ったけど、これだけでも十分。塩は美味しくて存在感のあるやつがマストかな。今回はカマルグのフルール・ド・セルを使用。
🍑桃のカッペリーニ🍑
さすがにメインまで桃はアレだったので、桃メインは夜に持ち越し。夜まで暑い日だったので、我が夏の主食、冷製カッペリーニといこう。
とはいっても、昼間のカプレーゼにプロシュートを加えるだけなんですがね。麺を茹でている間に材料を切ってボウルに入れて軽く塩胡椒して、麺が茹で上がったら冷水で締めてよく切り、水気を具材の入ったボウルに入れてオリーブオイルを絡ませて味ととのえる、以上。
プロシュートのうまみが加わるので、味付けは塩胡椒だけでOK牧場。そしてバジルは絶対あった方がいい。これを食べるためだけにバジルを栽培したいくらい。
素材がいいとシンプルでいい、というかシンプルなほうが美味しくいただけるのだな〜と実感する1日。それにしても、アペロから前菜、メインまで使える桃って、なんて優等生なフルーツ!
推し桃祭り、フランスで過ごす夏のひとりごはんの定番としたい。