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答えのない時代とアート思考②

こんにちは、アート思考×教育というキーワード、聞いたことがありますか?

一つ前の記事でも触れましたが、アート思考とは自分軸で物事を捉え、広げていく思考方法です。その思考法は主にビジネスでイノベーションを起こす手法として多く取り上げられていますが、私の興味はアート思考×教育です。

自分自身の「興味のタネ」からスタートして、自分なりに「探究の根」を深く、深く伸ばしていく。その「地下」の部分にあたるプロセスこそが「アート思考」だと私は理解しています。

1.時代の流れー日本の成長期ー

今時代の流れは”優れた力をもつこと”→”異なる力をもつこと”にシフトしている傾向があります

「優れ力」から「異なり力」へ
日本を豊かにした「優れ力」-「サイエンス思考」

戦後の日本は、高度経済成長期を経て、一気に世界のトップへと躍り出ました。この頃は、「とにかく良いモノをたくさん作る」ということが正義で、それを達成することでどんどんと富が増えていくという時代でした。下の表からも分かるように、平成元年にはNTT、トヨタ、日立といった日本の企業が、時価総額世界のトップ50のうち33社を占めるなど、日本の技術力が世界を席巻していました。

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では、この頃に求められた資質・能力とはどういうものだったのでしょうか。それは「より良いものを、より多く、より早く」というものでした。 このような具体的で明確なゴールが決められ、そこに向かって誰もが走っていました。そこで求められたのが、だれが一番にゴールへたどり着けるかというレースに勝ち抜く力です。

それをここでは「優れ力」と呼ぶことにします。
このパラダイムにおいて日本は無類の強さを誇りました。勤勉であったり、協調性があったりといった国民性が良い面で発揮され、みんなが論理的に働き国力を大きく伸ばしました。こういった確かな答えに向かい最適なルートで決められた手順通りにゴールを目指す思考を「サイエンス思考」と呼びましょう。

事例としては、移動が大変だから車を作ろうとか、洗濯が大変だから洗濯機を作ろうといったミッションを次々と達成していくことで、日本はそのポジションを確固たるものとしていきました。人口が増加し、GDPが右肩上がりになっていく成長社会において、

「サイエンス思考×優れ力」によってどんどん問題を解決していきました。

2.時代の流れー令和の時代ー

しかし、「サイエンス思考×優れ力」が最大の成果を叩き出し続ける時代は長くは続きませんでした。

平成元年から33年の月日が流れた令和2年現在、世界の時価総額ランキングで50位以内に入る日本企業は、トヨタ1社のみという厳しい状態へ追いやられました。そしてつい先日、自動車製造会社として世界トップを維持していたトヨタも、イーロン・マスク率いるテスラに時価総額で追い抜かれてしまったのです。この具体が意味することは、

「サイエンス思考×優れ力」で戦うことの限界がやってきたということなのかもしれません。

では、令和の時代になった今、必要とされる力はどういったものへと変化したのでしょうか。

結論から言うと、それは「アート思考×異なり力」です。

既存の価値を拡大化していくサイエンス思考に対して、アート思考は自分だけの見方を生かし、未知の価値を付加していく考え方です。

これは今まで真のアーティスト

「真のアーティストって何か」
 ・自分なりのものの見方で世界を捉えて
 ・自分なりの答えを生み出し
 ・その結果、新たな問いを世の中に投げかける

が行ってきたことで、

自分自身の「興味のタネ」からスタートして、自分なりに「探究の根」を深く、深く伸ばしていく。その「地下」の部分にあたるプロセスを踏むもの

だと考えます。

時代が進み、世界の成熟度(課題が解決されていく状態の度合い)が増すに連れて、必然的に「問題」は枯渇していきます。日本が発展を遂げた「問題」を解決することで価値を生み出していた時代において、「問題」は価値創出の源泉でした。なので「問題」がなくなると当然仕事もなくなっていきます。AIやロボティクスといったテクノロジーが発達しコストが下がっていく中においてはなおさらのことです。

2020年現在、コロナショックから立ち直りつつある米国経済を見ると、ダウ平均株価は史上最高値に届く勢いです。ピークアウトした日本とのコントラストは明確で、米国のピークはさらに未来にあるように思えます。

米国(≒世界)経済を牽引するGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)をはじめとした企業は、いずれも元々存在していた価値を拡大していくことではなく、新たな価値を宿すことにビジネスの起点がありました。

インターネットで書店を開くことができないかと考えたAmazonのジェフ・ベゾス然り、大学生がネット上で交流する場を作れないかと考えたFacebookのマーク・ザッカーバーク然り、人とは異なったアイデアを具現化し、価値を宿していった結果、多くの企業が米国では強い進化を続けています。このファクトは、右肩上がりの成長がひと段落し、多くの問題が解決された成熟社会において、「異なり力」が優位性を高めていることを示していると考えられます。

そこで、「ここをこうしたらもしかたら何か良いモノやコトができるのではないか」という、自分だけの見方を働かせる力が必要となってきます。

自分の見方を働かせる力が「異なり力」です。

価値創出の源泉は「解決すべき問題」から「自分だけのものの見方」へと変化していくのです。

3.アート思考×教育 

1から2の時代背景を踏まえ、上記した異なり力は教育現場で最も必要になってくると私自身考えています。

全員で大学進学を目指し、全員で同じ問題解決に向かい競争していく時代は終わりを告げました。

自分軸で、自分視点で、自分なりの答えを導き出していくことで、方向を決めていく、

そんな力が必要になってきます。見栄えのいいアウトプットをすることを目的にはせず、アウトプットに到らなかったとしても、自分なりの視点を持って、探究をし続ける。そんなアート思考を体験してもらうことがいちばん大事だと思っています。

そこで学校教育で重要視されるのは

「自分なりの視点で、自分なりの答えを見つけ出すことが大事なんだ」と

子どもたちに思ってもらう授業の提供

他人からネガティブな評価を受けたとしても、自分らしく何かに取り組んでいける子供たちを育てていくカリキュラムが重要視されると考えます。



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